[番号をきめるのもひと苦労]
図書館での分類

番号の決め方ひとつで苦労が倍になったり、役に立たなかったりです。

Contents
>図書館への旅
>>いつもの習慣>>新しい出会いは図書館から
>整理整頓に大忙し
>>本を戻すのは大変な労力>>いまだに残る細かい分類>>順序よく並べる苦労が報われない
>書店を見習う大まかな分類
>>書架ひとつ分が適度なひとくくり>>小説や物語に良い分類はないか
>コストと便利さのバランスの難しさ

図書館への旅

いつもの習慣

 2週間に1度、息子を連れて図書館に通うのが習慣になっています。貸出期限が2週間なので返したら借りることのくり返しです。息子にとっても良い習慣なのではないでしょうか。

 本の読み方には色々あるようです。次々とたくさんの本を読む「乱読」よりは、1冊の本をじっくりと読んだ上で思索する「熟読」を勧める意見を聞きます。そうはいってもその1冊が見つからず、うろうろしているというのが実態です。早く熟読に耐えうる1冊の本が見つかるとうれしいのですが。

新しい出会いは図書館から

 近所の図書館は小規模ですが、新しい発見をするのにはこの方が良いと思います。好きなジャンルの本がたくさんあれば、そればっかり選んでしまうことになり、新しい発見を求めてぶらぶらと書架をうろつくチャンスが少なくなります。
 全く新しいジャンルの本を手にとってみるのもいいでしょう。書店と違いお金を使うということが無いだけに失敗を恐れる必要がありません。

 身近な図書館は、特定の調べものをするには不足かもしれませんが、「新しい発見」という点では期待に応えてくれるものでしょう。

整理整頓に大忙し

本を戻すのは大変な労力

 そんな小規模な図書館なのに、司書のみなさん(整理専門かもしれませんが)が右往左往と忙しそうに走り回っています。返却された本を書架に片づけているのです。返却された本は一度返却だなに集められ、ある程度まとまったら書架に戻していくのです。
 私たちも戻す場所がわからなくなったら、そっとに返却だなに置いておきましょう。いい加減な場所に放置したら、後で探す人が迷惑します。

いまだに残る細かい分類

 たいていの図書館では、日本十進法分類(N.D.C)を参考に番号が割り振られています。昔はこの番号が、本の管理をするという役割がありましたから、枝番号をどんどん付けていって同じ番号を割り振らないようにしていました。いまではコンピュータを利用して管理されており、バーコードについている番号が重複しないよう本に付けられています。
 バーコードがあるので、日本十進法による分類番号は本の管理という役割は無くなり、本の整理のためだけに付けられることになります。つまり複数の本が同じ番号を付けても構わないことになります。この図書館の場合、番号の末尾はカタカナ2文字で表記した作者名で、「オオ」とか「キタ」とかがついています。当然同じ番号の本は何冊もあります。しかしまだまだ細かすぎるような気がします。

順序よく並べる苦労が報われない

 司書のみなさんは一生懸命、作者順に本を並べています。検索したときに探しやすい様にというのが理由でしょう。しかし、身近な図書館でわざわざ検索をして本をさがすと場面はあまりないでしょう。みんなぶらぶらと目的の分類の書架の前で順番に本を探すというのがスタイルです。苦労は報われていないような気がします。

書店を見習う大まかな分類

書架ひとつ分が適度なひとくくり

 営業中の書店ではそんなに細かい分類は不可能なのですが、探すのにそれほど苦労しません。適度に分類されて書架におさめられているので、書架ひとつを上から下までじっくり探せば、目的の分類に希望の本があるかないかはすぐにわかるというわけです。こんな書店での利便性を考えると、図書館における作者順の必要性は低いと感じるのです。

 そこで図書館でも書店を見習って、ひとつの書架の本にそれぞれ同じ番号を付けたらどうでしょう。例えば経済の本が本棚ひとつにおさまるなら、全部に330番を付けてしまうのです。細かい分類は無視です。百冊の本に同じ番号が付けられているとしても探す時間はわずかです。順番に並べるための苦労を思うと、百冊を順に調べるくらいわけありません。

 おおざっぱな分類といえば、ここの絵本のコーナーが参考になります。この図書館の場合「日本のはなし」がピンク、「のりもの」がみずいろという風に本棚の分類ごとに分かれています。本を戻すとき、ラベルの色をみれば良いわけです。

絵本のラベル
絵本のラベル

小説や物語に良い分類はないか

 同じ分類の本がたくさんありすぎて、複数の書架にまたがるときは問題です。例えば小説、物語などは細かい分類が困難です。こんな時は蔵書の数に応じて番号の付け方を調整するという工夫が必要でしょう。大体ひとつの書架におさまるくらいの本が同じ番号になるようにするために、

  • 作者の名前2文字を末尾に付ける。
  • それでは細かすぎるので、作者の名前1文字を末尾に付ける。
  • それでも細かすぎるので、ア行サ行という風に大きくくくる。

コンピュータで管理しているのですから、どんな条件で書架ひとつ分になるのか簡単に検索できるでしょう。

 ただし、作者名というのは今ひとつ便利ではありません。先に挙げた絵本の場合も一応作者の名前が付いており、その順に並んでいるのですが、本のタイトルから探すときには意味はありません。結局は本棚全部を調べることになるのです。別の大規模な図書館では出版社別に分類されていましたが、この方が同じシリーズの本がまとまって良いと思います。

コストと便利さのバランスの難しさ

 公共団体の財政緊縮の折り、図書館での人件費の削減が図書館司書の待遇の悪化により支えられているということを聞きます。そこまでして本を順番に並べるための人を大量に雇う必要はないと思います。多少本を探すのが面倒になったとしても(ほとんど影響は無いと思いますが)、必要な人員を減らし、司書という専門職の待遇の向上に努めて欲しいと思います。検索をしやすくするのは良いことには違いありませんが、物事にはコスト感覚というものも必要です。

(初出02.07.26)
(再編集04.02.23)

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