自分の行動を客観的に監視しよう。
前回紹介した超整理手帳(特に日予定)は、今日やるべき事を列挙してくれます。しかし、作業を進めるにあたっては、更に細かい手順を書き込んでいく必要があるでしょう。処理すべき手順の数がどんどん増えて混乱する前に、紙に書き出しましょう。最初は超整理手帳の日予定にメモ書きをすることで良いのですが、スペースを気にせず書けるよう、早めに別紙を用意しましょう。
かつてバラエティー番組で「未来日記」というコーナーがありました。役者は日常生活において、日記に書かれたとおりに演じていくというものです。恋の告白をすると書かれていれば、勇気を振り絞って実行しなければなりません。
この手のストーリーは、ドラマにも取り入れられ、他人が書いた日記の内容が現実に起こってしまうという恐ろしい道具として扱われています。
未来日記は、実際にドラマだけでなく、自己実現のツールとしての活用法が謳われています。手帳に「目標を書け」というものです。
手帳に予定を書くという時点で、一種の未来日記を書いているのと同じ事でしょう。事実、「他の約束を入れないようにする」という機能が、予定を実現するための重要な役割をになっています。
「書いたら実現する(しやすい)」という機能を普段の仕事に活用したいものです。そこで「超近未来日記」というものを考案してみました。考案したという程のものではなく、名前を付けてみただけのことで、単に普段の心がけという程度のことです。私のオリジナルというわけでなく、下記のリンク先などを参考に自分なりにアレンジしたというものですから、皆さん無意識に実践していることかもしれません。
大したことはないと言ったとおり、実態は単なる白い紙です。A4サイズの廃紙を横長方向に置いただけです。A4の横置きにするのは、超整理手帳に入れやすいというそれだけです。
最初は、今日1日やることを記入しましょう。手帳などに今日の目標などがあれば好都合です。予定を記入し、それを実現していくので、「未来日記」というわけです。そして、1日というかなり短いスパンの出来事なので「超近未来日記」としました。
予定を左に置いてみる
無理な理想を書いているわけではありませんから、実現の可能性は高いです。1日の終わりに振り返った時、実現した作業が列挙されるわけですから、「今日の日記」といって差し支えありません。
実現のための「こつ」があります。「書いたことのみ実行する」こと、そして「実行するときは書く」ことです。予定を並べた後、神頼みではだめなのです。
予定に、案件Aのレポート作成と目標を書いたとします。でも実際には調べる、下書き、文字入力、校正などの手順があるでしょう。こういった細かい作業が見えたらすかさず「超近未来日記」に記入いくのです。直前とはいえ実行する前ですから、「未来」を書いていることになります。
細かい作業が見えたらすかさず記入
無理に思い出す必要はなく、「実行するときは書く」という感じで作業の直前にメモする程度です。後で必要な作業を思い出したら、忘れずにメモしていくことも大切です。
ひとつ終了したら消し込んでいきましょう。テンポよく消し込んでいけば、はかどっているという達成感が得られます。万里の道も一歩から、全体をみて大変だとげんなりするより、作業中はひとつひとつ積み上げる事に徹する方が、結局はかどるはずです。
消し込んでいけば達成感
「作成」とだけ書いてあったら、何時間かかるかわかりませんが、5つのステップがあれば、1時間×5ステップ=5時間と、見積もできます。これはかなりの進歩です。あまり細かくすると書くのに時間をとられてしまい困りものですが、一気に出来る最小単位にまで分解するのが理想です。
「ちょっとお願い」などと割り込み案件が入って来たときも、一呼吸いれて、割り込み案件を「近未来日記(単なる白紙)」に加えましょう。今やっている作業のどこにどの時点に割り込むのかを明確にすることで、中断した元の作業に容易に戻ることが出来ます。
割り込み案件が二重(割り込み案件B)にも三重(割り込み案件C)にも舞い込んで来たときに、役に立つことが実感できるでしょう。
割り込みもきちんと登録
どれも緊急でない仕事が並んでいるとき、どれから進めようか迷うかも知れません。そんなときもあれこれ考えず、書いてあることを見ながら考えます。
すべてを完了は出来ないでしょうが、ちらっと見るだけでも良いので着手だけはして、その仕事の今日のノルマは完了したことにするのです。
もちろん完了させる方がいいのですが、着手するだけでも、こんなメリットがあると思うのです。
完璧を目指さない
結局、新たな作業は後の方に追加することになりますが、「何もしない先送り」とは大きく違うと思いこみましょう。
先送りどころか、始めるのも億劫な時があります。こんなときのおきまりが、机の整理とか腹ごしらえとか。それから、今やらなくても良いことをあれこれ始めてしまって、後悔間違いなしです。
ここは堅苦しく考えず、まず手を動かすことを優先しましょう。「机の整理」を始め、同時に「やるときは必ず書く」を実践します。
本を片づける、筆記用具を片づける、領収書を整理・・・等々、書いていくうちに、だんだんと作業モードになってきて、自分は一体何をしているのだろうと、我に返れば大成功です。せっかく思いついた、整理の手順ですから、これからの作業の合間に割り振っていきましょう。少しずつなら、息抜きとして作業全体の効率がアップしながらも机の整理が進んでいきます。
とにかく手を動かす
上記の「どれも緊急でないとき」に示したとおり、「作業をちらっと見る」だけでもひとつの作業の完了ということで、どんどん消し込んで行くのも手です。「何もしない先送り」にかなり近いものがありますが、達成感を実感することで、どれか作業が進むということを期待しましょう。
もちろん、残りの作業を今日か、後日のどこかに入れておくことは必須です。後日ではだめだから、今日やるしかないと思えてくれば、ちゃんと実行出来るでしょう。
メモ書きにして、作業が終わったら、消し込んで捨てるということを無意識に実践されていることも多いでしょう。この「超近未来日記」は、それを意識的な手続きとして、より役立つようにしてくれるでしょう。
振り返ってみて、この未来日記。うまくいっているように書いているのですが、割込み案件が来るたびに、あたふたしている実態があったのです。
そこで導入したタスク管理システム『タスクシュート』は、時間の確保を練習する「トレーニングツール」といえるものでした。
導入してからは、1日にやることべきことを漏れなくリストアップできるようになりました。まず1日の始まりは、タスクがあふれるくらいに並ぶタスクを眺めることから始まります。前日までに、タスクの繰り返しの設定や先送りをしているためにリストがすでにあるのです。これにより、自らのミスで、割込み案件を生み出すことがなくなりました。
タスクであふれていて、深夜になっても終わらないので、「先送りできるタスク」は先送りし、現実的な終了時間にします。終了時刻がわかっていると、慌てずじっくりタスクを取り組むことができるのです。
タスクシュートに取り組みと見えてくるのが、生活時間の実態なのです。何もしていないようにみえる日々でも、いつもの習慣で、すでにいっぱいなので、まとまった時間を確保するのは難しいのです。タスクシュートを実行するにあたっては、何かの時間を削りながら、少しづつ割り振るという仕事の進め方が必要になってきます。
(08.11.03)
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