1000万通りもある7けたの郵便番号。実際に使われているのはたった14万通り。7けたも必要だったのか疑問です。
別ページに郵便番号の研究(資料集)があります。
かつてアメリカで、私が記入した日本の郵便番号をみて「たった3けた?」と、一笑されてしまいました。アメリカの郵便番号(ZIP)は5けた+4けたでしたから、日本はちっぽけな国だと思われたに違いありません。郵便番号が7けたになって、すこし近づいたというところです。
メールにてOさんよりアメリカの郵便番号は5けた+4けたの9けたであるとの指摘をいただきました。ありがとうございます。このページを書いた当初は5けたという前提で書いていましたので、誤解を招いたことをおわびします。訂正前の文を読んで日本は郵便番号の長さでアメリカを上回ったと誇らしく思われた方、残年ながらアメリカは10億通りを表現できる郵便番号をすでに持っていたのです。
赤ちゃんを含む全国民に交付してもまだあまるという組み合わせの多さです。郵便番号さえ書けば各戸に届くくらいに役立つ番号になっていればすばらしいのですが、そんな事は無いでしょう。
7けたともなると、覚えるのが大変です。電話番号を覚えるくらいのやる気と心構えが必要です。電話番号を覚えることについては、それさえ覚えれば各家庭の回線が特定できるのですから覚えがいがあるというものです。しかし郵便番号は、さらに番地を書かないと郵便物は着きません。あまり役に立たない番号では覚える気になりません。
郵便局での仕事が楽になるものの、利用者にとってのメリットがあまり見えてきません。
しかもこの郵便番号、6けたでも足りたのではという疑問がわいてきます。「3けた+00+2けた」というパターンの郵便番号があまりにも多いのです。真ん中の「00」部分に変化が無ければ、これは実質5けたということです。もともと5けたであった地域を含めても6けたでも、足りるのではないかと思うわけです。
そんな疑問を解消すべく、「郵便ホームページ」の「郵便番号検索」にて配布されている郵便番号のリストをダウンロードしてみました。まず分かったことは、郵便番号は12万個(その他事業所が2万個)あること。これが意味することは、詰め込めば6けたでも足りたということです。000000から999999まで100万通りのうち、7分の1に割り当てればいいわけですから、それほど苦労しなくても割りふれそうです。実際には7けたですから、1000万通りも確保できるわけです。たくさんある組み合わせのうち70分の69は使用しない事になります。
今までの郵便番号との互換性を重視し、郵便局毎の分類も意識して、番号に多くの機能を持たせるという意図は分かりますが、欲張った命名は、いたずらにけた数を増やすばかりか、予想外の番号の増加に対応できなくなってしまいます。「帯に長したすきに短し」のごとく中途半端になってしまいます。
郵便番号リストを分析してみました。
データ数は郵便番号が121,146個。別に大口事業所用21,129個。合計14万個。これだけあると、エクセルに読み込むことが出来ず(行数が足りない)、Perlでスクリプトを組んでデータを取り出しました。
まず郵便番号(大口事業所を除く)を県別に集計しました。
1位が北海道なのは、「面積が広いから」だと変に納得するのですが、2位の愛知、3位の京都はどうも説明がつきません。郵便番号は町域単位(○○市××1丁目の××が町域)でつけられているので、町域の多い府県だということだけは分かります。
順位 | 県名 | 番号の数 |
---|---|---|
合計 | 121,146 | |
1 | 北海道 | 8,237 |
2 | 愛知 | 6,822 |
3 | 京都 | 6,648 |
4 | 新潟 | 5,309 |
5 | 兵庫 | 5,196 |
6 | 福島 | 3,787 |
7 | 大阪 | 3,696 |
8 | 千葉 | 3,536 |
9 | 岐阜 | 3,513 |
10 | 富山 | 3,224 |
その他 | 71,178 |
次に、大口事業所も県別に集計してみました。
予想通り東京が第1位です。
しかし、日本でナンバー2の大都市であると思っていた大阪が、6位であることは意外でした。もちろん、「個別の郵便番号を設けた」事業所の数が都市の活力と関連があるわけではありませんし、京都や兵庫を併せて関西圏が成立しているわけですから、単純な比較は出来ませんが、「関西の地位低下」も関連するのではないかと考えます。
愛知、北海道、福岡は、通信・物流の拠点としての機能が高まっているのでしょうか。0120ではじまるフリーダイヤルのコールセンターが福岡県や北海道に立地するのを見かけます。
また、先日文具の宅配を頼んだら、愛知の物流センターからわざわざ配送されてきました。
全国一律料金の郵便なら、どこに物流センターを設置しても料金は変わりません。どこでもいいのであれば、土地や人材の確保など地方の方が有利であるという判断をする事業所が多いということでしょう。
順位 | 県名 | 番号の数 |
---|---|---|
合計 | 21,129 | |
1 | 東京 | 4,514 |
2 | 愛知 | 1,534 |
3 | 北海道 | 1,274 |
4 | 福岡 | 845 |
5 | 静岡 | 762 |
6 | 大阪 | 703 |
7 | 神奈川 | 631 |
8 | 埼玉 | 549 |
9 | 新潟 | 530 |
10 | 広島 | 515 |
その他 | 9,272 |
県別の集計結果は、郵便番号の研究(資料集)に全県分掲載しています。
(初出02.12.14)
(再編集03.11.17)
(修正04.06.14)
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