規模や形状に応じて横向きであってもいいと思うのです。
アメリカのショッピングモールは広いのです。いつものんびり散策がてらというわけにはいきません。「ちょっとした買い物にはコンビニが便利」という感覚で、目的の店だけに立ち寄りたいときもあるわけです。みんなが「モールを歩くのが大変」と思い始めたとき、パワーセンターが登場したのでしょう。
パワーセンターは、「強力な店舗の集合」という言い方をされるのですが、「流れ」的にみると、「店舗の前の廊下が駐車場にむき出し」と解釈できるのです。便利な反面、廊下の片側は殺風景な駐車場ですから、ゆったり散歩がてら、店舗を巡るという落ち着きがありません。
駐車場から店が近いパワーセンター
歩く距離という点についても問題があります。強力な店舗は規模が大きく、間口が広いのが特徴です。歩いて隣の店に行くのもちょっとした距離です。
店舗と駐車場との距離を近づけるため、駐車場の奥行きは短いものとなり、その代わり横幅を延ばして面積を確保します。全体としては、かなりの距離となり、店舗間の移動は車を使わずにはいられません。
日本にもパワーセンターが続々立地しているようです。狭い土地のお国柄、小規模なものもパワーセンターを名乗っています。駐車場が広がるその奥に、店舗が横方向に並ぶというパワーセンターの形式は小規模であっても同じです。相似形の縮小というわけなのですが、駐車場の奥行きも同様に縮小しているのは問題です。
駐車場の奥行きはある程度あった方がいいのです。このことは前回の「[ショッピングモールの掟]大規模な駐車場は奥行きがある方がいい」にて問題として取り上げました。駐車場内の通路は、店舗に向かって直交型に配置するのが理想なのですが、奥行きが狭い場合には相対的に通路面積が増えて効率が悪いのです。店舗の並びに並行型に通路を設けると今度は、店舗と駐車場間の行き来がしづらくなります。
特にパワーセンターは店の前に駐車するのが魅力です。通路が直交型の駐車場では、あたかも店の前に専用駐車場があるような形態となるのですが、並行型の駐車場ではそうはいきません。選んだ通路によっては、店から遠くにとめることになってしまいます。全体的に混んでいるのなら納得ですが、となりの通路なら空いていたとなれば、悔しいものです。
並行型は店の直前にとめにくい
駐車場、店舗、バックヤード、それぞれ必要な奥行きを合わせると案外長いものです。小規模なパワーセンターの場合、横幅を狭めた縦長の敷地が理想というわけです。しかし、そのような土地はないのです。
縦長が理想
開発事業の土地利用計画図を書いた場合、パワーセンターの候補地となる様な敷地の形状は、コピー用紙の縦横比をした横長となります。例えばA4サイズなら210mmと297mmの比です。もちろん道路に面する辺が長辺ということです。これは大規模、小規模に関わらず、そのようになっている気がします。縦横の割合については、「黄金比」という割合となっていて、落ち着くという気持ち上の問題もあるでしょうが、横長に配置するというのは、土地の利用価値を考えたとき一番無難となる形状であるわけです。
敷地を2分割にした場合を想定するとわかりやすいでしょう。縦長を前後に分けた場合、後ろの土地は道路に面しない価値の低い土地となります。仮に前後一体として考えた場合でも奥の方をうまく利用できないという危険を考慮し、価値が低くなってしまいます。同じ面積なら道路に接する延長が長い方が価値が高くなります。
大規模な敷地であれば短辺側でも、充分な奥行きの駐車場が確保できますが、小規模な場合、短辺側では奥行きが不足してしまうわけです。
縦長は価値が低くなる
横長の敷地にあわせた横長の駐車場が自然の成り行きのようです。でも発想を変えて、先ほど示した縦長の理想形を90度回転させてみたいのです。こうすると横長の敷地においても駐車場に充分な奥行きが確保できます。
それなら90度ひっくり返してみる
パワーセンターの形態として小規模な施設が多い日本ではこれの方が適しているでしょう。
これでめでたしということです。
(05.01.31)
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