出勤時の始発駅だけでなく、帰宅時の始発駅も要チェックです。
何度か住まいを探す経験をしていますが、家賃の動向というのは客の希望に対して実に敏感に反応しているものだと感心します。良い物件は予算オーバーで、予算内に収まったと思ったら希望条件とあわない。
意外なのが外観が古くても新しくてもはあまり影響がないことです。実際、部屋の中はリフォームされるということで、住む上であまり違いがないのでしょう。当時は貸し手市場であまり贅沢をいえなかったのかもしれません。
一方、通勤の利便性は敏感に家賃差に反映されています。駅から徒歩圏の物件とバスの便の物件では大きく家賃が違った記憶があります。車で通勤する人も多いわけですから、駅からの距離は関係ないと思うのですが。
ここ十年、住まい探しをしていないので、家賃に対する感性はずいぶん鈍くなってしまいました。現在は状況が変わっていることもあるでしょうが、傾向は似たり寄ったりでしょう。
都心から放射状に伸びる鉄道路線毎に人気・不人気があります。沿線イメージ、街の成熟度の影響もあるでしょうが、帰宅時における始発駅の存在も一つの理由だと考えます。
そんなことに気づいたのは「特優賃」の募集でした。「特優賃」は収入に応じて補助金がでて、家賃に地域差が生じないというのが特徴です。また募集が公募ということで空室状況もわかります。
通常十二万円以上する3LDKマンションが半額程度から借りられるということで、抽選になるほどの人気です。ところが定員割れで空室が生じる地域があったのです。これが東武伊勢崎線の春日部市付近。
春日部は東京を環状に結ぶ国道16号が通っています。国道16号が通る他の都市としては東より千葉市、柏市、大宮市、川越市、所沢市、八王子市、相模原市、横浜市があり、だいたい東京から同じ様な距離にあるといえます。しかし住まいを探すそのころの私の目には、春日部は遠く感じられました。
よくよく思い出してみれば、座って通勤が出来ないということが理由でした。帰宅時に始発駅として利用できる浅草は、利用するターミナルとしては東によりすぎている。日比谷線経由だと確実に座れる始発駅がない。定期券のルートを確定しないといけないので、どちらか一方しか選べない。帰りが大変だというのが実感でした。
かつて、情報源が雑誌に限られていたころは、始発駅の有無の特集なんてお目にかかれませんでした。貴重な紙面は、特定の街の紹介や沿線の紹介がせいぜいです。もっとも、「始発駅のとなりが狙い目」ということは、ちらほら紙面や広告に見かけましたから、特別マイナーな話題でもないわけです。
ネットの情報が増えて行くにつれ、始発駅(始発電車のある駅)の情報もちらほら見られるようになりました。この情報を参考に住まいを考えるのは快適な通勤のために必須でしょう。
始発駅の物件は高いことが多いので「始発駅のとなり」が狙い目となります。となりの駅といっても、都心側のとなり駅は、始発駅の恩恵にあずかれないばかりか、急行や快速が通過する事になるので所要時間の点でも、遠い方のとなり駅と対してかわらないので要注意です。
いずれにせよ、出勤時の始発駅は住まい選びの目安として認められつつあるのでしょう。
住まい選びに帰宅時の始発駅は重要だと思うのですが、あまり注目されていないようです。
先に書いた東武伊勢崎線の他にもあります。
こんな感じで、都心側の始発駅を考えるとなかなか難しいところがあるわけですが、世の中それほど注目されていないのでしょう。以下なぜか理由を挙げてみました。
この意見、私自身もどこまで言い切れるのかは、自信がありません。前回[信頼できる乗車待ち行列] 始発駅をつくるで取り上げた始発駅の話を考えたきっかけをちょっと書いてみました。
現実問題、始発駅の有無だけで住まいが決まることはないでしょうが、家への帰り道に始発駅だったらなあと思うことはあるのではないでしょうか。
(06.09.11追加)
万年寝太郎さんよりゲストブックに書き込みをいただきました。ちょっと違った分析をしていただいてます。
帰りも疲れていれば座っていきたいという人は多いと思います。
書かれていたこと以外に個人的に思いつく原因としては、
(1)出勤時の始発駅は車庫のある駅や折り返しのある駅のように、時刻表をよくみる鉄道ファンでなければわかりにくいが、帰宅時は都心のターミナルなので、始発のある駅は直感的にわかりやすい。
(2)朝と違い時間に余裕があるので、各停とかに乗ればいい。
(3)電車はだんだん空いてくる。急行なんかなら各停との接続駅がねらい目。出勤時は終点に向かって混む一方・・・。
(4)朝よりダイヤに余裕があるので路線によってはホームライナーや特急が多い。どうしても座りたければお金を払えばいい。
というようなことがあるんじゃないだろうかと思います。
(06.08.28)
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