[信頼できる乗車待ち行列]
短い行列ほど混乱する

列が1列増えるということは席取り合戦のライバルがひとり増えるという事なのです。

Contents
>狭いプラットホームで効率よく並ぶ
>短い行列ほど安心ゾーン率が低下する
>>横2列の場合>>横3列の場合>>横4列の場合
>実感としては横3列の方が混乱が少ない
>>横4列のメリット>>横3列のメリット

狭いプラットホームで効率よく並ぶ

 東京ドームでの観戦を終えたファンでごった返すJR水道橋駅。行儀良く電車待ちの行列を作ろうとする乗客に対し、駅員さんは「当駅では整列乗車を行っておりません」とばらばらになることを促しています。

 整列乗車と聞くと無批判に「良いこと」のように錯覚しがちですが、狭いプラットホームの利用効率を更に下げる、邪魔な存在でもあるのです。

 混雑するラッシュ時には狭いプラットホームを有効に使うため、横3列や横4列に並ぶように誘導しています。しかしこれは席取り合戦を激化する元凶となっていると思えるのです。横2列に並んだときに比べて列の数が増えるほど行列に対する信頼度が低下するのではないでしょうか。

短い行列ほど安心ゾーン率が低下する

 前回と同様に安心ゾーン率を算出してみます。なお組み合わせが際限なく増えてしまうので、今回は4扉ロングシート車のみを対象にします。前回は横2列の行列での想定での比較でしたが、今回は行列の列数を増やしてみて安全ゾーン率の変化を調べてみます。なお、図の見方は前回のコンテンツ「安心ゾーン率でわかる不安の増加」に説明がありますから、忘れた方はご参照ください。

横2列の場合

 これは前回と同じです。

横2列の場合
横2列の場合の図

 横2列の場合、ひとつの扉に割り当てられる座席が14席。そのうち前から8人目は安心して席を確保できるということで、安心ゾーン率は8/14で57%ということになります。

横3列の場合

 横3列になると同じ並びに違うゾーンの人が入り乱れてきます。例えば前から3列目には、安心ゾーン2人とイエローゾーン1人が居合わせます。これはおかしいことです。3人のうち誰がイエローゾーンになるのかわからない限り、3人共イエローゾーンと覚悟すべきでしょう。

横3列の場合
横3列の場合の図

 前から3列目はイエローゾーンの扱いにするため、前から2列目までの6人のみが安心ゾーンということになってしまいます。
 同様に最後の並びである、前から5列目の人はすべてレッドゾーンとなります。分母は15人となります。分母は増えますが、単に不確定な要素が増えたということで、座席が増えたことではありません。

 その結果、安心ゾーン率は6/15で40%と低い率になってしまいます。これは次に取り上げる横4列の場合よりも低く、今までで最悪の結果です。

横4列の場合

 横2列の行列を2倍にしたのが横4列ということになります。安心ゾーンは前から8人ということですから前から2列目までが安心ゾーンとなります。

横4列の場合
横4列の場合の図

 それからイエローゾーンは次の4人ですから、前から3列目ということになります。

 レッドゾーンは本来2人ですが、同じ並びに4人いるわけで、この場合4人ともレッドゾーンとして扱う必要があります。

 もともとし烈な席取り合戦が展開されるレッドゾーンですが、4人が並んでいることで更にし烈になること間違いなしです。

 しかしながら安心ゾーン率は8/16で50%と横3列の場合よりも高い率を示しています。

実感としては横3列の方が混乱が少ない

横4列のメリット

 数字は横4列の方が良い結果となっています。

 横4列のメリットを強いて挙げると、右左の区分がはっきりしているということです。横3列の場合、中央に並んだ人は右に行くのか左に行くのかはっきりしません。中央の後方に並んだ人は前の人の様子をよく観察し、前の人が行っていない方を選ぶ工夫が必要になります。横4列の場合は、右の2人は右に行き、左の2人は左に行くということが暗黙の内に理解できます。

横3列のメリット

 しかし、実感として横4列よりも横3列の方が混乱の度合いが低い様に思えます。
 その理由としては

  • 3人の肩幅なら並んで扉を通り抜けられる。
  • 席取り合戦の相手が3人(横4列の場合)より2人(横3列の場合)の方が気楽。
  • 横3列の前から3列目は、限りなく安心ゾーンに近いイエローゾーンである。(前から3列目を安心ゾーンに含めると9/15で60%)

という感じで、うまく数字に表現できないこともあるということなのです。

 いずれにしても、行列は細く長くがいいと思うのです。横4列の行列でドアが開くのを待っている時などは、かなりのライバル意識を持って、となりの人達を見てしまうのです。そしてよーいドンを待っている気の抜けない状態というのはわざわざ味わいたくない一瞬なのです。

(04.08.30)

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