[最小の構成]
隠れたニーズは最小の構成にある

「1人」の「軽食」客は、少しで良いと思っているのです。

Contents
>食の百貨店は大変だ
>>もともとレストランとコーヒーショップ>>アメリカンクラブハウスサンド980円は1人では多すぎる
>原点復帰でブランド確立
>>激安もちゃんと稼いでいる>>ドリアの店はイタリアという独自性を持っている>>ファミレス最王手も独自性>>本当のライバルはやはりコーヒーショップ

食の百貨店は大変だ

もともとレストランとコーヒーショップ

 ファミリーレストランは、初めての土地でも気軽に入店できる強い味方です。

 最初は、

  • レストラン−たまの休日に家族で行く晴れの場
  • コーヒーショップ−アメリカ版の喫茶店

このように2種類分類できたはずです。そのうち、ニーズに応えているうちにいずれもが「食の百貨店」になってしまいました。便利な存在ですが、中途半端な存在でもあります。食事を楽しむ場というより、人と会う、くつろぐといった役割が主だったものだと思うのです。飽きられてしまわないようメニューに工夫を凝らしているのでしょう。

 これは、専門分野に特化したライバルチェーンが定番商品で勝負できるのと対照的です。

 CoffeeShopをキャッチフレーズにしているこのチェーン店もどうやら業績は伸び悩んでいるようです。好きなチェーンだったのですが、好みのメニューが無くなり、現在利用していません。よって1人分顧客を失っていることは確かです。ウェブサイトを見ると「仕事帰りの夕飯は」というキャッチフレーズで、「1人」客の取り込みを図っているようですが、私にとっては、1人向けの方策を特にしているようには思えません。

アメリカンクラブハウスサンド980円は1人では多すぎる

 このCoffeeShopは、アメリカでも(そちらが元祖)チェーン展開しているので、アメリカー風というのが私のイメージです。しかしながら、メニュー構成が、みんな大好きなハンバーグ定食、パスタといった日本風ファミレスになってしまっているのです。おやつ時の定番であるアップルパイも見かけなくなり、唯一のアメリカ風メニューがアメリカンクラブハウスサンドイッチとなっています。

 アメリカンクラブハウスサンドは980円で、山盛りポテトにケチャップかけ放題という豪華な一品です。値が張るのはもちろん、1人で食べるにはカロリーオーバーです(1086kcal)。<パン−具−パン−具−パン>となっているので、食パン3枚を平らげることになるわけです。注文があるたびに作るので、食パン3枚でつくるこの量が最低限の大きさなのです。

 代わりに重宝していたのがBLTサンドです。これは<パン−ベーコンレタス−パン>と、パンが2枚分で、お値段も2/3だったのです。BLTサンドとおかわり自由のコーヒーが、私のくつろぎタイムだったのです。

 ところが、BLTサンドはレギュラーメニューからはずされてしまいました。ランチメニューとしてたまに供されるだけになったというのです。

原点復帰でブランド確立

激安もちゃんと稼いでいる

  • ハンバーガー100円
  • かけうどん100円
  • 餃子220円
  • ドリア299円

 これらのチェーン店は激安といわれていますが、実際に利用してみると

  • ハンバーガーのセットは、自動的にMサイズのポテトとMサイズのドリンクをついてくる。
  • かけうどんにてんぷらを載せて、おにぎりをつけてしまう。

 餃子の店もドリアの店もいろいろ頼むとそんなに激安というわけではないのに、利益が出ているのです。

ドリアの店はイタリアという独自性を持っている

 ドリアの店はファミレスの仲間に属するのですが、なぜか好調だということです。上記のCoffeeShopに好みの軽食メニューが無い現在、ドリアの店のペペロンチーノとサイドメニュー(ほうれん草、青まめ、イカの和え物など)を注文し、ドリンクバーでのんびり過ごしています。

 メインの商品はみんなが大好きなハンバーグですが、その他の商品群はなんとなくイタリア風です(実際にイタリアにあるのかは知りませんが)。

  • 独自性のあるメニューは大半が定番で新商品の割合が少ない
  • 基本的に単品の組み合わせ

という点は、上記のCoffeeShopとはまったく逆です。

ファミレス最王手も独自性

 ファミレス最王手も再攻勢をかけています。

 かつて低価格路線店を展開したけれど、疲弊してしまったので新たな展開となっています。

 イタリア料理、日本料理をメインに、無国籍料理から脱却。メニューもドリアの店のように単品を組み合わせる方式を採用。CoffeeShopのライバルとなるCoffee&Restaurantの店でも同様で、単品を多く用意し、BLTサンドやメキシカンピラフといった、CoffeeShopのかつての定番メニューをちゃっかり取り入れています。

 CoffeeShopはそのような方向性とは無縁なようですが、原点に戻りアメリカ風コーヒーショップを全面的にアピールするのが良いと思うのです。

本当のライバルはやはりコーヒーショップ

 アメリカはありふれているとか、アメリカ料理は特徴がないという偏見がありそうですが、「シアトルスタイル」のコーヒーショップに若い女性1人で食事をしていることを考慮すれば、アメリカ風のコーヒーショップはやりようでしょう。

 シアトルスタイルの店は、セルフサービスですが、サンドイッチ類を頼むとファミレスとの価格差はあまりありません。またサンドイッチ類は、工場生産のものを電子レンジで加熱する方式で夕方になると品切れになります。

これに対し、CoffeeShopは、手作り、コーヒーのおかわりは持ってきてもらえる。原点にもどれば魅力がいっぱいのはずです。

 よくよく調べてみるとこのCoffeeShopのメニューにジャンバラヤが復活していたとのこと。BLTサンドが無い今、私が唯一注文できる軽食メニューとなります。

 ウェブサイトでは「登場するたびに大好評の人気メニュー、ジャンバラヤの復活です」などとありますが、それなら定番メニューとして定着させてほしいのです。ルイジアナのこの名物料理を身近にしている店ということを、もっとアピールしてよいでしょう。

 ところで、現在のメニューに載っているのはチキンジャンバラヤのみ、チキンなしの安価版ジャンバラヤがありません。単価の高いものを残して利益を確保するという魂胆なのであれば、ドリアの店と対抗できません。値段の高い安いが問題なのではなく、チキンを追加「する」「しない」を選択できないところが、押し売り的に感じてしまうのです。

 最小の構成があるのに、それが出来ないという不満です。

 ドリアの店の社長のインタービューが雑誌に載っていました。

「・・・「おいしい」と思わせたらだめなの(笑)。「おいしい」というのはだいたい毒ですから。全部食べ終わったときに、「まずくなかった」と思わせることが最高なんです。」(週間ダイヤモンド2010年5月22日号P41より)

 私はドリアが好みで無いので、代わりにCoffeeShopに定番メニューが増えることを望んでいるわけなのです。

(10.10.04)

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