流れのヒント

[最小の構成]
「市(いち)」を設ける

お店の原点は常設ではなかったのです。

Contents
>徒歩圏に「市(いち)」があれば良いわけです
>>場所はバス停付近>>常設ではなくても良いのです>>機能の最小構成は看板とスペース
>集まる場所さえあれば
>>巡回販売の拠点として>>ネットスーパーでも敷居が高いのです>>更に利用者が少なければ個別対応
>市(いち)は位置(いち)
>>50坪で採算がとれても取りこぼしはある>>「場所の位置づけ」は残る

12.09.24追加

徒歩圏に「市(いち)」があれば良いわけです

 大型店舗に集約され、日常品の買い物ですら、徒歩では困難な地域が増加しているのです。解消の糸口として、徒歩圏に「市(いち)」を設けると良いと思うのです。

場所はバス停付近

 その「市」は、バス停付近が良いでしょう。農村にも都市の機能が必要で取り上げたバス停のことで、バス停付近であれば自動的に地域の徒歩圏にあると言えるのです。

 もちろんバスがあれば、隣町の鉄道駅前に行くことも出来ますが、日常品の買出しに必ずバスが必要というのでは、最小の構成とはいえないと考えるのです。

バス停付近に「市(いち)」
バス停沿道

常設ではなくても良いのです

 集まる場があれば、常設でなくても良いのです。1週間に何度か集まり、食料品を中心とした日常品を入手する場が必要なのです。市場の起源である「市(いち)」に戻って、定期的に市を開くわけです。4のつく日に市を開けば、四日市というわけです。

 農村にも都市の機能が必要に取り上げたバス路線は、きわめて人口がまばらですが、地域で主要な道路であるだけに、コンビニ、ホームセンター、本・レンタルビデオ店、老人福祉施設、郵便局、集会所など市の候補となりそうな場所はあるわけです。もちろんこれらの施設で夕飯の食材は揃いません。

機能の最小構成は看板とスペース

 次に挙げるものが最小限必要でしょう。

 案内係は常駐で1人配置することは、人件費の面から難しいでしょうから、間借りしている店舗の従業員に委託することになるでしょう。詳しい説明はテレビ電話を取り次いで、行政の担当係と直接やり取りすることでも良いでしょう。

 集会所など普段無人の施設であれば、近所の有力者のお宅が案内係になっても良いです。場所があれば、そのお宅が窓口となっても良いでしょう。また商品の配達時には係員が巡回すれば、大半の事務手続きはこなせるでしょう。

集まる場所さえあれば

巡回販売の拠点として

 巡回販売は、過疎地域における日常品の販売手法として事例がありますが、楽な経営ではないことは想像できます。しかし行政が赤字覚悟で経営に乗り出すことは継続的な運営という観点から好ましくありません。場を提供し、参入の環境を整えることに限定すれば、事業者にも利用者にもメリットがあると考えます。「市(いち)」を必要としている住民がどのくらい居るのかがわかるだけでも、事業者は参入後の採算性の把握が容易になります

ネットスーパーでも敷居が高いのです

 巡回販売が、採算が取れない次の手段としては、ネットスーパーとなるでしょう。パソコンで申し込めば、各家庭に届けるというサービスはスタートしているわけですが、各家庭で最新のウェブブラウザを装備したパソコンの操作をやってくれというのは、高齢者を想定した場合には困難が伴います。そもそも端末がパソコンなのか携帯なのか、FAXなのか。決済はクレジットか代引きか振り込みかと組み合わせがさまざまで、それを高齢者が選択していくというのは大変な苦労です。日常品を入手するため頭を悩ませたくありません。

 「市(いち)」という拠点に係員がいて、申し込み、決済、受け取りの手助けをしてもらえれば安心です。

更に利用者が少なければ個別対応

 このように買い物に困ったときは、バス停付近にある「市(いち)」の係員の説明を受け、日常品の購入をなんらかの手段で実現するわけです。

 逆説的ですが、利用者が少ないのが理想です。困っている人が少ないわけです。

 しかし、0人でない限り、行政の支援は必要でしょう。行政の職員が御用聞きをすることもひとつの方法かもしれません。しかし、徒歩で「市(いち)」に利用者が引き取りに来るということは原則でしょう。

市(いち)は位置(いち)

50坪で採算がとれても取りこぼしはある

 テレビ番組でもこの話題は取り上げられています。まず驚かされるのが、人口が密集する住宅地であっても、徒歩で買い物をするのは困難であること。番組で取り上げられていた食品スーパーでは1つの店舗を100坪や50坪に縮小した作戦で、きめ細かい出店を図っていました。もちろん、企業である限り、すべてを網羅することは出来ず、不便地区を解消することは期待できませんから、行政の対策は必要です。

「場所の位置づけ」は残る

 中でも印象的だったのは、公団住宅の中心施設に設置されたスーパーの撤退です。上記の食品スーパーがその代わりという取材だったのですが、考えてみれば中心施設があるということは大切なのことです。

 バス停の付近に市(いち)といえば物流施設のような印象を受けるでしょうが、それを超えた地域の中心という役割も担えるのです。単に日常品を引き取るだけでなく、買い物途中の情報交換、つまり井戸端会議も重要な役割になってくるでしょう。

 ネットスーパーでは各家庭で全てを完結することが可能です。しかし、あえて市(いち)に機能を集約するのは、高齢者だから機械の操作が苦手だからということだけではありません。集まることでコミュニケーションの場が広がることを期待できます。方法も、ネットスーパーだけでなく、商品を手にとって購入する巡回販売に転換するなど柔軟に変更可能です。利用者は市(いち)に行くだけで、さまざまな煩わしい手続きに悩まされず、買い物という目的を達成できるのです。

 「市(いち)」は進化して、常設の店舗を指すようになりました。しかし原点に戻れば、単に「位置(いち)」を指すものなのだと考えれば、方策も立てやすいのではないでしょうか。

 人が集まることを重視するなら、受け渡し時間を限定することも、多少不便ながら意味あることが理解できるでしょう。

(11.01.10追加)

12.09.24追加

国土交通省では「小さな拠点」と命名しています。何か事業を始めたというわけではなく、市町村で自発的に取り組まれている活動を「小さな拠点」と称して紹介しています。事例として多いのが道の駅を活用したものです。

道の駅はもともと、高速道路におけるサービスエリア機能を一般道路に導入することがスタートでした。しだいに農産物直売施設など地域経済の拠点としての機能が重要視されるようになり、こんどはその拠点性を住民サービスの拠点として生かすという流れになっています。

今後は、全ての住民が「小さな拠点」へアクセス可能となるよう、

  • 小さな拠点を中心とした公共交通の整備
  • 徒歩圏で行ける小さな拠点の整備

のいずれかが求められるところでしょう。

[参考サイト]
日常生活サービス機能が集約した「小さな拠点」事例集を作成しました
「人口減少・高齢化が進む集落地域等において、医療・福祉、買い物等の日常生活サービス機能が集約した「小さな拠点」が、「道の駅」に隣接して形成されている事例集を作成しました。持続可能な集落地域づくりを進める上で参考となることを期待しています。」

(10.12.27)

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