[最小の構成]
農村にも都市の機能が必要

交通手段の保障は基本です。

Contents
>バス路線沿道は他とは違う
>大切な地域という意識がないバス沿道
>仕分けの基準に加えてほしい公共交通へのアクセス
>支援のパッケージ化(15.04.20追加)

15.04.20追加

バス路線沿道は他とは違う

 「農村」と呼んでいますが、行政上の位置づけは「町」となります。典型的な車社会で、鉄道駅は隣接市にあります。

農業主体の自治体
写真a

 街道筋にあったことから、かつては栄えていたようですが、現在は、鉄道駅を擁する隣接市が地域の中心都市となっています。

 この町へは所用で行き来することがあったことから、農村の例としてここを取り上げています。

 鉄道駅と町役場を連絡するバス路線もあります。1時間に1本〜2本運行されていますから、少々不便ながらも公共交通の使命は果たしているでしょう。

生活に不便しないバス運行
写真b

 余談ですが、全く地元住民のためのバス路線で、時刻表をウェブサイトで入手できない状況でした。時刻表を携帯のカメラで撮影して、帰路の発車時刻を逃さないようにしていました。

 町内において、その他のバス路線は1日数便の運行に限られ、かなり不便を強いられるものです。

 町域のうち、鉄道駅・町役場間のバス路線から1km以内(歩いて15分程度)のエリアを黄色で図示してみました。そのエリア(黄色の部分)の面積を求積してみると、町域の8分の1にあたります。この黄色のエリアは大切にしたい部分です。

バス路線から1km圏内
地図a

 残るきみどり色の部分は山と農地が主体で、住宅も点在しています。車なしでは生活が困難です。

大切な地域という意識がないバス沿道

 バス路線はたまたま古くからの街道筋で商店街が形成されている道路ですが、そこを中心に公営住宅、公益施設などを集中的に配置しようという発想はなさそうです。むしろ、土地代の安い離れたところのほうが広い駐車場を確保できて住民の多くに喜ばれるという発想があるかもしれません。

 見渡してみてそこがバス路線である目印は、バスの標識のみです。それも、不便なバス路線かも知れません。車で移動する限りは、黄色のエリアの存在はほとんど意識されないでしょう。

 町もほとんど意識していません。

 都市計画図は真っ白です。特に、ここを商業地域だとか低層住居専用地域だとか指定していないのです。基本が農地か山林ですから、用途の転用許可(この基準が厳しい)が出るのであれば、どんな建物が建とうがあまりかまわないのです。

都市計画図の色分け
地図b

 町としては、すべての地域が大切な住民の生活の場ですから、基本は分け隔てなく扱うということです。コミュニティーバスは町内全域をカバーし、町内の公共施設を結んでいるのです。町内の公共施設ですから、隣接市の駅とかショッピングセンターには行ってくれませんし、公共施設の空いている夕方までしか運行されません。コミュニティーバスは、役場の送迎バスであって、公共交通とはいえないのです。

町内をくまなく(ただし駅には寄らない)
地図c

仕分けの基準に加えてほしい公共交通へのアクセス

 黄色のエリアは、車を持たない人にとってはこの町で唯一生活できる地域です。きみどり色のエリアでは、自家用車が必要となります。そういう大切なエリアであることはわかっていても、つい忘れてしまうのが上記でも取り上げたとおりです。

 ですから、公営住宅を事業仕分けするときに、「安く」だけを目安にしてしまうと、きみどり色の方が有利になってしまいます。不便だから安いのに決まっているのです。入居したいのに車がないから入居できない住宅に意味はありません。

 「最小の構成」として、行政が保障する住居には、必ず公共交通にアクセスという条件が不可欠なはずなのです。

 

支援のパッケージ化(15.04.20追加)

この度、浜田市では、子育て中のシングルペアレントの方が市内の介護保険サービス事業所で就労の研修をされる場合に、新たな支援制度を始めます。
浜田市へ移住して新しい環境でのリスタートにチャレンジしてみませんか?
○月額15万円以上の給与
○養育支援
○家賃補助 ○自動車の提供
○その他・・・

 就労の支援、交通手段の確保といくつかの支援メニューをパッケージにしてあるので、具体的な生活が想像できやすいのです。

 そもそもIターンなんていうものは、失敗のリスクもあることから、金銭的に余裕がないと、できないことなのです。

 とにかく最初の1年目から、働きながら生活する道筋を準備しておいてくれるというのは助かると思わけです。

(10.11.01)

この話題に関する情報、ご意見などがありましたら是非お寄せください。

文責:kita jdy07317@yahoo.co.jpまたは流れのヒントの日記
リンクはご自由に © 2003-2017 kita