行列はまだまだ終わりません。
押し寄せる人に直面して、いかにさばくかということが、当面の目的になってしまって、それ以外のことには頭が回らなくなってしまうところです。あまりにも手に負えないのであきらめてしまっているというのが現状でしょう。
学生時代に通った学校が、とんでもない郊外に移転することになり、移転の初年度にその移転先に通う羽目になりました。「○○学研都市」という田園地帯で、学生街なんてありません。必然的に学校が用意した学生食堂を利用するのですが、大混雑です。先に商品を購入してからだと席が確保できませんから、先に席取りをしなければなりません。ところが席取りをすることも競争なのです。食べ終わりそうな人の後ろに背後霊の様にとりつき、食べ終わるのを待つという悪習慣がはびこってしまいました。背後にとりつかれた人は落ち着かず、そそくさと退散し、私たちはカバンを置いて席を確保するのです。ここまでひどくなると雑談を決め込む根性のすわった人もめっきり減り、食堂内はシーンと静まり返り殺伐とした雰囲気が漂うのでした。
私たちが食事を始めるまでの間、席はカバンが鎮座するのみです。こんな事をしているから有効な席が少なくなり、席取り合戦がますます激化するという悪循環になるわけです。
座席の有効利用率30%
混めば混むほどに混んでくる状況を見るにつけ、「総合的」な対策が不可欠だと考えるわけです。
私は前回までの話で、「行列を快適にすごす」ということを書いてきました。カウンターでの処理を速くすること以前にもやるべき事があるだろうということです。図書館であれば貸し出しする前、ファーストフードなら商品を注文する前です。
しかし学生食堂の例を見てもわかるとおり、混乱は後にも続いています。いくら行列を快適にしても、後が悪ければ元も子もありません。「終わりよければすべて良し」の逆を行くことになってしまいます。
前も後も大切
こんな評価表を見ると後半部分の大切さをわかっていただけるでしょう。
項目/点数 | 1点 | 2点 | 3点 | 対策 | |
---|---|---|---|---|---|
A.前 | A-1.行列の長さ | 長い | 普通 | 短い | カウンター内の増員 |
A-2.行列の混乱 | ごちゃごちゃ | 整然だけど、隣の行列のすすみ具合が気になる | 1列に整然と行列 | 行列方法の提示 | |
B.中 | B-1.商品に魅力がある | しかたなくここに来ている | 可も不可もなく | 安くて魅力がある | 商品開発、コストダウン |
B-2.注文から商品受け取りまで | 時間がかかる | 普通 | スムーズに商品がでた | カウンター内の増員 | |
C.後 | C-1.テーブルの状態 | 食器がそのまま | テーブルが汚れている | 問題なし | カウンター外の増員 |
C-2.席の確保 | 席取りするのにも時間がかかる | あらかじめ席取りする必要 | 係員が誘導 | カウンター外の増員 | |
C-3.ゴミ箱等 | ゴミが散乱 | 整理されている | 係員が片ずけてくれた | カウンター外の増員 |
「C.後」に示した部分が、行列の後半というわけです。カウンター内の増員でB-1の点数がアップしても、C-1からC-3をおろそかにすると、全体的な点数は減点されるという理屈です。
この表は「C.」の後半部分だけが不当に強調されていると思えるのであれば、配点の割合を変えてやれば良いでしょう。例えば、「うちは商品に自信があるんだ」と、言うことであれば、この項目については配点を10点満点にしても良いでしょう。そうすれば、多少行列する人の不満が出たとしても商品の力で、満足度は対して変わらないということになります。
しかし一般的に提供される側は、提供する側が考えているほど「商品」そのものに高い評価を与えていない様です。「ここは質はいいけど店員さんの態度がちょっと」なんて会話は良く聞かれます。
何が何でも「商品の質で勝負だ」なんて言ってるより、行列に対して「総合的」な対策を講じる方が大切だと思うのです。そしてその行列は、前だけでなく後にも続くという認識が必要なのでしょう。
(04.04.19)
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