2.09 快適な行列

2.09.0 行列は悪くない

人の流れに波がある限り、行列はできてしまうのです。行列を短くする努力はうれしいのですが、快適に行列に並べることはもっとうれしいのです。

行列を良しとしない考え

どこに並べばいいのか

 時たま、図書館の館長さんに苦言を呈すことがあるのです。「貸し出しのためにどこに並べばいいのか?」と。貸し出しカウンターがひとつあります。混んでくると、となりの案内カウンターの端末も活用して行列をさばきますす。問題はその対応が気まぐれなところ。

  1. まず貸し出しカウンターの行列が長くなってくる。
  2. でも案内カウンターでの貸し出しはまだ始まっていない。
  3. 後から来た利用者が本を借りようと、何故か案内カウンターの方にやってくる。
  4. 貸し出しカウンターの行列を尻目に、案内カウンターでは貸し出しに応じる。

図書館での貸し出し
図書館での貸し出し

 気の利いたスーパーだと「先にお並びの方からこちらへ」と、招き入れてくれるのですが、公共の図書館のみなさんは接客に関してはほとんど素人です。そんな気遣いは期待できません。だから、「一体どこに並べば良いんだ」と、声を荒げてしまうのです。そんなわけで皆さん、並ばずにカウンター前にうろうろしています。並んでいるとバカをみるといわんばかりです。モラルの低下なんて、対応する側の無神経さからくることが多いと思う実例です。

気の利いたスーパーの対応
気の利いたスーパーの対応

 館長さんも問題点は分かっておられます。「たくさんの利用者をさばくのにパニックになっている」と、素人のような悩みをうち明けてくれました。

 係員がパニックでは利用者はますますいらいらが募ります。そこで最近はやりの一列並びを提案してみました。床に並び方を表示して、知らぬ間の割り込みを避けるようにというものです。
 返事はダメだということでした。明確な理由は聞かせてもらえません。

 処理能力を高めるために増員するというのが解決策のようでした。一日のうちで、カウンターが頻繁に混乱するわけではありません。そのための増員という解決策は、経営面では安易すぎるように思えます。

マクドナルドも行列をつくらないが原点

 図書館の館長さんが行列の長さを短くするよう努力しているのと同様に、マクドナルドの創始者も行列をつくらないことがお客さんに対するサービスであるとの考えでした。

 マクドナルドの創始者は、レストランに並ぶ長い来るあの列を見て、クイックサービスレストランを決意したといいます。厨房と客の距離を短くし、メニューを簡単にスピーディーな対応により行列そのものを短くしようとしたのです。

 創業以来のポリシーである迅速な商品の提供をかかげて堅持しているカウンターでの対面販売。客を待たせないという心がけはうれしいのですが、一旦行列が出来始めると大変なのが実状です。

(04.08.09追加)

 マクドナルドでもフォーク並びが導入されていました。写真はその床の表示です。これがいらいら解消の特効薬だと思うのです。

フォーク並びの案内
フォーク並びの案内写真

現実は混沌とした昼時

一旦混み始めたら収拾がつかない

 この手の理想は、限界を超えるとコントロールが利かなくなってしまう危険性があります。客の数が少しずつ増えてゆき、さばききれなくなると、そこは混乱が支配する世界です。

 私はマクドナルドは大好きなのでちょくちょく足を運びますが、昼時はイヤになってしまいます。ある程度待つのは仕方ないとして、隣の列のすすみ具合がどうしても気になってしまうのです。私の前の客が職場の仲間用にと十人分まとめて持ち帰りということになるとがっくり来ます。こんな気持ちは私だけではないでしょう。待つ時間を短くする努力はうれしいのですが、現に出来てしまった行列に対して、快適さを提供するという視点が是非必要です。

行列の出来る店の方が安心

 いっそいつも混雑で行列の出来る店の方が良いのです。店員さんは行列の扱いになれていますし、並ぶ方もわきまえています。

 行列の出来る店ではこんな情景が展開されることでしょう。

 こんな良い流れができるなら、行列も悪くないのでは?

(04.03.22)

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2.09.1 1列ならうまくいく

行列は1列に限ります。

フォーク並び

 前回取り上げた行列の方法−−1列に並んでいて開いた窓口から順に呼ばれて行く−−はフォーク並びと呼ばれているようです。
 このフォーク並びは欧米では一般的な様子で、アメリカでの徹底ぶりには感心したものです。

フォーク並び
フォーク並び

 日本でも遅まきながらフォーク並びを普及させようとする機運に対して「欧米に較べ待合いスペースが小さいから大がかりな装置は設置できない」とか、「日本は譲り合いの精神がある」とか反発があったように記憶しています。

ゆずりあいのお国柄?

 アメリカのような多民族国家に較べて、国民お互い同士に共通の認識が育ちやすい風土であることは言えるでしょう。しかし裏を返せば村社会の名残です。ルール違反をしたとき「かみなりおやじ」に怒鳴られるくらいならはっきりして良いのですが、村八分よろしく、かげでこそこそ後ろ指を指されて恥をかくなんていうのは願い下げです。

 アメリカでは暗黙の了解なんてものはあきらめて、先にルールが示されます。フォーク並びにしても、白線を描いたり、ロープで区切ったりとても良くわかります。ファーストフード店内で鉄製の立派な柵が設置されているところなどを見てしまうと、日本に導入できないと思う気持ちも分かります。トイザラスやディズニーランドに立派な仕切が林立するところを見ると、日本では多少違和感があるでしょう。

鉄の柵
鉄の柵

やっぱり普及してきました

 しかしながらフォーク並びもようやく普及してきたようです。銀行のATMとかトイレを始め、軽量な商品を扱っている文具店や百円ショップのレジにも見かるようになりました。
 意外にも狭い場所での混乱を防止するのに結構役に立っている様です。前回取り上げたマクドナルドも、小さな店に先行して導入導入されているのを見かけました。狭いからダメだと言っていた人は、日本の適応力をあなどっていたとしか思えません。

せめて1列並びは維持したい

フォーク並びのデメリット

 フォーク並びのデメリットに、呼ばれて窓口に並ぶのに時間がかかるというのがあります。「お次の方どうぞ」と呼び出している間に2人分3人分の処理が終わってしまうような短い処理には適していません。

 コートや荷物を預ける催し物会場でのクロークはそんな短い処理にあたるでしょう。

利用者はちょっと我慢のクロークでの対応

 ある催し物会場のクロークでは2人の係員体制で荷物の返却にあたっていました。行列の方針としては2列に並ぶというもの。1列に並んで来た人から順に対応していくと渡し間違うということなのでしょう。

2列並びのクローク
2列並びのクローク

 対策として、図面に示したように、Aの係員は必ずイの窓口で、Bの係員は必ずロの窓口で対応するようにしておけば、間違いはありません。しかし待つ身はいらいらです。2列に並んだもう1列が気になります。ちょっとでも遅れると、こちらに並んだことを後悔します。利用者の気持ちを犠牲にして安全を優先優先した運営者サイドの発想ですが、解決策が無いわけではありません。

工夫次第で1列並びも可能

 ある古くからあるホテルのクロークでは1列並びを実施していました。もちろん安全を犠牲にしたわけではなく、ちょっとした工夫で実現していました。荷物と引き替えにもらう荷物札に加えて、受け取りの時だけ有効な受け取り札を用意するものでした。受け取り札は、係員ひとりに1枚だけ用意されていて、荷物を探しに行く間、利用者に持っていてもらうのです。荷物を渡すときに利用者より受け取り札を返してもらうようにすれば、渡し間違いはおこりません。

1列並びのクローク
1列並びのクローク

 さすが長年の蓄積だと感心しました。

不要に見えても心の準備は

いざという時に備える

 混んだ場所での行列は周到な準備があるもので、意外に快適なものです。ところが普段は空いているところに限って、混雑したときに大混乱がおこるということが良くあります。確率的には低くても行列する方法はあらかじめ示して置いて欲しいのです。滅多にない事に備える防災訓練の様なものです。

行列にするという発想がなかった

 ある観光地でのこと。山頂の展望台に行くために2種類ののりものが選べました。ひとつは屋根の無い(スキー場にあるような)リフト、もうひとつは定員20名ほどの小規模なモノレールで15分間隔に運行されていました。
 このモノレールは滅多に混まないのです。なぜなら天気の良い日は待ち時間がないリフトを利用できますし、雨のときはそもそも展望台に利用者は上がってきません。

 ところがめずらしく、モノレールが満員になりました。突然雨が降ってきたのです。数分前まで下界が見晴らせていたのにです。
 こんな事は稀ですからモノレール乗り場でどう行列するかなど考えられてはいません。係員は経験無さそうな若い人で、何の案内もせずに乗車の時間になりました。案の定、定員オーバーになりました。問題は、乗りきれなかった人が一番最初から並んでいた人だったという事実。なんとも変な話です。
 後から来た人を責めるわけにも行かないでしょう。

 日常生活で結構こういうことはあります。運営者が思っている以上に利用者はどう並べばいいのか知りたがっていると思うのです。

12.11.26追加

 数年経ち、フォーク並びはずいぶん浸透しましたが、マクドナルドではフォーク並びが見られません。

 マクドナルド伝統の「お待たせしません」については、ますます徹底されており、注文を受けて90秒で提供できなければビックマックの無料券が配られるという熱の入れようです。

 あらかじめ注文内容を決めてもらえるよう、カウンターに置くメニューを撤廃したところ、不便だという批判の声が上がっているようです。スピードアップなんかより、

の解消をまじめに検討してほしいものです。

 企業であることですから、評判が悪くなって収益が減少するのは勝手なのですが、社会的影響の大きな企業なのですから、快適な行列も実現して欲しいものです。

(04.04.05)

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2.09.2 行列は後にも続く

行列はまだまだ終わりません。

学生食堂は席取りに一苦労

 押し寄せる人に直面して、いかにさばくかということが、当面の目的になってしまって、それ以外のことには頭が回らなくなってしまうところです。あまりにも手に負えないのであきらめてしまっているというのが現状でしょう。

 学生時代に通った学校が、とんでもない郊外に移転することになり、移転の初年度にその移転先に通う羽目になりました。「○○学研都市」という田園地帯で、学生街なんてありません。必然的に学校が用意した学生食堂を利用するのですが、大混雑です。先に商品を購入してからだと席が確保できませんから、先に席取りをしなければなりません。ところが席取りをすることも競争なのです。食べ終わりそうな人の後ろに背後霊の様にとりつき、食べ終わるのを待つという悪習慣がはびこってしまいました。背後にとりつかれた人は落ち着かず、そそくさと退散し、私たちはカバンを置いて席を確保するのです。ここまでひどくなると雑談を決め込む根性のすわった人もめっきり減り、食堂内はシーンと静まり返り殺伐とした雰囲気が漂うのでした。

 私たちが食事を始めるまでの間、席はカバンが鎮座するのみです。こんな事をしているから有効な席が少なくなり、席取り合戦がますます激化するという悪循環になるわけです。

座席の有効利用率30%
座席の有効利用率30%

 混めば混むほどに混んでくる状況を見るにつけ、「総合的」な対策が不可欠だと考えるわけです。

行列の後半も大切

 私は前回までの話で、「行列を快適にすごす」ということを書いてきました。カウンターでの処理を速くすること以前にもやるべき事があるだろうということです。図書館であれば貸し出しする前、ファーストフードなら商品を注文する前です。
 しかし学生食堂の例を見てもわかるとおり、混乱は後にも続いています。いくら行列を快適にしても、後が悪ければ元も子もありません。「終わりよければすべて良し」の逆を行くことになってしまいます。

前も後も大切
前も後も大切

 こんな評価表を見ると後半部分の大切さをわかっていただけるでしょう。

項目/点数 1点 2点 3点 対策
A.前 A-1.行列の長さ 長い 普通 短い カウンター内の増員
A-2.行列の混乱 ごちゃごちゃ 整然だけど、隣の行列のすすみ具合が気になる 1列に整然と行列 行列方法の提示
B.中 B-1.商品に魅力がある しかたなくここに来ている 可も不可もなく 安くて魅力がある 商品開発、コストダウン
B-2.注文から商品受け取りまで 時間がかかる 普通 スムーズに商品がでた カウンター内の増員
C.後 C-1.テーブルの状態 食器がそのまま テーブルが汚れている 問題なし カウンター外の増員
C-2.席の確保 席取りするのにも時間がかかる あらかじめ席取りする必要 係員が誘導 カウンター外の増員
C-3.ゴミ箱等 ゴミが散乱 整理されている 係員が片ずけてくれた カウンター外の増員

 「C.後」に示した部分が、行列の後半というわけです。カウンター内の増員でB-1の点数がアップしても、C-1からC-3をおろそかにすると、全体的な点数は減点されるという理屈です。

 この表は「C.」の後半部分だけが不当に強調されていると思えるのであれば、配点の割合を変えてやれば良いでしょう。例えば、「うちは商品に自信があるんだ」と、言うことであれば、この項目については配点を10点満点にしても良いでしょう。そうすれば、多少行列する人の不満が出たとしても商品の力で、満足度は対して変わらないということになります。

 しかし一般的に提供される側は、提供する側が考えているほど「商品」そのものに高い評価を与えていない様です。「ここは質はいいけど店員さんの態度がちょっと」なんて会話は良く聞かれます。

 何が何でも「商品の質で勝負だ」なんて言ってるより、行列に対して「総合的」な対策を講じる方が大切だと思うのです。そしてその行列は、前だけでなく後にも続くという認識が必要なのでしょう。

(04.04.19)

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2.09.3 行列を制するのは一番偉い人

下っ端の店員さんがうまく行列をさばいている様にみえても、それは一番偉い人の配慮次第なのです。

このページは他のページとあわせて再構成しました。内容は2020二車線の混在は要注意(2020.html)2021車幅減少か車線減少で大違い(2021.html)2022高速道路のジャンクションは要注意(2022.html)のいずれかに移動していることがあります。

組織全体の問題として

自習室での席取り攻防

 図書館では今日も受験生が快適な学習環境を求めて開館前から入口で列を作っています。並ぶのが早ければ早いほど確実に席が確保できる仕組みです。

 一見公平のようですが、午後から利用したい人も朝から並ばないといけないことになってしまいます。仮に午後から利用したいと思っても、退出する人が無ければ利用できないということです。

 私はかつてアルバイトの事務員として予備校の自習室で管理をしていました。本の貸し出しだけでなく、席取りのための荷物に占領されないように、座席の利用率の向上が大切な仕事でした。授業は午前中だけで、午後から自習室を利用しようと思っても席がありません。朝から並ばないといけないのです。もちろん午前中は授業に出る必要がありますから、席取りのための荷物だけが座席に鎮座するということになります。

 私たち事務員は、その荷物を取り除くのが仕事となっていました。利用率の向上という大義名分はありますが、心苦しい限りです。しかしもっと心苦しいのが、いくら利用率を向上しても、座席が不足してしまうのです。これでは、いくら「有効な座席の利用」を呼びかけても、説得力はありません。

行列の問題は全体の問題

 知恵比べが巧妙になり、友達同士で席を融通しあうといったテクニックが一部の学生達の間で定着する様になりましたが、対策を講じたところでまた新たな抜け道が出てくることでしょう。結局、この辺で静観するということに落ち着きます。これまでが現場でできる対応の限度です。

 これから先は、組織のトップの分野です。経営者などの権限と責任の両方を持っている人が解決する問題というわけです。学生の不満が経営を揺るがすと思えば、近隣の貸し事務所を利用してでも座席を提供することになるでしょう。一方、ほとんどの学生は1年限りでやめていくということから、学生の声を軽視すればなにも対応策は出てこないでしょう。
 学生不足の近年では、各予備校が充実した自習室をアピールする点として、強調している様です。自習室前で学生に行列をさせるなんて、経営上問題があると判断なのでしょう。

 行列の混乱は人災です。組織のトップが回避しようと思えば回避できるし、必要ないと思えばいくら現場ががんばっても回避できないものです。

周囲で何が起こっているのかわからない現場

旗振りをする私

 学生時代に、交通整理のガードマンのアルバイトをしたことがあります。道路工事で、旗を振っているあの人達です。
 ある日の担当は、1桁国道(つまり重要な道路)の深夜工事に伴う、片側車線規制でした。2車線を1車線に規制し、残りの1車線を使って、片側ずつ交互に通行させるというものです。ガードマンは、先輩と私の2人。タイマー付き信号で「とまれ」「すすめ」が自動的に表示するので、人間の仕事は大したことはないと思われました。旗(夜なので、赤く光る棒)を振って注意を促す程度のことです。しかし、このタイマーが命取りだということは最初気づきませんでした。

ドライバーがいらだってきた

 私は工事現場の西側担当でした。結構交通量の多い道路でしたが、車の列は思ったほど長くなりません。最も混んでいる状態でも最後尾が見える状態で、「夜は空いているんだ」と、思ったものです。私は気楽に時間が過ぎるのを待っていました。タイマー付き信号機がしっかり仕事をしているので、私が何もしないでいても交通は混乱しません。
 ところが同じ頃、工事現場の東側で旗を振っていた先輩は、大変つらい目に遭っていたようです。ドライバーはどんどん信号無視をし、車からわざわざ降りて来ての苦情の嵐。実は空いている西側と異なり、東側の渋滞は10kmもの長さにおよび、ドライバーは我慢の限界に達していた様なのです。パトカーが出動する騒ぎだったと言うことですが、渋滞に巻き込まれ、私たちのいる工事現場にはたどり着いていません。

西は順調、東は大混雑
西は順調、東は大混雑

どちらも混んでいるのなら、あきらめもつくのですが

 ここで問題なのは、西側(私の方)は渋滞していないのに、東側だけ10kmもの渋滞になったことです。信号機のタイマーを調整して、東側からの通行量を増やせば、均等に5kmづつの渋滞に縮小することは可能でした。しかしその時、無責任なことに、だれも事の重大さに気づいていません。

 こんな調子ですから、ドライバーの不満をよそに、工事の当事者は渋滞について考える間もなく朝になり、工事は終わってしまったのです。ドライバーも、苦情の持って行き場もなく、「喉元すぎればなんとやら」式に、このことは忘れ去ってしまうでしょう。渋滞の先頭というものは、結構こういった人災も多いのではないでしょうか?

権限の委譲

セルフのうどん屋さん

 行列をきちんと制御できないと利用者の不信をかってしまいます。良く店員さんのモラルとか自主性とかで論じられることがあるのですが、店員さんは自分の役割があります、自分の判断で行列の交通整理を始めるわけにはいかないのです。

 店員さんは自分の意志で勝手に行列の交通整理を始めることはできませんが、店長さんから役割を与えられて行動することは可能でしょう。わかりきったようなことですが、「行列を混乱しない様に整理する」という役割をきちんと与えられていることが少ないように思えます。

セルフのうどん屋さん
セルフのうどん屋さん

 きちんと店員さんに役割が与えられていると感心したのが、あるセルフのうどん屋さんでした。食器の片づけしている下っ端の店員さんが座席に荷物を置こうとしている客に対し、「先に商品をお受け取りください」と席取りを制しています。充分に席が空いていればそんなことばも説得力を持ちますが、結構混んでいる店内では、席が無くなってしまう心配があります。席が無くなったらどうするんだと半信半疑で様子を見ていました。

 案の定だんだん座席が少なくなってきました。するとその店員さんが「あと2人で座席がいっぱいです」と、カウンターに向けて号令をかけたのです。うどんを提供する担当者が作業をストップし、「席が一杯ですのでもうしばらくお待ちください」と客を待たせます。ゆでたてうどんがのびてしまわない様にとの配慮でしょう。下っ端店員さんが行列を全体を制した瞬間でした。

 この下っ端店員さんがひとりいるだけでも、利用者からの好感度はアップです。席を探してうろうろ徘徊する心配はありませんし、前の人の食べ残しで席が汚れていることもありません。前回の話題行列は後にも続く(2092.html)で取り上げた評価表では、かなりの点数を稼ぐ存在だと思います。
 多くの店ではこの店員さんの役割がなく、カウンター内で必死の形相で動く店員さんがスピードアップに努めています。いくらがんばっても、行列を制しない限り利用者の不安、ひいては不満は解消されないでしょう。

下っ端の店員さんでも行列を制御できるようにする

 上記のような例はいつも混雑した店舗であるから、マニュアル化しやすいという部分があるでしょう。普段は閑散とし、たまに混雑するというような場合は、下っ端店員さんに混雑を想定した役割をうまく与えるというのはなかなか難しいところです。やはり不測の事態に対しては店長さんが直接対応するという必要があるでしょう。しかし、あくまでもこれは緊急事態に対する対応です。緊急事態は長く続けてはいけません。

 ファミリーレストランでやけに張り切ったマネージャーさんがいます。すべての情報はマネージャーさんに集まりマネージャーさんが指示を出していきます。ただこの人達は単にその店の業務運営に問題があるから、その火消し役にやってきただけです。店員さん達に基本動作が身についたらさっさと他の落ち目な店舗を救済に立ち去るのが仕事です。

 あくまでも店員さんに行列を制するための役割を教育するという視点が必要でしょう。もちろん、自らは黒子であるべきということは組織のトップとなる人はご存じのはずでしょう。しかし混乱を立て直し、組織をまとめていくうちに、自らの英雄的な立場に酔いしれてしまうということもあるかも知れません。それが高じて最前線に立って指示をするのが自分の仕事のようになってしまったら、組織はそのトップ無しには運営できなくなってしまいます。そんなことにならないように、下っ端の店員さんが行列を制する組織を目指して欲しいところです。私も下っ端の店員(係員)さんが張り切っている組織に好感が持てます。

(初出04.05.03)(再編集09.01.26)編集前(log/2093.html)

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2.09.4 良いサービスの提供は受け手の協力から

昼食くらいのんびり食わせろという客が増えれば、低価格を維持できないことだってあり得るのです。

絶妙な丼の流れ

 昼時の食堂は入れ替わり客が立ち替わりで落ち着かないものです。さっさと食べて席を譲れなんて決して口には出せませんが、普段の流れというものがあります。その流れを乱すのは考えものです。

 私の勤務先は神田神保町から徒歩圏にあります。テレビや雑誌におなじみの有名飲食店が数多くが軒を連ねるこのまちは、サラリーマンのおじさん御用達のお店も数多くあります。こぢんまりとしたカウンター席だけの店で、おいしく、安く提供してくれています。安いからといって粗悪でないのが良いところです。

 カウンター席が15席ほどの天丼の店もその一つです。カウンターはきちんと磨かれた無垢の一枚板。割り箸は、ささくれが気になるような粗悪品ではありません。みそ汁は乾燥ワカメと麩の即席ではなく、いつもうまみたっぷりのしじみ汁です。炊いたご飯は必ずおひつに入れるという心遣いもうれしい限りです。ついでに漬け物もうまい。

 この店の低コスト運営の秘訣は店員さんの流れるような動きです。行列の出来る店ですから行列の待ち時間に店員さんの無駄のない動きが良くわかります。行列に並んでいるときに注文を聞かれます。一度に5人から6人づつ、天ぷらが揚げ終わったときにちょうど全員が着席するという絶妙な時間を見計らっているのです。着席してから揚げているのでは客の回転が悪い。かといって客が着席する前に出来てしまったら、さめてしまう。5杯づつにするか6杯づつにするか、店長の長年の勘がものを言うのです。

だらだら食べるのはお行儀悪いです

 この日はめずらしく女性が目立ちます。

 5人もの女性がカウンターに並ぶというのはおじさんご用達の食堂としては異例のことですが、奇異の目で見るのはやめておきます。女性だけの中で私がジロジロ見られるなんて立場になれば困ってしまいます。

 しかし、行列に並ぶ私たちにはちょっとした不安があるのも事実です。「流れが乱れないか」と、言うことです。事実、50代の女性はかなりのんびり口に運んでいます。おじさん達の倍は時間がかかるでしょう。でもこれは個人の自由です。店長さんも長年の経験からこの女性がゆっくり食べる人だと言うことは百も承知でしょう。

 しかし、20代の2人組と30代の2人組は問題有りです。おしゃべりに興じているのです。途中で満腹になって、箸がすすまないのかも知れません。おしゃべりしながら「ぐちゃぐちゃ」天丼をかき混ぜています。ここまで来ると、のんびり食べるというより「行儀が悪い」食べ方です。そのうち食べるのが遅かった50代の女性が食べ終わりました。黙々と食べてくれれば、いくら遅くても食べ終わるものなのです。

 そして恐れていたことが起こりました。天丼が出来上がったのに、席が空かないのです。4人が席を占拠しているからです。私は運悪くこの4席の内のひとりなのです。これは「早く食べろ」の視線を浴びせるしかありません。おしゃべりばかりしてちっとも食べていないのです。

 店長の前には出来あがった天丼がいくつか置いてあり、席が空くのを待っている状態です。これを見て、4人もようやく自分たちのおかれている状態に気づきました。無言になり、そそくさとかき込み始めました。早く気がついて欲しかったものです。

 ちょっと気の毒ですが店長の絶妙な流れを乱してしまうのは考え物です。初めて訪れた店で暗黙の了解がわからなかったのかもしれません。良質な商品を手軽な価格で提供するために、客にも心得ておかなければならないルールは意識すべきでしょう。

(04.11.08)

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2.09.5 なんとなくフォーク並び

スタンプラリーでのいろいろな並び方

 今年もスタンプラリーの季節がやってきました。JR東日本では、こどもに大人気のポケモンにあやかっているものですから、私も息子にかり出されてしまっています。

 9:30〜16:00という短い時間の中で回らなければなりませんから、時間との勝負です。つい足早になり、他のお客さんの迷惑になっていることでしょう。

 時間との勝負ですから、行列には敏感になるものです。スムーズな流れを切望するところです。興味深く拝見させていただいているのが各駅毎の対応の違い。マイクで積極的に誘導している駅があるかと思えば、駅長さんが一人ぽつんと立っているだけの駅があったり。きちんと床にマーキングをしている駅があるかとおもえば、マーキングが無いために誘導に大勢の係員がつきっきりになる駅があったり。

対象を横に並べるとフォーク並びになる

 各駅総じて熱心に快適な行列をつくる工夫をされているのでなかなか好感が持てます。それぞれの駅の条件に応じて最適な対応を心がけておられます。

 そんな中で、うまくやっているなと感じたことがありました。スタンプ台と行列の方向のことです。

 邪魔にならなければ、スタンプ台に対して垂直に行列をつくるよう誘導するでしょう。1列ならいいのですが、短くしようをそれを2列にした場合、右の人は右のスタンプ、左の人は左のスタンプという意識が働いてしまうのです。

 結果として、スタンプを押すのに手間取るちびっ子がいると、フォーク並びの様に

左右の領域がはっきりしてフォーク並びになりにくい
たてにならぶ
たて

 ところが、行列をスタンプ台の並びと平行にする、つまり壁際に行列をつくる、と不思議とフォーク並びになるのです。右の人は奥、左の人は手前という風に固定しては考えないのです。

左右の領域が曖昧で自然とフォーク並びになる
よこにならぶ
よこ

 そう考えると、まず下の写真のように、スタンプ台の後ろに並ばないようにガードしておくのが混乱を避ける最上の方法なのかも知れません。

自然な行列に備える
閑散

(06.07.31)

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2.09.6 エスカレータも一列に誘導

急ぐ人、すばやく動けない人がエスカレータという狭い幅に集中するのですから矛盾も付き物です。

 エスカレータは2人分の幅が主流ですが、1人分が理想だと思うのです。

階段をエスカレータに置き換えるのは行列の原因

 バリアフリー法の成立で、駅はエレベータやエスカレータの設置で大忙しです。乗り降りが楽になるのは歓迎ですが、エスカレータは階段に比べて輸送力が不足します。実際に階段が完全にエスカレータに置き換わった所での混雑は相当です。階段であれば、その幅いっぱいをつかって6人位並んで改札階に行けたものが、エスカレータだと1基(2人分の幅)程度になるのですから仕方ありません。

ホーム階行きはいつもがらがら

 改札階行きのエレベータが、列車が到着するたび大混雑するのに対して、ホーム階行きのエスカレータはいつも空いています。合計すると同じ人数になるはずですが、一時に集中しないので結構空いて見えるわけです。混雑に応じて幅が拡大したり縮小したりなんて、融通が聞かないところも悔しいところです。

 融通が利かないエスカレータより、階段を残す方がいいと思うのです。階段を2人分の幅のエスカレータ2基で置き換えるより、1人分の幅のエスカレータとして、階段の幅を確保する方が混雑に柔軟に対応できそうです。

右をあけるのも難あり

 急ぐ人のために右側を空けるかどうかが問題になっています(一部地方では左ですが)。譲り合いで先にどうぞといっているうちは良かったのですが、「右をあけろ」が半ば強制的な風潮が問題となっているのです。高速道路の追い越し車線をのんびり走っている車に対して、道を空けろと言う感覚なのでしょうが、道路の交通をそのまま適用するのは乱暴です。

右を空けるのは混雑を助長する

 そもそも右側を空けなければならないとなれば、左側の混雑がひどくなるのは明白です。

 ラッシュアワー等はせかせかした人たちが大勢いるので、右側もそれなりに活用されています。しかし大方の時間帯では、右はがらがらというのが、よく見られる光景です。たまにしか来ない、「急ぐ」人のために左側は長蛇の列、右側は歩くことを強制される。みんなが不幸となる構図です。

荷物を引っかけたり

 安全上も支障があるようです。右側をすり抜ける際、荷物が当たったり、走っているのでぶつかったりと危険だとのこと。案外当てた本人は気づいていないものです。

子供の手を引くこともできず

 子供を横に並ばせることもあるでしょう。そんなとき、「右をあけろ」という無言の圧力は困ったものです。それに屈して、右側を譲るのは一苦労ですし、危険でもあります。

機械に負担がかかる

 そもそもエスカレータは、段を歩くように設計されていないとのこと。また片側に寄って立つと機械に負担をかけるから、真ん中に乗るようにとのことですが、

 これに関しては利用者としては困惑する論理です。二人が並べる幅があるのなら、歩いたり、片側に寄ったりする事は当然でしょう。そもそも手すりから離れてまで真ん中に立とうという人はいないでしょう。

 ですから一概に機械の都合だからとはいえないのですが、いずれにしても「右側をあけるのは難あり」ということです。

1人分の幅のエスカレータの普及

1人分の幅をうまく活用して階段を残す

 ここに工夫の一例がありますので紹介します。この駅では、1人分の幅のエスカレータ、2人分の幅のエスカレータ、階段が配置されています。

 スペースの都合なのか、階段の幅を確保するためなのか定かではありませんが、設置された1人分の幅エスカレータは、充分役に立っている様に見受けられます。

 本音としては、2基とも1人分の幅とすれば良いと思うのですが、バリアフリー法の観点から片方は広めというのが該当するのでしょう。

工夫の例
エスカレータ

スペース節約にベルトの共用方式

 2人分の幅の幅のエスカレータを1基は備えるとして、それ以外は1人分の幅でいいのではないかと思うのです。そのとき問題となるのが幅の問題。エスカレータはベルトの部分など何かと幅をとるものです。せめて隣り合うベルトを共用として見たらどうでしょう。実際には、右の人は右のベルト、左の人は左のベルトを使うので、中央のベルトは単なる仕切ということです。

真ん中に仕切
仕切

これからは周知の徹底

 雑学を扱っているテレビバラエティーで、エスカレータは真ん中に乗るのがいいのだということが取り上げられていました。理由は上記の通りで、安全性や機械の仕組みなどが理由です。業界団体のおじさんが、説明に登場していました。

 そのおじさんがいうには、自分はいつも正しい乗り方として幅広いエスカレータでも中央に乗っていて、後ろからすり抜けようとする人がいれば、わざと邪魔をするとのこと。

 やっていることは正しいことなんでしょうが、困ったことです。真ん中に乗るべきと言うのは「トリビア」とされるほどの知られていない知識です。十分な幅を持ったエスカレータですり抜けようというのは、多くの人にとって普通のこと。意地悪なんかしないで、諭していただきたいところです。

 そもそも2人用の幅があるから、端に立ちたくなるし、すり抜けたくなるのです。何とか1人分の幅のエスカレータを普及したらどうかと思うのですよ。

(07.06.04追加)

上り下りともに狭いエスカレータを発見しました。

狭いエスカレータ

 多摩モノレール玉川上水駅にありました。これなら、階段は狭くならないし、走ってすり抜ける人でヒヤっとすることもありません。急ぐ人は階段でどうぞ。

(07.07.30追加)

 京浜東北線の東十条駅のホームに上り下りともに狭いエスカレータを発見しました。

 狭いホームの幅にぴったりです。以前であれば幅広の上りエスカレータ一基のみを設置していたところでしょう。

(07.10.22追加)

 昔からエスカレータのステップに巻き込まれる事故はよくありました。「黄色の線の内側にお立ちください」という警告は、何度も聞かされているので、体が覚えています。最近は、定番の長ぐつに加え、着物やスカートの裾、サンダルなども要注意として挙げられています。あとは手すりにつかまってじっと立っていれば安全だと思いきや、相変わらず事故は発生しており、「管理責任は?」という犯人探しがマスコミをにぎわせています。

 犯人にされてはたまらないとばかりに、先進的な警告文が張り出されていました。「必ず」ステップの中央に立ちなさいというものです。

 図を見ると、「子供を守りなさい」という風に読みとれるのですが、文面には子供を特定する文字は見あたらず、利用者は「全員守りなさい」と読めてしまうのです。

警告

 警告のあるエスカレータは一般的なエスカレータと同様に2人分の幅があります。その証拠に、ステップの上には2人分の足跡のマークが表示されているのです。混雑時にも多くの人が速やかに利用できるようにという意味でしょう。ところがこの警告文面は、すべての人に対して、中央に立ちましょうという風に読みとれ、どう行動して良いのか困惑してしまうのです。

立ち位置

 上記の本文で取り上げたように、歩く人のために片側を空けてあげるというのは、エスカレータの設計上は想定外の利用方法で、危険な行為とされています。しかし、現実には譲り合いの精神が一人歩きし、暗黙のうちに片側を空けることを強制されることになっています。いやな思いどころか危険な思いをしているということを聞きます。安全のために子供と手をつないで並んいる親子連れに、「右側を空けるのがルールだ」と勘違いを押しつけることもあるようです。

 今回取り上げた警告は、巻き込み事故を機に、エスカレータの正しい乗り方を定着させようという隠れた目的があるのではないかと思うのです。良いことですが、唐突すぎます。

 今までは2人並べと言われていたところ、突然「中央」しか安全でないというわけです。一人で実行しようと「中央」に立てば、「右側を空けるのがルール」だと邪魔にされることでしょう。この様な警告があったところで、無視されてしまっているのです。

 まずは片側を空けることを当然と思っている周りの人への警告から始めないと、何も変わらないと思うのです。例えばこんな感じで1ステップづつ進めて行く必要があるでしょう。

  1. 中央に立ったり、2人で並んでいる人に対し、片側を空けるように強制しないこと。
  2. エスカレータを歩かないこと。
  3. 1人の時は中央に立つこと。

 こんな感じで段々と周知していかないと、利用者の間で混乱が起きてしまいます。

 結局のところ1人乗りのエスカレータの普及が一番だと思うのです。

(08.05.05追加)

 かつて、この駅には上り専用のエスカレータがありました。車いすの昇降も兼ねていたので幅広のエスカレータでした。近年エレベータが整備されたのを機に、エスカレータの改修が手がけられました。車いすはエレベータを利用すれば良いので、狭いエスカレータも設置可能なはずです。

エスカレータ

 整備された結果が、幅広のエスカレータが2レーン。比較的プラットホームの幅に余裕があるため、フルスペックということなのでしょう。

 降車客が多い上りエスカレータが幅広なのはまだ理解できます。しかし、乗車客主体の下りエスカレータも幅広というのが、時代に逆行しているという気になるのです。エスカレータの幅を狭めた分階段の幅の縮小を最低限にとどめておけば、降車客の混雑は少しは緩和されるでしょう。

 そもそも、急ぐ客すり抜けは危険であることは、認識され始めています。それを防ぐよう1人乗り用にすればよいと思うのです。発車間際の駆け込み客が下りエスカレータを疾走するのは、大変危険な事となるでしょう。これからも幅広エスカレータが整備の主流になる予感です。

(08.06.23追加)

 ゲストブックにこおりさんより投稿(6月9日)いただき、見学してきました。

 設置幅の関係で幅広のエスカレータと幅狭のものを1台づつ設置することになった場合、どちらを下りにするかという話題です。下りの方がスピードが出て、危ないというのはなんとなく想像がつくのですが、実際にはどうかといった点。

 こおりさんによれば巣鴨駅のエスカレータは下りが狭く、しかもゆっくりとなっているとのことで、実際に行ってみました。

 ホーム階からの昇降口は3箇所。南から2箇所は階段+幅広の上りエスカレータでした。この2箇所はJRとの連絡口につながっています。そしてもっとも北側にあるのが、階段+幅狭の下りエスカレータ。確かにゆっくり動いています。この出口の名前は「とげぬき地蔵方面改札」。高齢者の割合が多いことで有名なエリアへの出口です。

下りが狭い

 このエスカレータは、設置されてから年数が経っているようです。ずいぶん以前から足の不自由な人のニーズを的確に捉えていたものだと感心するのです。

(08.07.07追加)

幅狭のエスカレータは下りとなるのか。最近出来た駅ではそうなっているようです。

副都心線雑司が谷駅
雑司が谷駅

JR日暮里駅
日暮里駅

(13.03.25追加)

最近開業の浦和駅湘南新宿ラインホームでも下りは1列。その分ホームが広々となっています。

湘南新宿ライン浦和駅
湘南新宿ライン浦和駅

ところが同日、エスカレータスリム化の動きに不穏な動きがあったのです。

地下深くに移転した東急東横線の渋谷駅は、エスカレータの機能不足で、ホームに人があふれかえっているとのこと。他の鉄道路線への乗り換えのために商業ビルのエスカレータを1階づつ乗り継いでいくという、デパートでのショッピングを思わせる優雅な動線計画だというのです。

ニュース番組では、エスカレータの機能不足を乗客が訴えていました。その表現が「エスカレータが狭い。もう少し広くしてくれたら。」というもの。これは、正しくない表現だと思うのです。正しくは、「エスカレータが少ない」のはずです。2人用だとすり抜ける人が多いので、1人用の方が安全。輸送力が必要ならエスカレータを増やす。この問題が忘れ去られないよう祈るばかりです。

(06.09.11)

http://hint-eng.jp/jdy07317/

2.09.7 清潔なテーブル

自分でテーブルを拭く道具を提供して欲しいのです。

清潔なダスター

店員の手が回らないときもある

 セルフサービスの飲食店では清潔な(洗浄したての)ダスター(雑巾)が常に用意されていると良いと思うのです。前の利用者のアイスコーヒーのしずくがテーブルいっぱいに広がっていると、がっかりするのです。

という、ことなのでしょう。でも利用者としては

のです。需要と供給のミスマッチと言うところです。

 いっそのこと、清潔なダスターを十分用意して、テーブル拭きもセルフサービスと言ってもらった方が、不快な思いもずっと減るのです。

コストの問題だけではないと思う

 コストの問題もあるでしょう。

 しかし、これはコストの問題でなく、優先順位の問題だと思うのです。テーブルを拭きに回る時間の一部を充てて、ダスターを洗浄することは無理のないことだと思うのです。

などと思って、そちらの方をがんばっているのかもしれません。

汚いダスターか紙ナプキン

 結局紙ナプキンを多めに持って席に向かうしかありません。でも頑固な汚れには対応できず、不満が残ります。テーブルの汚れが未知なので、多めに持っていくわけで、資源の無駄遣いでもあるのです。

座席数少なくても快適に

安価な商品の代償は座席数

 商売ですから、店舗スペースに限りがあって当然です。来客数に見合った席を確保できないのは仕方ありません。回転を考え、混雑時に長居しないよう促すのは仕方が無いことでしょう。しかし、飲食店で衛生面で不快な思いをさせてしまうというのは、商品の安さの代償としては筋違いでしょう。

サービスの質が売り上げに結びつかない

 残念ながら、私たちに選択肢は残されていないのです。多少サービスが悪くとも、完全に拒否するほど断固たる態度は取れず、競争原理は価格競争ばかりで、サービスの良し悪しが結びつかない。もしかすると、

このようにすることで、利用客の平準化が図れると、邪推したりするわけです。

マナーが発揮できるよう

 マナーというのは、ある程度心のゆとりがあってのことなのです。

 きめ細かいサービスにコストをかけられない事情があるならば、それなりに、利用者が出来る役割があると思うのです。商品を自ら受け取って、運んでいる人たちです。自分でテーブルをきれいにすることは大きな負担増ではありません。ただし、自分でテーブルを拭く道具の提供は必要です。汚れたダスターしかない状態では、「みんなできれいに」は通用しないのです。

(11.12.26)

http://hint-eng.jp/jdy07317/

2.09.8 電車のバリアフリー拠点

まずは助け合いの拠点を確立なのです。

迷走するベビーカー

車いすスペースの争奪

 知恵袋にこんな投稿があったのです。

  1. 車いすを使用している投稿者が、電車内の車いすスペースを利用しようした。
  2. 車いすスペースにはすでにベビーカー利用者がいた(母親と立っている子供とベビーカーに乗せている子供の3人)。
  3. 立っている子供が車いす(投稿者)がやってきたことを母親に伝えた。
  4. 母親は子供に対して「ここはベビーカーの場所だから先に乗ってた人がずっといていいんだよ。」と発言。
  5. 投稿者はこの発言に違和感を感じている。

 この母親がこの車いすスペースを「ベビーカー専用」と信じているとは思えません。ちょっとかたくなですけれども。ちょっとベビーカーをずらせば、丸く収まることに考えが至らず、だんまりを決め込んだと想像するのです。

 それが正しい想像かどうかはわかりませんが、次の項目はある程度当てはまると思うのです。

 これは多くの母親に当てはまるでしょう。この母親も「人目を気にして」いるひとりに違いありません。

わかりにくい「配慮」という意味

 ベビーカーの使用方法に関しては、共通のルールが明確でなく、ベビーカーは迷走している感があります。使用者も周りの人もお互いに配慮をといわれても、お互い途方にくれてしまうのです。道路では最も弱者のベビーカーも、エスカレータや電車では凶器となり、頭の切り替えを求められるのです。

 息子をベビーカーに乗せていたのは1995年頃。私の記憶では、ベビーカーは折りたたみましょうと奨励されていたような気がします。それが今では聞かれませんし、禁止されているはずのエスカレータに乗せていることを日常目にします。これが時代の流れなのか、なし崩し的に変化したのかわかりませんが、世代間の認識のずれは存在します。

 一方、新米ママにとっては、育児は新しい問題の続出で、外出時は心休まることがなさそうです。のんびりベビーカーを押しているだけなのに、突然怒鳴られたりしたら、きっとへこむと思います。これが度重なり、つい開き直って自暴自棄なのかもしれません。

電車のバリアフリー拠点

弱者向け機能を統合

 電車内では、問題が起こるたびに専用コーナーが追加されてきました。優先座席、車いすスペース、携帯禁止車両、女性車両・・・等です。これらは分散配置されていて、あまり歩くことなく利用できるよう配慮されています。

 分散配置は便利な半面、配慮が必要な利用者が孤立してしまうのです。残念ながら混雑した電車の中は弱者へ配慮が出来るほど余裕はありません。利用者は皆、身動きが取れないくらいに混雑し、長時間の「立席」利用というという非人間的な扱いを受けているわけです。

 次善の策として、配慮を必要とする人が集まれるよう編成内にバリアフリー拠点を設けることが必要と思えるのです。お互い不便を身にしみているわけですから、お互い協力しあえるでしょう。

規模は可変

 利用者の数は電車によってまちまちとなるでしょうから、規模は可変であるべきです。編成の真ん中の車両にバリアフリー拠点があり、利用者の増加に応じて段々範囲が広がる。1両の真ん中だけから2両にまたがっても良いのです。女性専用車両のように隔離する必要はなく、利用者が少なければ誰でも利用できるというものです。とりあえず女性専用車両の中央に拠点を設ければよいでしょう。

 こんな感じで広げていけばよいでしょう。

 今までは肩身の狭い思いをしていた人たちが、堂々と利用できる空間が定着し、電車がもっと開かれたものになればよいと思うのです。もちろん電車がすいている時は、バリアフリー拠点に限らず、一般乗客と譲り合いながら乗車することも可能となるでしょう。

課金と補助

 鉄道事業者の企業努力にも限界があることを認識すべきでしょう。普段の生活ではあまり意識されませんが手荷物のサイズには規定があり、大きなサイズは有料になるのです。畳まないベビーカーは結構な面積ですから、本来有料だけれど免除されていると考えるのが妥当でしょう。この「本来有料」というところを見えるようにすれば、ベビーカー利用者も一般利用者も納得できると思うのです。

 グリーン車利用者に座ってずるいといわないのと同じです。結局は一般の利用者も税金という形で負担するのですが、いいことをしているのですから、反対することも無いでしょう。

(12.10.29)