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[快適な行列]
行列を制するのは一番偉い人

下っ端の店員さんがうまく行列をさばいている様にみえても、それは一番偉い人の強い意志がそうさせているのです。

Contents
>自習室での席取り攻防
>行列の問題は全体の問題
>下っ端の店員さんでも行列を制御できるようにする
>下っ端店員さんが行列を制するのが良いのです

自習室での席取り攻防

 図書館では今日も受験生が快適な学習環境を求めて開館前から入口で列を作っています。並ぶのが早ければ早いほど確実に席が確保できる仕組みです。

 一見公平のようですが、午後から利用したい人も朝から並ばないといけないことになってしまいます。仮に午後から利用したいと思っても、退出する人が無ければ利用できないということです。

 私はかつてアルバイトの事務員として予備校の自習室で管理をしていました。本の貸し出しだけでなく、席取りのための荷物に占領されないように、座席の利用率の向上が大切な仕事でした。授業は午前中だけで、午後から自習室を利用しようと思っても席がありません。朝から並ばないといけないのです。もちろん午前中は授業に出る必要がありますから、席取りのための荷物だけが座席に鎮座するということになります。

 私たち事務員は、その荷物を取り除くのが仕事となっていました。利用率の向上という大義名分はありますが、心苦しい限りです。しかしもっと心苦しいのが、いくら利用率を向上しても、座席が不足してしまうのです。これでは、いくら「有効な座席の利用」を呼びかけても、説得力はありません。

行列の問題は全体の問題

 知恵比べが巧妙になり、友達同士で席を融通しあうといったテクニックが一部の学生達の間で定着する様になりましたが、対策を講じたところでまた新たな抜け道が出てくることでしょう。結局、この辺で静観するということに落ち着きます。これまでが現場でできる対応の限度です。

 これから先は、組織のトップの分野です。経営者などの権限と責任の両方を持っている人が解決する問題というわけです。学生の不満が経営を揺るがすと思えば、近隣の貸し事務所を利用してでも座席を提供することになるでしょう。一方、ほとんどの学生は1年限りでやめていくということから、学生の声を軽視すればなにも対応策は出てこないでしょう。
 学生不足の近年では、各予備校が充実した自習室をアピールする点として、強調している様です。自習室前で学生に行列をさせるなんて、経営上問題があると判断なのでしょう。

 行列の混乱は人災です。組織のトップが回避しようと思えば回避できるし、必要ないと思えばいくら現場ががんばっても回避できないものです。

下っ端の店員さんでも行列を制御できるようにする

 行列をきちんと制御できないと利用者の不信をかってしまいます。良く店員さんのモラルとか自主性とかで論じられることがあるのですが、店員さんは自分の役割があります、自分の判断で行列の交通整理を始めるわけにはいかないのです。

 店員さんは自分の意志で勝手に行列の交通整理を始めることはできませんが、店長さんから役割を与えられて行動することは可能でしょう。わかりきったようなことですが、「行列を混乱しない様に整理する」という役割をきちんと与えられていることが少ないように思えます。

セルフのうどん屋さん
セルフのうどん屋さん

 きちんと店員さんに役割が与えられていると感心したのが、あるセルフのうどん屋さんでした。食器の片づけしている下っ端の店員さんが座席に荷物を置こうとしている客に対し、「先に商品をお受け取りください」と席取りを制しています。充分に席が空いていればそんなことばも説得力を持ちますが、結構混んでいる店内では、席が無くなってしまう心配があります。席が無くなったらどうするんだと半信半疑で様子を見ていました。

 案の定だんだん座席が少なくなってきました。するとその店員さんが「あと2人で座席がいっぱいです」と、カウンターに向けて号令をかけたのです。うどんを提供する担当者が作業をストップし、「席が一杯ですのでもうしばらくお待ちください」と客を待たせます。ゆでたてうどんがのびてしまわない様にとの配慮でしょう。下っ端店員さんが行列を全体を制した瞬間でした。

 この下っ端店員さんがひとりいるだけでも、利用者からの好感度はアップです。席を探してうろうろ徘徊する心配はありませんし、前の人の食べ残しで席が汚れていることもありません。前回の話題行列は後にも続くで取り上げた評価表では、かなりの点数を稼ぐ存在だと思います。
 多くの店ではこの店員さんの役割がなく、カウンター内で必死の形相で動く店員さんがスピードアップに努めています。いくらがんばっても、行列を制しない限り利用者の不安、ひいては不満は解消されないでしょう。

下っ端店員さんが行列を制するのが良いのです

 上記のような例はいつも混雑した店舗であるから、マニュアル化しやすいという部分があるでしょう。普段は閑散とし、たまに混雑するというような場合は、下っ端店員さんに混雑を想定した役割をうまく与えるというのはなかなか難しいところです。やはり不測の事態に対しては店長さんが直接対応するという必要があるでしょう。しかし、あくまでもこれは緊急事態に対する対応です。緊急事態は長く続けてはいけません。

 ファミリーレストランでやけに張り切ったマネージャーさんがいます。すべての情報はマネージャーさんに集まりマネージャーさんが指示を出していきます。ただこの人達は単にその店の業務運営に問題があるから、その火消し役にやってきただけです。店員さん達に基本動作が身についたらさっさと他の落ち目な店舗を救済に立ち去るのが仕事です。

 あくまでも店員さんに行列を制するための役割を教育するという視点が必要でしょう。もちろん、自らは黒子であるべきということは組織のトップとなる人はご存じのはずでしょう。しかし混乱を立て直し、組織をまとめていくうちに、自らの英雄的な立場に酔いしれてしまうということもあるかも知れません。それが高じて最前線に立って指示をするのが自分の仕事のようになってしまったら、組織はそのトップ無しには運営できなくなってしまいます。そんなことにならないように、下っ端の店員さんが行列を制する組織を目指して欲しいところです。私も下っ端の店員(係員)さんが張り切っている組織に好感が持てます。

(04.05.03)

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