[ゆずりあう道路]
1.5車線でゆずりあう道路

歩行者が歩くためのエリアだというマーキングが是非必要だと思うのです。

Contents
>路側帯を歩道とは言えないのです
>スクールゾーンはなぜか一方通行
>へびの丸飲み道路でゆずりあう
>住宅地では1.5車線で良いと思う
>「へび丸」道路の風景
>>すれ違い部の様子>>単路部の様子

13.08.12追加

路側帯を歩道とは言えないのです

 近所の道路で路側帯の表示が増えてきました。車にとっては夜道でも道路の端が良くわかり、運転が楽になるという効用があります。しかし、歩行者にとってはメリットを感じられません。

路側帯
路側帯

 前回のページでは、側溝がわずか50cm幅の歩道のように錯覚させ、歩行者が追いやられていると考えました。同様に路側帯も「この範囲が歩道だ」と、自動車の運転者に錯覚させる危険がある境界線だと思うのです。

 この境界線。道路の端から60cmしか離れていません。人ひとり分の幅ですが、「ここまでは車道だよ」と、ばかりに自動車が我が物顔に往来するというのは腹が立ちます。「側溝だけじゃなく、路側帯だって歩道じゃないよ!」と訴えたいところです。

スクールゾーンはなぜか一方通行

 写真はスクールゾーンです。先の路側帯より歩道に見える部分が、1メートルくらいありそうです。しかも緑で着色してあって、堂々とこの上を歩けます。

スクールゾーン
スクールゾーン

 どんどん普及して欲しいのですが、なぜかこのスクールゾーンは、一方通行に限られているのです。緑のマーキングは段差などありませんから、自動車が行き違うときはちょっと緑の部分を踏んでやり過ごせば良いはずです。

 でも理屈は違うようです。車道は中央の4mの部分のみと見なしているので、すれ違いが出来ないという理屈です。これはかえって危険な考え方です。運転者は、対向車の無い広い道路を得たことになり、かえってスピードを出してしまうこと間違い無しです。

へびの丸飲み道路でゆずりあう

 そんな矛盾だらけのスクールゾーンを少し改良して、歩行者の居場所を確保できる道路を考えてみました。その名を「へびの丸飲み道路」、略して「へび丸道路」と呼びます。良い表現が思いつかずにおそろしい表現なのですが、単に車道幅がたまに太くなっていることから、こんな表現としているのです。

へび丸道路
へび丸道路

 「へび丸道路」の太い部分は、すれ違うための待避場所です。この図は幅6mの道路をイメージしたもので、標準部分の歩行者の通行帯は両側2mずつで、車線はたったの2mのみです。もちろん「ガードレール」はありませんから、多少はみだしても問題ありません。歩行者にさえ気をつければ良いのです。そして、対向車が来たらここで行き交う事になります。

 強い強制力はありませんが、相当乱暴な運転をする人でも、車線が狭いということは意識するでしょう。普通の運転者なら、車同士のすれ違いは待避場所で行わないといけないと直感的に判断するはずです。

 歩行者の立場としては、堂々と歩ける空間が幅2mも確保できることになります。

住宅地では1.5車線で良いと思う

 「へび丸道路」の特徴は、道路にわざと1車線の区間を設けることで、運転者に注意を促すものでした。しかし、この画期的なアイデアは、「すれ違うのに十分な幅員があるのにも関わらず、わざわざ正面衝突をする危険をつくっている」という、批判を受けそうです。
 従来からの「いかに車をスムーズに流すか」という発想から抜け出し、「車に危険な状況を与えて、注意を促す」という発想への転換を図りたいところなのですが、なかなか容易ではなさそうです。

 もちろんいままで進歩がなかったわけではありません。その一例として挙げられるのが「コミュニティー道路」と呼ばれる歩者共存道路で、補助制度も相まって、全国どこでも見られるようになりました。

 しかしまちのいたるところに設置するには至っていません。その理由として、

  • 車の通行を一方通行にする決断が必要。
  • 車止めやタイル舗装のため結構お金がかかる。
  • 車止めに車両が衝突する事故が発生している。(対向車がいない(一方通行のため)ことで、かえって走行速度が上がることもある。)

 要するにいまだに「特別な」道路であって、通過交通に悩む住宅地にどこでも適用出来るものではないということです。

 それに対し「へび丸道路」は、

  • 一方通行をせず
  • 表示はペイントだけ
  • 車止めもない

と、コストや手間がかからず、簡単に実現できます。近所の道路すべて「へびの丸飲み」としても良いわけです。
 問題は1.5車線(1車線だったり2車線だったり)ということ。このはっきりしない車線数は、白黒はっきりしないとダメな道路行政になかなか受け入れられませんでした。
 しかし、世の中徐々に変化しているようです。国土交通省の予算でも「1.5車線」が出現しました。山間部でどうしても全線2車線確保できない道路に対して、頻繁に待避所を設けることで補助金を認めるというものです。
 この場合は苦肉の策であって、「へび丸道路」の様に、用地は2車線確保できるという恵まれた条件ではないから、認められることなのですが、「2車線ないと道路ではない!」という発想からの脱却という意味では新たな第一歩といえるでしょう。

「へび丸」道路の風景

 「へび丸」道路は実際にありませんが、「すれ違い部」「単路部」だけであれば、事例がありますので御紹介します。

すれ違い部の様子

両側通行でのスクールゾーンを文京区に見つけました。付近は道路密度が低く、一方通行にするとかなりの迂回をしいられそうです。仕方なく両側通行の様ですが、不都合があるようには見えません。

両側通行でのスクールゾーン
道路の様子

 車は真ん中を走り、行き違うときは堂々とスクールゾーンを踏んで待避する。ただそれだけです。

単路部の様子

 歩行者が堂々と歩けるペイントを三鷹市に見つけました。

このように5ナンバー(1.7m幅)がぴったりと納まるくらいに狭いのです。歩行者空間も広々です。2人が並んでも余裕があるでしょう。

基本形
道路の様子2

道幅に余裕のある箇所では、ゼブラの処理としています。車道も歩道もちょうどの幅を維持するためなのでしょう。

ゼブラの追加
道路の様子3

車との比較はこんな感じです。

車との比較
道路の様子4

ちなみに、上記の交差点の先は、このように広い車線になっています。同じように一方通行路ですから、上記の区間に比べてずいぶん広く感じるものです。

一般的な幅
道路の様子5

 さいたま市でも見つけました。全国で結構増えているのではないでしょうか

さいたまでも
さいたまの道路

13.08.12追加

 「自転車利用環境創出ガイドライン」に、自転車専用通行帯が定義されているのですが、道路空間に余裕がない時でも、自動車と混在することを示す路面表示等で対応するように提案しているのです。連続した流れを途切ることがないことを重視したこの考え方は、良いことだと思うのです。

ガイドライン図U-18
ガイドライン図U-18

 へび丸道路も、この考え方を利用すれば実現するのではないかと考えたのです。

 車道が狭い部分は実線(自転車専用通行帯風)、車道が広い部分は破線(自動車と混在することを示す路面表示風)という風に交互に並べて下図の様にすれば良いのです。

へび丸道路改良版
へび丸道路改良版

(初出02.03.29)(再編集04.01.26)(再編集09.09.07)(再編集11.03.21)編集前

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