道を狭く見せようという発想は受け入れられはじめているようです。
国の補助金も「1.5車線」が認められる時代です。道路の幅に対する考え方がどんどん変化しています。
愛知県豊田市では、従来幅員6m程度の道路にも設けていたセンターラインを廃止し、道路の両側には路側帯を表示したとのことです。路側帯は幅1mくらいあり、歩行者にとって、少し安心できる空間が確保されることになりました。この改善により、自動車がスピードを落とした上で歩行者に注意して走行するようになり、事故の発生が減少したとのこと。目に見えて効果が現れたようです。
この内容は、JAFの機関誌に掲載されていたもので、勝手に写真を掲載するわけにいかないので、さし絵をつくりました。
道を狭くみせる
左側は改善前で、路側帯があり道幅が狭く感じられます。
右の道路が改善後で、センターラインが無いので、対向車とすれ違う際に気を使います。ペイントを少しかえるだけで随分と受ける印象が違うものです。
この整備方法はほとんどお金がかかりません(普段の道路維持費で充分)。コミュニティー道路は、舗装を変えたり、車止めを設置したりしてお金がかかるのと対照的です。また車線を蛇行させたり極端に狭めたりしないので、利用者の理解を得やすい。よって普及は容易と言えるでしょう。前回取り上げた「へびの丸飲み道路」への第1歩というところです。
歩道付きの道路でも、無理して車道幅を確保せず、狭く見せるという手法がみられるようになりました。それが最近の傾向であることを示すかのように、従来から整備された道路(車道幅が広い)と新しく整備した道路(車道幅が狭い)が対照的であったので紹介します。
(旧)車道幅が広い
こちらは「車道幅が広い箇所」です。幅12mの道路に歩道が片側2mほど。(公開空地を広く確保した公的施設があるので、実際には歩道幅は広く見えます。)その一方で車道は広く確保され、センターラインがひかれています。大した交通量があるわけでないので、車道はいつも違法駐車の列です。自動車は駐車車両を避けて通行を余儀なくされるので、センターラインの意味がありません。
(新)車道幅が狭い
こちらは「車道幅が狭い箇所」です。先の「車道幅が広い箇所」のすぐ先にあります。歩道の幅が少し広がり(3mくらいに)、植樹もされています。センターラインをなくしたうえに、路肩に赤のマーキングを施したので、車道がかなり狭く感じられます。ビルに用がある人の停車はありますが、長時間の駐車は比較的少ないようです。
特筆すべき点は、後者が土地区画整理事業で整備された新しい道路であるということです。支障のある建物があるわけでもなく、公共性の高い事業ですから、理屈がつけば広い道路幅員で計画することは困難ではありません。しかし結果は、幅員を12mのままとしたうえで、歩道幅を広げ、車道を狭めるという結論に達したようです。
といったことでコンセンサスが得られたのに違いありません。
(初出02.04.13)
(再編集04.02.09)
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