道の駅では施設が駐車場の方を向いた方がいいのです。
今回は[バスの流れが見えてきた]バスターミナルにも名店街の続きになっています。
前回取り上げたバスターミナルに隣接する「道の駅」の話です。こんな看板を見かけました。長居をする人がいて、駐車場がいっぱいになるのだとか。
ちょっと迷惑顔の警告
乗り合わせというのは、別々の車でやってきた仲間が1人の車に同乗して高速道路で遠出するのを言うのだと思います。駐車場がいっぱいになってしまい、道の駅の施設を利用したい人が駐車出来ずに不便するということなのでしょう。この場所は交通の結節点を目指す立地条件ですから、期待通りの使われ方をしているわけです。ガソリンの消費量が減って省エネルギーに貢献です。問題は隣接する高速バス利用者のための有料駐車場を使ってもらえないということ。
道の駅など公共のスペースは利用者の甘えが出て、マナーが悪いというのが悩みだとか。ニュース番組で、早朝の道の駅に家庭ごみを放置した人に質問したところ「利用してもらって感謝しろ」なんて逆切れされる映像もありました。ここも公共のスペースだからいいだろうと思われているのでしょう。
長時間駐車で困っているなら、全部有料駐車場にして、短時間や店舗の利用者には無料にするなどとすれば良いと思うのですが、私の知らない事情があるのかも知れません。
ただ長時間駐車しやすい駐車場だなと思ったのは事実です。円形の広場を中心にそれを取り囲むように施設が配置さており、駐車場は店舗から死角に位置することになるのです。ただでさえ公共のスペースという甘えがあるのですから、誰も見ていないところでこっそりという誘惑が強いのです。
店舗の死角
この施設の形は、私が[ショッピングモールの掟]アメリカのショッピングモールを歩いてみれば等でたびたび取り上げているショッピングモールの形態です。ショッピングモールの店舗は建物の内側に向かっていて、駐車場から建物を望むと壁しか見えません。中央の広場に入ってみてはじめて店舗の全容がわかるわけです。遊園地の入り口をくぐるような楽しさが演出できます。
計画者が、ここにはショッピングモール型がふさわしいと考えたのにはうなずけます。
道の駅の性格上、利用者の多くは、通過点として利用するわけです。利用目的は「トイレ」、「食事」、「地元の物産」等、目的ははっきりしています。道の駅の主役は駐車場。駐車場を中心とした便利さが求められるのです。
ショッピングモールとパワーセンターの違い
パワーセンターは1店舗だけでも集客力のある強力な店がもっと強力になるべく寄り集まったものです。パワーセンター内では目的の店の前に駐車し、他の店に用事が無ければさっさと帰るわけです。店の並びは一望できますので新装開店の店があればすぐに発見できます。ショッピングモール型は必ず真ん中の広場に通るという煩雑さがあり、その欠点を解消したものがパワーセンター型なのです。
駐車場から店舗へ一直線の例
道の駅も同様に「トイレ」という目的のため、トイレ前に駐車し、同じならびに物産店があれば見に行くし、時間がなければさっさと退散というのが利用者が求める便利さでしょう。
この道の駅の施設は、結構にぎわっているのです。
各施設はこのままでも良いと思っているかも知れません。悩みは乗りあわせの人が有料駐車場を使ってくれないということぐらい。
しかし、ここは交通の結節点。地域のコミュニティーセンターでも近所の商店街でもない役割があるのです。
利用者の最大の目的は「ぶらり」(休憩)です。「トイレ」「飲食」等は、まだおまけです。
これらの人にはちょっとした暇があるわけですから、暇つぶしを提供して欲しいものです。既存のドライブイン、サービスエリアでは「五平餅」なんかはいい暇つぶしだと思うのですよ。なにも考えていなかった人もちょっとお金を落とそうという気になってしまうのですから運営者側もメリットはあります。団子でも、磯辺焼きでも、焼き鳥でもいいですが、手軽にお金を落とす仕組み。それは駐車場から見えるところにある方がいいと思うわけです。
結局のところ、駐車場の前に、レストラン、売店、トイレが一列に並んでいるサービスエリアの施設配置に近いものになってきます。交通の結節点とはそういうがやがやした風景が似合うと思うのですよ。
(06.10.09)
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