高速道路と鉄道が交差するところは山ほどあるのですが。
かつて貨物専用の航空会社がテネシー州メンフィスにハブ空港を構えたのは、立地条件の良さでした。夕方全米各地の空港発った貨物は、メンフィスで仕分けをし、深夜に各都市にむけて発つのです。これで翌日配達できるというわけです。メンフィス自体は小規模な都市で大きな需要はありませんが、アメリカの中央部にあることと、欠航が少ない気象条件が重要だったのです。隣の都市へ行くにも、わざわざメンフィスを経由することになりますが、貨物は遠回りでも文句を言いません。
旅客便の場合も、アトランタ、シカゴ等にハブ空港があり、需要のない空港同士の乗り継ぎを可能にしてきました。旅客は貨物と異なり、遠回りを我慢できません。手頃が料金で直行便が提供されていれば、そちらに乗り換えます。こうして、小回りのきく中小航空会社が直行便を運航して、旅客を獲得してきたのです。
アジアの各国がハブ空港を自国に持とうと、新空港の建設に躍起になってきましたが、結局のところ母都市自体の需要が重要であることも聞かれます。乗り継ぎ需要だけを期待してハブ空港を作っても、航空会社はいきなり乗り継ぎシステムを構築するわけにいきません、まず母都市への直行便を就航させ、それが集まり、結果として便利な乗り継ぎ機能が構築されるというわけです。
交通結節点においても、ハブ空港と同様のことが言えます。高速道路と鉄道駅が交差する場所があっても、そこが交通結節点がとなるわけにはいきません。
これら相反する条件の中、交通結節点として開業した「阪急西山天王山駅」は、よほど好条件がそろっていたのでしょう。
阪急西山天王山駅
高速バスのりば行きのエレベーターホール
このようなエレベーター塔が上下で2基あります
料金所の前後にバス停があります
パークアンドライド機能もあります
鉄道の利用客は郊外に行くにつれ減少していくものですが、大阪〜京都間は激減しないのです。西山天王山駅はちょうどもっとも利用客が少ない区間ですが、列車は京都〜大阪を通しで走っているので、各駅停車に限定しても1時間に6本走っているし、近隣の駅で優等列車に乗り換えることもできます。京都・大阪のいずれへも30分程度で着いてしまう立地条件の良さです。
一方、名神高速道路には、東京と大阪を結ぶ数多くの夜行バスがすでに走っています。
長岡天神駅と大山崎駅間は阪急電車の駅間の中で2番目長い区間(4.0km)です。中間地点に新駅を設ける駅間距離としては申し分ありません。
本線の路側に設置するバスストップではなく、インターチェンジに設置して、一般道にも出られるタイプなのです。必要なら一般道にもバス路線を拡大することができるのです。
京阪淀駅までのバス便が1時間間隔で設定されました。従来からJR山崎および阪急大山崎駅から運行されていましたが、2時間間隔という不便なものでした。この度のバス路線再編で、長岡京市市街地からも利用できるようになり、利用者増が期待できます。
そもそも阪急電車と京阪電車の間には淀川が流れていて、交通の行き来が大変不便なのです。3駅大阪よりの高槻市・枚方市駅間は距離が長く、道路が混雑していてなかなか大変なのです。
駅前にはすでに円明寺が丘団地があり、一定の旅客を見込めます。バス便で最寄駅まで電車を利用していたわけですから、何もメリットはありませんが、ここはJR京都線が並行しており、JRの利用客を取り込む期待もあります。
私立の中高一貫校も進出してきます。京都の学校でしたが、大阪の生徒も呼び込もうというもの。学校の生徒は、定期券は学生割引となりますが、通勤とは違った時間帯で違った方向のため、電車の増発なしに安定した収入が見込めます。
以上のように、せっかく開業するからにはいろいろなメリットが盛りだくさんになっているのです。
(13.12.30)
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