[組織の流れ]
いいことの正体

いいことは、時に「砕石を磨く」ことにもなりかねません。

Contents
>砕石はとんがりだからいいのです
>雑多な粒の径が砕石の山をつくるのです
>余計なことをしない

砕石はとんがりだからいいのです

 鉄道の線路に敷いてある石(バラスト)が砕石の一例です。このバラストは、こまめに取り替えられているのです。稜角とよばれるとんがりが重要で、丸くなると機能が低下するというのです。

 鉄道博物館に行くと体験装置があります。2つの入れ物にそれぞれ古いバラストと新しいバラストが入っていて、差し込んである棒をぐりぐりまわすという装置です。見た目には違いがわからない両者なのですが、体験してみると棒の抵抗は思ったより大きいものでした。

とんがりだからよい
挿絵1

 このように鉄道のバラストは、稜角を削りながら、線路の衝撃のエネルギーを吸収するのです。放置しておくと、

  • 衝撃を吸収する機能が低下する
  • バラスト同士が滑りやすくなるので、くずれやすくなる

といった問題を引き起こすので、バラストの入れ替えが欠かせません。

 稜角を維持することが大切なのですから、砕石を磨くことは、無駄なことであるばかりか、機能を低下させる余計なことなのです。

雑多な粒の径が砕石の山をつくるのです

 土木材料としての砕石は、多様なサイズの粒が混在している方が、すき間が埋まって強度が増すのです。粒が揃っていると、なかなか隙間が埋まらず、ちょっとした振動でもがらがらと崩れてしまいます。地震時の液状化現象は、粒のサイズがそろっている砂にみられる現象です。

 雑多に見えることも、緻密な計算の裏づけがあるわけです。コンクリートの場合、3種類の粒径として、砂利と砂とモルタルが配合されています。理想的な配合があり、大きな粒に対して、その次の径を1/7に小さくしていくと、効率よく空間を埋めることができるとのこと。

隙間を少なくする
挿絵2

 小さな粒は余計だと、篩(ふるい)にかけることは、無駄なことであるばかりか、機能を低下させる余計なことなのです。

余計なことをしない

 いいことに見えることが、実は、余計な事だったりするわけです。

  • 無駄と思われる砕石の角をとって、きれいにしました!
  • 無駄と思われる小さな粒をきれいにしました!

本来は、高く積み上げるとか、崩れないようにすることが目的だとすると、掃除のつもりで、やったことがかえって、強度を損ねることになるわけです。

 いいことの正体とは、単に「他人受け」がいいだけのこともあるので要注意です。

くずれやすい磨いた石を積む
挿絵3

(10.07.12)

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