[組織の流れ]
鍵当番問題

まず出社時の鍵と退社時の鍵の2本を分けることから始まります。

Contents
>鍵が1本の時の問題
>>鍵を締めた翌日休暇を取る>>客先に直行する必要が生じた
>鍵を増やす
>>鍵を持っている人が先に帰ってしまった>>朝みんな直行した>>単に量を増やせばいいものではないのです
>鍵3本作戦
>>鍵に役割を与える>>残業して早出する場合>>翌日休暇で残業する場合>><予備の鍵>が2本必要な場合

鍵が1本の時の問題

 社員が7人程度の事務所での鍵当番について考えてみます。事務所の鍵は少ないほど防犯上安全ですから、数に限りがあるのが普通です。社員が交代で鍵を持ち、鍵の開け締めをすることになります。交代がうまくいかなければ、出社時に鍵を開ける人がいなかったり、最後になって鍵がなかったりということになりかねません。極端な例として1本しか鍵がないときの不都合を考えてみます。

鍵を締めた翌日休暇を取る

 その1本の鍵は、目立つ場所につり下げておきましょう。朝、鍵を開けた人は鍵をつり下げ、最後の人が退室時に鍵を受け取り施錠します。その人は翌朝、鍵を開ける当番となります。まるでばば抜きの様なルールです。休暇の前日はうっかり残業もできません。

鍵1本の場合の当番
当番の図1

客先に直行する必要が生じた

 休暇の場合は他の社員に残業をつき合ってもらうなど、あらかじめ対策を講じる時間の余裕があるかも知れませんが、日常業務においては、突発的な出来事もあるのです。

 例えば帰宅間際に客先より連絡があり、翌朝会社に立ち寄らずに直行することもあるでしょう。そうなれば朝の鍵当番になるわけにはいきません。この様に鍵が1本では退社時の施錠と朝の鍵当番を兼務するという、無理があるのです。

鍵を増やす

 鍵は1本では足りないことがわかりました。そこで、全員分は渡せないけれど、「大半の」社員には鍵を渡すことにします。

鍵を持っている人が先に帰ってしまった

 例えば7人の内5人が鍵を持つこととしましょう。鍵を持たないのは、入社して日の浅い新人と臨時雇用のアルバイトの2人です。

 ある日、新人は先輩の仕事を押しつけられて残業です。鍵を持った先輩は、「お先に!」と、鍵も渡さずに帰ってしまいました。その時は係長がまだ仕事をしていましたから鍵の心配は無いと判断したのでしょう。その係長はというと、新人が鍵を持っていないことなど忘れて、さっさと帰ってしまいました。こうなると新人は鍵を締めることが出来ません。

朝みんな直行した

 朝の鍵当番についても、要注意です。2人が休暇、2人が客先に直行、1人が寝坊という最悪のケースもあるでしょう。この場合、新人とアルバイトさんは待ちぼうけということになります。

単に量を増やせばいいものではないのです

 案外ありがちな話でしょう。7人の社員の内、5本もあるのですから、なんとかやりくり出来そうなものですが、本数が多いことで「誰かがなんとかしてくれるだろう」とお互いに他人まかせとなるのです。いくら鍵を増やしても、ルールが無ければうまくいきません。

 これだと「不便だから鍵の本数を増やせ」という主張は説得力はありません。経営者は防犯上のリスクを侵して鍵の本数を増やしているのに、社員がそれを有効に活用していないのです。

鍵3本作戦

 結論として、鍵は「とりあえず」3本あればいいと考えます。もちろんきちんとルールを講じた上でなければ、鍵当番不在ということになりかねません。

鍵に役割を与える

 そのルールは「鍵に役割を与える」というものです。その役割とは次のようなものです。

  1. 1本目の鍵は、出社時に鍵を開けるために。<朝当番の鍵>
  2. 2本目の鍵は、退社時に鍵を締めるために。<夜当番の鍵>
  3. 3本目の鍵は、どちらも該当しない場合。<予備の鍵>

その実際の運用は

  1. <朝当番の鍵>は、早起きの人が常に持っておく。
  2. <夜当番の鍵>は、残っている人にリレー方式で渡す。
  3. <予備の鍵>は、管理職が持っていて、「どちらにも該当しない場合」に備える。

鍵3本の場合の当番
当番の図2

 誰か特定の人に渡すというわけではないのです。管理職は業務の管理に忙しいので、鍵の管理などをさせてはいけません。普段は皆がルールに従い鍵を持ち、問題が生じるときだけ管理職が出番というわけです。

残業して早出する場合

 実際にやってみると不自然になることがあります。<朝当番の鍵>を持つ「早起きさん」の退社が最後になることがあります。そんな時<朝当番の鍵>と<夜当番の鍵>の2本の鍵を持つことになるのです。数少ない鍵を2本持つというのは、違和感がありますがその行動は正解です。

一時的に2本持つ
当番の図3

 打ち合わせで遅くなった主任が突然帰ってくるかも知れません。その主任に<夜当番の鍵>を渡すために、一時的に2本持つ時間が生じたわけです。

 もし主任が帰ってくることがなければ、2本持って帰宅という事になります。よく考えてみて大丈夫だと判断すれば、先に帰る人に鍵を預けた方が万が一寝坊したときの備えとして安心でしょう。

翌日休暇で残業する場合

 冒頭でお話しした「休暇の前日に残業する」場合は、<朝当番の鍵><夜当番の鍵>のどちらの持てません。もし休暇の前日残業で最後になるようなことがあるのなら、管理職から<予備の鍵>を借りておく必要があるのです。結局不要であったら、誰か他の社員に渡して帰ればいいので、休暇の前日は必ず借りておく習慣をつけるのがいいでしょう。

休暇の前日に残業する
当番の図3

<予備の鍵>が2本必要な場合

 翌日休暇の係長と主任が<予備の鍵>を申請したとしたらどうでしょう。そんな時は管理職が調整ミーティングを召集します。そして結論は、

  • その日は、<夜当番の鍵>を持つ社員が主任の仕事が終わるまでつき合う
  • 休暇明けの早朝に鍵が必要な係長が<予備の鍵>をもつ

というものです。この様な調整ミーティングは業務の妨げです。頻繁に召集されるようであれば、<予備の鍵>を増やすように要求する機会となります。不都合が具体的に説明が出来るので結構説得力があります。

 一度必要な鍵の数が確定してしまえば、調整ミーティングはほとんど不要でしょう。逆に「鍵ごときで堅苦しいルールを決めるな」なんて言っているほど、毎日のように調整ミーティングを開催する羽目に陥いることでしょう。

(05.08.01)

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