希望しない結果に結びつかないように投票用紙の流れは見通しておきましょう。
大方の人にとってはありきたりな話かもしれません。
選挙権を持って以来、一度も選挙に行った事の無いというAさんの出身地では、与党の代議士がいつも当選という土地柄の様です。選挙に行っても何も変わらないという発想につながるのでしょう。
なお投票しないことは組織票に強い政党に有利になりますから、何も変わらないどころか、その政党の後押しするという点に注意しないといけません。
「投票しても何も変わらない」というAさんに対し、人生の先輩Bさんは「自分の一票で大事なことが左右されるなら、怖くて投票できない」といます。会社を経営しているBさんの重い言葉です。自分の判断が会社の先行きを左右するのですから大変です。
たくさんの票の内のひとつと考えるとちっぽけな一票ですが、最後の一票と考えれば、重い一票です。例えば議長は議員ながら普段は票を行使せず、反対賛成の得票数が同数になったときに行使するのです。票の重みは他の議員と同じなのに、最後の投じるその一票ですべてが決まるのですから、その重圧は大変なものです。自分の投票用紙が薄っぺらに見えてきたら、議長の一票を思い出すと良いでしょう。
今回の衆議院選挙は全国的に何か変わりそうな予感があるようで、選挙に行こうという人が多いという調査結果があるようです。選挙がおもしろくないと行かなくなるのは困ったものですが、悪い話ではありません。さていざ投票するとなるとこれまた誰に入れればいいのか迷うところなのです。
「この人は何かをしてくれそうだからD候補に投票した」というCさんがいました。その考え方も一理ありますが、それだけでは不安です。Cさんが「今の政治はだめだ。政権交代が必要だ。」と考えていたとしたら、D候補に実現する可能性を求めなければならないでしょう。
もしD候補が与党の候補なら、政権交代に貢献することはないでしょうし、弱小政党で野党連合にも加わらないということであればこれも同様政権交代の力にはなりません。そう考えるとD候補の主張だけでは判断材料不足ということになるのです。
政治の世界では悪い意味で使われる言葉ですが、根底にある数の論理は無視できません。
選挙の場合は、当選させることが先ず重要という場面があります。当選させたくない候補の当選を阻止するために、対抗する候補に票を集中させるのも一案でしょう。他に応援したい候補がいたとしてもです。
議会でも最終的には与党と野党の多数決です。自分の応援する候補者が一体どちらに属するのか見通しを立てておくことは、必要でしょう。
心を鬼にして数の論理だけで反対勢力を応援するとして、「票を生かす」のは難しいところです。
反対勢力の候補が複数いたりするとどちらかに投票すれば良いのか迷いますし、無所属というのも当選してから与党に招かれたりしますから信用なりません。数の論理で考えるというのは、マニュフェストを頼りに判断するのと負けず劣らず難しいものです。
もちろん、自分が良いと思った候補に票をいれるということが基本ですし、落選確実でも票を投じて意思表示するということも方法として有用です。ただ、自分が与党の候補に投票しておいて、野党の政権交代を期待するというちぐはぐな投票行動に陥っていないかチェックは必要だと思うのです。
今回は大変ありきたりな話をさせていただきました。こんな話には耳を傾けず、自分の投票行動に自信を持っている方ばかりなら、大変結構なことです。
(05.08.29)
この話題に関する情報、ご意見などがありましたら是非お寄せください。
目次