流れのヒント

[絶え間なく水は流れる]
上水の散歩道

ポンプがない時代。飲み水を運ぶための川の掘削は丘を越える大変な苦労だったようなのです。

Contents
>上水は川とは違う
>>飲料水を運ぶ川>>山越え谷越え
>散歩道として快適
>>アップダウンがなく、緩やかにカーブ>>みどりが生い茂る>>合流がない
>歩いてみた
>>原水導水路区間>>清流復活区間

上水は川とは違う

飲料水を運ぶ川

 関西育ちの私にとって玉川上水はなじみがなく、一体どういう役割なのかわからなかったのでした。住んでいたところでは地下水が主な水源でしたが、代わりの水源といえば川しか思い浮かびません。上流の汚水処理場で処理された水を下流の浄水場で水源として取水するなんて当たり前の光景で、なんだか変な感じがしたものです。もちろん消毒をしっかり施し、安全性は確保されていましたが。

 多摩川の上流よりわざわざ飲料水専用の川をひいてくるなんて江戸は贅沢だなと印象があるわけです。当時としては、近くの川でもきれいなのは当たり前で、遠くからひいてくるのは、単に量を確保するためだったわけですが。

山越え谷越え

 海を埋め立てた江戸では、井戸を掘っても塩水しか出てこないので、上水道を整備が急務であったようです。しかし近くには適当な川が無く、遠くの水源から川の水を引いてくる必要があったのです。

 多摩川の水を引いてくるなら、世田谷区あたりの近いところからと思うのですが、当時はポンプでくみ上げるわけにいかず、標高の高い地点からひかなければならなかったのです。

 多摩川の上流、羽村を標高130mでスタートした玉川上水は出来るだけゆっくりとした勾配を保ち、江戸に来てもまだ30mの標高を保っています。余裕をもって江戸の随所に水を配ることができたわけです。

散歩道として快適

アップダウンがなく、緩やかにカーブ

 玉川上水は国の史跡だから良く整備されているというのもあるでしょうが、上水というのは散歩道として快適な要素を持っているのだと思うのです。

 上ったり下りたりする事がありませんし、交差点で直角に曲がるということもありません。ただ、このことは川についてもいえることですね。

みどりが生い茂る

 川には無い特徴としては、水質を守るという発想があるということでしょう。

 飲料水ですから、川に比べるとずっと水が大切にされています。フェンスで立入禁止にし、見回るための管理道路があります。歩く人のためではないのですが、手入れが行き届いたという印象を受けるのです。

 上水の緑は、水が暖まらないようにとの配慮です。歩く人はその恩恵を受けられます。川ではそんな配慮は不要ですから、木陰のない堤防をとぼとぼ歩くことも多いでしょう。

合流がない

 地図の上で全体を見渡すと上水は川とは逆の形態を持ちます。

 上水は分流しますが、合流せずに一本のままです。川とはかたくなに分離されていて、上水と川の立体交差なんて見られるのも楽しいものです。

 川だと合流の度に川幅が太くなっていきます。あまり太い川では散歩道としての落ち着きが半減する気がするのです。

 また合流の度に迂回を強いられるのが川の特徴でしょう。橋を渡るのがいやだといっても、川同士が合流の度にどちらかに寄らないといけません。

川の合流は迂回を強いる
川の合流

歩いてみた

 そんなわけで歩いてみました。

原水導水路区間

 多摩川から取水してから約12km区間は、本当に水道水になる水を運んでいます。

取水場(羽村)
玉川上水a

福生市辺りでは管理道がなく歩きにくい
玉川上水b

残堀川と立体交差
玉川上水c

清流復活区間

 玉川上水駅(西武新宿駅から直通電車あり)付近は、玉川上水の中でも「要所」となる場所で、ふさわしい駅名だといえます。

 この「要所」では野火止上水と分岐します。

 またここを起点に、下水の処理水を使って清流が復活しました。

 唯一清流とふれあえる場所がありますが、本当の所、多摩川の清流ではないわけです。

清流とふれあえる貴重な区間(玉川上水駅付近)(野火止上水へ分岐します)
玉川上水d

武蔵野線トンネルへの道
玉川上水e

千川上水はこちらへ
玉川上水f

 すでに上水道としての価値はありませんが、良く整備されており、木陰の中をゆっくり散歩できます。

 途中JRの下をくぐります。この区間は、単なるどぶ川にしか見えず、本当にこれが玉川上水なのだろうかと周りを見渡したところです。私がこの単なるどぶ川に興味をしめし、きょろきょろしているのを、駅前を行き交う人は不思議そうに見ているのです。

三鷹駅の下は単なるどぶ川にしか見えない
玉川上水g

井の頭公園に突入
玉川上水h

 途中、井の頭公園を越えると、丘陵の斜面という地形になり、水面がずいぶん深くなります。等高線にそって、斜面を横切るというのは、自然の川には無い不思議な風景です。

斜面を横切る上水
上水の断面

深い谷になっている(三鷹台駅最寄り)
玉川上水i

 久我山駅付近では、雑木林や農地(市民農園)が広がっていると思ったら、都市計画道路の計画地になっているのだとか。この先玉川上水は暗渠(地下)となり、高速道路や地下鉄の用地に利用されるのですが、その二の舞ということかもしれません。幅60mの間に清流も保存するということで、完璧に暗渠化する下流とはひと味違った計画のようです。

農地が広がっているのは道路用地だとか(久我山駅最寄り)
玉川上水j

玉川上水に沿って道路計画(赤色の線)
玉川上水l

 富士見ヶ丘駅付近で開渠は終わりです。この先は暗渠化されて、地上からはどこに流れているのか推測するしかありません。

開渠はここまで
玉川上水k

(07.07.16)

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