仕事で道路網を考えることがあるのです。幅の細い生活道路をどう配置するのかということです。そんなとき「道路は直線ばかりでなく、曲線もいれてくれ」という要望がでることが多いのです。気持ちは分かりますが必ずしもいいこととは限りません。景観上のワンポイントとして曲線の道路はいいものですが、凝りすぎは禁物です。
曲線といいますが、実際に道路の境界線を決める場合には、点と直線に置き換えられます。点は、道路の上で杭や鋲により目印とします。点と点を結ぶのは直線です。曲線は、この点と線がたくさん集まったものとなるわけです。この数に道路に関わる関係者は皆困り顔になるわけです。
カーブは問題
建設する側が面倒というだけではありません。土地を利用する人にとっても問題ありなのです。
狭い敷地に建物を配置する場合、南側を庭として広くし、建物は北側に寄せる事があります。ところが道路が曲線であれば、直線で構成される建物の壁との間に余分な隙間ができてしまいます。道路がまっすぐだと、ぴったり50cmだけ隙間をあけるという芸当もできるのですが。
ゆとりのある敷地面積に優雅な曲線を描く道路というコンセプトであれば、問題ないのですが、「ゆとりのある敷地面積」はなかなかお目にかかれません。
生活道路の曲線に懐疑的ですが、幹線道路や緑道(歩行者用のメインストリート)の緩やかな曲線は積極的に取り入れたいものです。
歩行者にとってはショッピングモールの掟と同様に、少々見通しが悪い方がいいのです。車にとっては、適度な曲線はスピードの抑制につながります。
さて、そこに面する土地ですが、緩やかな曲線ですから、一つの区画毎に見ればほとんど直線となるのです。無駄な土地が増えることもありません。
大回りなら良い
(06.06.05)
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