新しい街を計画するときも、道路が変に曲がることがあるのです。
とりあえず自然発生的な道路を幹線道路と呼びましょう。昔の「けもの道」も、今では町同士を結ぶ重要な幹線なのです。
町同士を結ぶような道路でまっすぐなものはあまり見かけません。目的地までを最短距離で結ぶのが道路の理想でしょうが、次の様な要因で右往左往するのが普通でしょう。
経済性は重要な要素です。大まかに用地費、建設費、補償費の3つに分けて考えると良いでしょう。
自動車主体の道路では、曲線が主体の計画となりがちです。
直線と直線は曲線でつなぐ
このような制約の積み重ねで、幹線道路は曲線が主体となるわけです。
敷地に接する一番身近な道を区画道路と呼びましょう。例として人口が集中している場合で、住宅団地を想像してください。
敷地(家を建てる私有地など)は長方形が基本です。建物を配置してみるとよくわかるでしょう。長方形が基本の建物、駐車場をむだなく配置するには、敷地の形状を長方形とするのが理想となります。
長方形の「敷地」がいくつか集まり、長方形の「街区」を形成しています。それを囲む道路は、定規で引いた様に直線主体となります。
敷地と街区
住宅団地の基本形はこのような街区の集まりですし、大都市の例では京都とか札幌など、例はたくさんあります。計画する時に手抜きをしたのではなく、敷地を長方形にするための合理的な形なのです。
住宅団地の街区は長方形の集合体が理想にも関わらず、微妙にひしゃげた形になっている場合が多く見られます。これはすべての敷地が良い形になろうとする結果でもあるのです。これを「敷地の最適化」と呼んでおきましょう。
敷地には広がろうという性質があります。「自分の土地は減らされたくない」と考えれば想像が付くでしょう。隣接者とのトラブルも、この敷地の性質から来ているわけです。お互い合意した位置で杭を打って、広がろうという力を押さえ込まねばなりません。
道路に対しても同じ様な性質はあります。家の前の道が狭くても、そう簡単に道は広がりません。家を建て替えるときに、道路の中心から2mの所まで道として確保しろといわれて、ようやく道の拡幅が実現します。
住宅団地を計画する場合、1戸あたりの面積は販売価格を抑えるため、小さい方が良いわけです。建物に必要な面積がありますから、無駄な隙間を作らないことが重要になります。
計画の最初には目標となる面積の長方形を並べてみるわけです。すると幹線道路付近で無理が生じる箇所が出てくるのです。
上記に3つの制約として書いたとおり、幹線道路は基本的に曲線が主体なのです。この曲線主体の幹線道路と長方形の街区の間に不整形な敷地が生じてしまうのは自然の成り行きでしょう。
不整形な敷地
全く価値を生まないこの不整形な土地を放置するわけにはいきません。例えば以下の様な方法で、少しずつ整形な土地に無理を押しつけていくのです。
無理を少しずつ分散
このように少しずつ無理を分散し、商品としての敷地数も増えることがあれば、全体としてはプラスになるわけです。「一部に影響をまとめる」か、「全体にまんべんなくしわ寄せする」か、この辺りは開発業者の腕の見せ所ということでしょう。
(07.12.31)
この話題に関する情報、ご意見などがありましたら是非お寄せください。
目次