大きな敷地を分割するときには、要注意なのです。
建物の敷地というのは、接する道路より高いというのが基本です。四方道路に囲まれている敷地があれば、すべての箇所で高いという意味です。
水はけという観点からすれば、1箇所でも道路より高い部分があれば、そこから排水すれば良い様なものですが、新たに造成計画をする場合には、忠実にするのが原則です。
いくつかの理由があるでしょう。
例えば敷地の一部を他の人に譲る場合に問題が生じます。周囲すべてが道路より低い部分を譲られたら、隣の土地を借りないと雨水を排水出来なくなるいうわけです。
また擁壁や法面というのは、支えられる側がきちんと管理しないと危険です。道路が上にあるということは、個人の敷地内に擁壁や法面を造ることになるわけです。そんなややこしいことになるくらいなら、最初から道路より低い土地は造らないということになるわけです。
擁壁で支える道路
学校やグランド、集合住宅などの大きな敷地は、多少でこぼこはあっても、真っ平らにするものです。建物は平らな土地の上に立てますし、グランドが斜めでも困ります。
一方、道路には必ず勾配があります。全体的な地勢が勾配をもっている場合にはそれにあわせて急勾配となりますし、雨水を排水するために最低限の勾配は必要となります。
例えば2%の大してきつくない勾配の道路に沿って幅100mの大きな敷地があった場合を想定します。道路の高い方は高低差が無いとしても、低い方は100m×2%=2mの高低差が付くことになります。植栽などでうまく高低差を隠すことが多いので目立たないかも知れませんが、結構大きな高低差となります。
高低差が生じる大きな敷地
大きな敷地を細かく分割して戸建て住宅に再造成するということがあります。その地域に住宅地の需要があるならば考えて当然のことです。購買価格を考えて適当な規模に分割するのは、なかなか難しいものですが、企画段階ではお金がかかる問題はまだ見えてきません。
しかし、いざ事業を考えるとなると、意外にお金がかかることが判明するのです。先ほどの例でを分割するとしましょう。
大きな敷地の時には左の端で道路の高さに接続すれば良かった訳です。右側にも出入り口が必要ということで階段を設置したかもしせんが、共同で使うものですから全体の費用からすると微々たるものです。
ところが戸建て住宅に分けるとなると、1戸づつが道路に接続しないといけないのです。2mの高低差があれば、1戸づつに階段が必要になりますので費用がかさみます。全体を均して平均1mの高低差としても、小規模な擁壁を各戸に設置することには変わりありません。
敷地の分割で土が余る
各戸の高低差を解消するためには、ダンプトラックで土を持ち出す必要があり、これもお金がかかります。近所に土を必要する工事現場があれば良いのですが、無ければ何十キロも離れた土捨場まで運ばなければなりません。
(06.12.18)
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