有識者から構成される委員会で市名が決定されることが多いようですですが、世間からの批判の嵐に委員さん達は耐えなければなりません。他人事ながら心配です。
さいたま市の市名募集では、得票数1位が「埼玉市」。ところが、委員会での決定は、ひらがな「さいたま市」。納得いかないところですが、「さいたま市」だって2位という得票数があったわけですから、無視するわけにもいきません。
ところが、岐阜県海津郡では、公募2500件のうち、たった2件しか得票の無かったのに協議会は「ひらなみ」に決めてしまったのです。これはひどいということで、反対署名がわんさか集まったとのこと。
ここまでが最初に、このコンテンツを書いていたころの話。それから、紆余曲折ありましたが
住民意識調査の結果を受け、平成16年5月31日の合併協議会で、新市名称は海津市町・字の取扱いについては 現行の町・字名の前に現行の3町名を付ける(海津町、平田町又は南濃町を付ける)と決定されました。
とのことです。
投票無視もひどいけれど、そもそも委員会で決めてしまうという発想も乱暴な話です。無難すぎる名前として批判が上がった「四国中央」という市名案は、最初に投票で公募したきり、後は委員会が決めてしまうという次第。
こちらは、その後正式に四国中央市になった様です。投票第5位の「四国中央」は二次候補にも残っただけあって、絶対反対とまではいかなかったのでしょう。
最後に委員会が決めるというのは、住民に任せておくとだめだと言わんばかりです。確かに投票のやり方によってはいたずらに市(町、村)民同士の対立を招いたり、組織票が上位を占めたりして混乱する局面もあるでしょう。でもいままで見聞きした投票結果は、みんなが納得という名前が並んでいたりしたものです。埼玉県の県庁の所在地だから「埼玉」市、海津郡だから「海津」市、宇摩郡だから「宇摩」市など。住民をもっと信用してほしいものです。
西東京市は、最終的に住民投票により決まったとなっていますが、怪しい所ありです。実は、「ひばりが丘」の得票と「ひばりヶ丘」の得票をあわせると「西東京」を上回る得票があるわけです。「が」と「ヶ」の違いで、得票を分散させるとは、統一候補を擁立できなかった野党連合無念さです。「が」と「ヶ」の違いでダメだというのは、委員さんも意地悪です。
これは意地悪というより、委員会の意志があったのだと察しがつきます。委員会の記録を見ていると「ひばりがおか」については、次のような委員さんのコメントがありました。
「ひばりが丘市」は、新市の北端にあたる限られた地域の名前やひばりが丘団地がその由来となっており、ランドマークとしてもふさわしいとは言えない。また、ひばりが丘周辺の住民以外からの反対意見も多いことから、「ひばりが丘市」とすることには、強く反対する。
ということです。
委員さんには大局的な見地から、誘導して行きたい方向性というものがあるのでしょう。でもどうもしっくりこないのですよ。
再び、さいたま市。今度は、区名を決めることになりました。ここでも協議会の経緯も公開されており、委員さん達の意識も伺い知ることが出来ます。
ある委員さんの発言
・区名投票という市民意向調査を行い、投票の順位に拘らずに本委員会で区名を最終的に決定していくことは良いと思うが、各区で重複する区名や旧市名に方位がついた没個性的なものが多い中で、もっと多くの市民の方々が区名に対する強い意識が持てるよう、本委員会としてのメッセージを投票リーフレットに掲載してはいかがか。
・メッセージを掲載する場合、「さいたま市としての統一性」という旨を考慮して掲載していただきたい。
たとえば、「北大宮区」と「大宮西区」が混在するのでは、不統一だということ。そして委員会としておすすめ案を市民に提示していこうという主旨の様です。駅名で、「北浦和」「南浦和」などと没個性が連なるという汚名返上しようというアピールはどんどん委員会から提案すれば良いことでしょう。選挙戦の様に、自分の主張を住民に訴えてもいいと思います。
でも、最後は「住民投票一本勝負」であるべきでしょう。住民投票をしておいて、自分たちが思った案にするなんていうのは住民もバカにされたものです。もし、自分たちが良いと思う案があるのなら、それを住民に説得する位の責任が委員さん達には必要です。単に意見を言うだけなら、決定権を委員さん達に渡したくはありません。
委員さん達が一位をことごとく退け、「北区」「西区」「南区」「中央区」なんていう、超没個性な区名が誕生してしまいました。これらの区名が一位を退けるほど良い案だとは思えないのですが。
特に「大宮区」「浦和区」が残ったのに「与野」が無くなって「中央区」になるなんてちょっと寂しい話です。
くいが残らないように、これから市名を決める自治体は次の流れを採用することを強くおすすめします。
市名決定の流れ
(初出00.06.30)(再編集07.05.07)編集前
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