[格子状の道]
幹線バス路線を1本

最低限のバスサービスも必要ですが、自家用車に対抗する戦略も必要です。

Contents
>需要が先行するバス路線
>>先行投資が不要なバス路線>>バス路線が都市計画に合っているとは限らない
>シビルミニマムなコミュニティバスは、全域カバーが大変
>>シビルミニマムなバス路線>>自家用車に代わるバス路線
>駅勢圏に沿ってバスは走る
>>幹線バス>>シビルミニマムな公共交通サービス

11.09.05追加

需要が先行するバス路線

先行投資が不要なバス路線

 人口10万人までの小規模な都市では、市内の交通はバスが主役となるでしょう。新交通システムやLRTが導入できる都市規模ではありません。

 バス路線は需要に応じて開設され、需要が無くなれば廃止になる。行政の指導がありますが、基本的に自然発生的なものです。

 鉄道の新線のように住宅団地の開発を当て込んで、バス路線を開設するということもありません。住宅団地の入居が完了して、需要が見込まれてから開設で充分間に合います。それでは遅いというので住宅団地の開発業者が、バス事業者に運行開始を早めてもらうお願いをするような状態でしょう。

 要するに、道路さえあれば先行投資は不要なのがバス路線。バス事業者が道路をつくることはめったにありませんので、道路の整備状況に左右されてしまうのも宿命でしょう。

バス路線が都市計画に合っているとは限らない

 中央に鉄道駅があり、バス路線といえば「となりまちへのバス路線」が、唯一という都市を想定します。

 駅から20分程度を徒歩圏としましょう。20分圏だと自転車利用の人も多く含まれるでしょう。この境界線を境に外側の地域では駅を利用するために他の公共交通機関が必要となります。

 左側に延びている「となりまちへのバス路線」沿線の人であれば、バスの恩恵はあります。駅から遠くなってもこのバス沿線であれば、バスの恩恵があるということです。

 一方、中央から右側にかけての地域では、駅から徒歩圏をはずれると、もう自家用車(またはタクシー)に頼らざるを得ないことになってしまうのです。

偏りがあるバス路線網
現状のバス路線網

 前回取り上げた「公共交通軸」の考え方によれば、公共交通から徒歩圏でいけるところに住む場所を集約しようという考えです。ところで、この「となりまちへのバス路線」が「公共交通軸」に該当するのかは疑問があるところです。都市計画としては、駅から同心円状に都市を展開しようと考えているかも知れません(こちらの方が自然)。一方、バス路線の方は「自然発生的」であって「計画的」とは言えないでしょう。

 「駅から遠くないのに不便」な地域を優先的にバス路線のサービスを考える必要があると思うのです。

シビルミニマムなコミュニティバスは、全域カバーが大変

シビルミニマムなバス路線

 コミュニティバスが自家用車(タクシー)しか交通手段しかない地域の公共交通を担っています。そんなコミュニティバスの暗黙の了解は「全市域を覆う」こと。

 全域を覆うために、数多くのバス路線を設定することになり、一路線あたりの乗客は少なくなります。

 運行本数の減少を避けるため、バス路線を集約することを考えると、迂回路が増え、運行時間が増える結果となります。

 これも仕方のない事でしょう。「シビルミニマム」という考え方から不可欠な公共サービスのひとつである位置づけなのです。

コミュニティーバスは全域カバー
理想のバス路線網

※取り上げたサイトは、バス路線図の例示のために検索でさがしたものです。検索して見つけやすかった上に、バス路線図としてわかりやすかったという点で、ウェブサイトへの取り組みが積極的なコミュニティバスのひとつといえるでしょう。

自家用車に代わるバス路線

 しかし「自家用車」対「公共交通」という図式の中では、公共交通は完敗です。自家用車の利便性にはかなわないにしろ、善戦できるバス路線の設定が必要でしょう。

 競争力を付けるためには、何よりも運行頻度がものを言います。個人的な見解では15分間隔というのが最低ラインですが、それも出来ない場合があるでしょう。それならそれで、路線を一路線に絞ることで、全資源をそこに集中すべきです。

 「幹線バス路線」と名付けて、イメージアップを図りましょう。

駅勢圏に沿ってバスは走る

幹線バス

 幹線バス路線の優等生としては、名古屋の「基幹バス」が挙げられるでしょう。大都市だからここまで立派なものができたのかも知れませんが、その発想で小さなまちでも幹線バス路線を一本に絞るといいのです。

 その路線は、上の「偏りがあるバス路線網」図で示した、「駅から遠くないのに不便」な地域を網羅するということ。駅からの徒歩圏に沿った環状の路線になることでしょう。

幹線バス路線で重点的に
公共交通軸のバス路線網

シビルミニマムな公共交通サービス

 ここで、問題になるのが「路線バス路線からはずれたエリア」をどうするかという問題。

 それらの地域は、公共交通軸の考え方から、市街化に消極的な地域となるでしょう。

 そして最低限のサービスとしてシビルミニマムな公共交通サービスが不可欠となるでしょう。

(11.09.05追加)

 名古屋の基幹バスに乗る機会がありました。せっかく路面電車並みの設備を備えながら、単なるバス扱いでもったいないというのが第一印象です。

 地下鉄の路線図に掲載するくらいでも良いと思うのです。名古屋に不慣れな私が、「基幹バス」に乗ろうと思っても、どこに路線があるのかも、なかなか知ることが出来なかったのです。

路面電車と同じ機能を持つ専用車線

車線規制標識

バス停も路面電車並みの快適さです

バス停

 地下鉄路線図にはゆとりーとラインが加わったものがあるのですが、基幹バスは含まれません。もし路面電車であればきっと地下鉄路線図にも含まれていたでしょう。路面電車と遜色ない(スピードでは路面電車より早いかも)基幹バスが路線図で幹線的な交通網からはずされてしまっているのが残念でなりません。

(07.03.26)

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