生活の中心にあるべき学校と病院が不便な所にあるものです。
新設の学校は、なぜか不便な所という印象があるのです。田んぼが広がる田園風景の中に、ぽつんと立地するという感じです。学校が市街地のはずれにばかりとなると、校区分けも大変です。無理に細長い校区になり、近くに既存校があるのにもかかわらず、遠くの新設校に通うことにもなりかねません。
細長い校区
学校に限らず新設の病院も同様に不便なところにある傾向が見られます。鉄道駅から離れていてバスを利用となります。○○病院前行きというのが多いのは、そんな事が背景にあるのだと思います。バス利用客の多い市街地が終わるあたりにちょうど病院があるという具合なのでしょう。
病院が終点
いずれも、公共性が高い施設ですからまちの中心にあるのが望ましいわけです。しかし、広大な土地を新規に見つけるのは大変です。中心市街地は地価が高いし、住宅地では隣接する住民から歓迎されません。
こう考えると、市街地から少し離れた所に立地するというのは仕方のない事なのかもしれません。
でも仕方のない事とあきらめ顔ではいけません。安易に郊外に進出する動機があるわけです。
これらの施設は、市街化調整区域でも開発許可不要で建設できるというのです。
市街化調整区域は住宅地の造成が抑制されている土地です。だから広い土地が残っているのです。これらの土地は住宅地としての土地活用が規制されているので、それなりの価格でしか取引されません。
そんな状況で、学校や病院なら活用できるとなれば、土地所有者の中には是非とも売却したいという人もいるでしょう。しかも、それ以外に使い道がないのですから、条件の交渉ではあまり強きというわけにはいかないはずです。広い土地を安くで入手したい学校や病院と、少々安くても売りたいという土地所有者の利害関係が一致して、市街地のはずれに施設を設けるということになっても不思議ではありません。
本来の主旨は、必要な施設なのだから立地を妨げないという例外規定のようなものが、実際には立地を誘導する動機となってしまっているのです。
運営者にとって安くて容易に土地が取得できるのは良いことですが、その代償として利用者が不便を被るというのはいい気はしません。
今回も私が言うまでもなく、問題点があったようで、法の改正により、立地条件が厳しくなります。学校や病院も開発の許可が必要となります。できるだけ既存の市街地の適地を探し、仕方なく「市街化調整区域」での開発を認めるという姿勢になる事なのでしょう。
(06.03.27)
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