従来の都市計画図では公共交通の流れが見えてこないのです。
都市計画図では鉄道が目立たないのです。そもそも鉄道は狭い用地でも大量輸送できるすぐれものです。太い道路に比べてただでさえ目立たないのに、都市計画図では目立たせる工夫もしていません。都市計画は旧建設省の管轄、旧運輸省の管轄する鉄道とは折り合いが悪いのでしょう。
鉄道が目立たない
たまには鉄道が目立つことがあります。都市計画図上で「都市高速鉄道」は、はしご状の模様で表現されています。未来都市の新幹線みたいなのを想像するネーミングですが、実際は普通の電車です。都市の交通といえばまず路面電車。路面電車より高速なので「高速」鉄道です。地下鉄が代表格ですから「高速」は、しっくりきません。
都市計画において鉄道は良く思われていません。鉄道により道路や地域が分断されてしまうというのが基本的な考えです。線路のある部分では往来できませんし、踏切はたびたび開かずになります。分断要素として扱われ、それを克服するような計画が打ち立てられます。ですから立体交差化は表示されるものの既存の鉄道は目立たないのです。
古くからある国道や県道も目立ちません。都市「計画」図には、すでに完成しているものをわざわざ記載する必要はないわけです。鉄道の立体交差と同様に都市計画に基づいて建設される国道や県道は記載されます。整備された道路や公園が都市計画図に記載されていますが、計画に基づいて整備したために記載されているのです。一方、見た目は道路や公園でも農水省所管の広域農道(見た目は普通の道路)や農林公苑は記載されていないのです。
当たり前といえば当たり前の話なのですが、単に都市「施設」の計画図だったのです。都市計画図という言葉にはまちの将来像を示したという響きがあるのですが、期待はずれです。
地方都市などは顕著ですが、車社会です。駅に降り立ったら、バスがあればいい方で、タクシーしかありません。
公共交通を見直そうといっても実感がわかないのです。目的地にたどり着くまでに複数の交通機関を乗り継ぐことになるわけですから、その一部を取り上げて「どんどん乗りましょう」だけでは、行動を起こせないのです。
「交通計画図」を作って、乗り継ぐルートを明確にしてみるとどうでしょう。「かけ声」を図面に記載していくだけで、絵空事であることが見えてくるでしょう。鉄道を利用しようと思っても数時間に一本しか運行していなかったり、降りた駅でバス路線が無かったり。
最初は仕方ありません。一日に数本しか運行しない鉄道でも太く表示してみたらどうでしょう。市内だけでも単行のシャトル便を運行することにつながるかもしれません。
市内だけでも太くする
本数の多いバス路線は、有力な情報です。
バスだけでも太くする
こうして交通計画を図示できる様になって、はじめて「公共交通を見直そう」といえるのです。そもそも市民にもっとも身近な都市計画図に交通網の考え方を盛り込むのがいいと思うのですが。
(06.04.10)
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