[1点豪華主義が好まれる]
「踏切広場」で踏切に歩道を

せっかく一点豪華主義で整備する踏切ですから、幅はゆったり整備したいものです。

Contents
>踏切は狭い
>>歩道のない踏切がこんなにある>>単に昔のままなのでしょう>>たくさんの最悪
>抜本に対して速効
>>拡幅には消極的だったはず>>速効は一点豪華主義ということ
>せめて幅だけは理想で
>>踏切の真ん中で譲り合いはできないのです>>新公共施設「踏切広場」

12.04.09追加

踏切は狭い

 踏切は狭いと思うのです。おそらく昔のままなのでしょう。接続する道路が立派な歩道付きに拡幅されても踏切だけは放置されている光景をよく目にするのです。

踏切だけ狭い
踏切の図

歩道のない踏切がこんなにある

 歩道の無い踏切は92%もあるのです。このデータに誇張があるとしても歩道がちゃんと整備されている踏切は少ないという印象があります。

単に昔のままなのでしょう

 なぜこんなことになっているのかと少し考え、すぐに結論に至るのです。おそらく昔のままなのでしょう。ただ放置されているだけということに違いありません。

 踏切の踏板を追加するくらいなら大したことは無いでしょうが、鉄道敷には数多くの配線があり、工事のミスで安全運行に支障があるようでは大変です。

 そもそも踏切の拡幅はあまり鉄道事業のプラスにはなりません。かつての国鉄は株式会社になり、鉄道はみんな営利団体という状態です。鉄道敷は見た目は公共空間ながら、「市民のもの」とは考えない方が良さそうです。

たくさんの最悪

 踏切にはあまりにもたくさんの最悪が集中しています。

  • 開かずの踏切(停止時間が読めない)
  • 閉じこめの恐れ(一時停止しなければならない)
  • 路面がガタガタしている
  • 脱輪の危険がある(歩行者も危険)

 加えて歩道がないことにより

  • 歩行者、自転車、自動車が同じ車線を譲り合いながら通行する

という問題も抱えてしまっているのです。譲り合いながらといってもここでは自動車が交通の弱者です。踏切が開いた直後、歩行者の大群が押し寄せる間は、自動車は対面通行できず、対向車との交互通行を余儀なくされています。まるで歩行者でにぎわうの商店街に迷い込んだ車両の様です。

抜本に対して速効

拡幅には消極的だったはず

 踏切が改良されない理由を、単に鉄道側が話し合いに応じないと決めつけるのは早いと思うのです。現に線路の高架化工事は積極的に行われていますし、道路側の立体化にも協力しています。どうやら立体交差にするのは良くて、踏切の拡幅は悪いという分類が存在しそうです。

 その分類が抜本対策と速効対策。立体交差が抜本対策で踏切の拡幅が速効対策となるのです。従来は、抜本対策が重視されていました。「鉄道を高架化することで市内の踏切13カ所が解消されます」なんて話を否定するつもりはありません。しかし今までは抜本対策に重点が置かれ過ぎていたということなのでしょう。

 立体化ありきの発想は、全国一律に適用されてきたのだと想像できます。地方のきわめて人口の希薄そうな地域に、何本もの立派な跨線橋(道路)が整備されるのを見ると、そのお金でいくつの踏切に歩道が整備出来るだろうと考えるわけです。

速効は一点豪華主義ということ

 近年、緊縮財政の中で、1点豪華主義的な事業で最低限の投資で最大限の効果をねらうという流れになってきています。速効対策にも重点を置くと言うことです。本来やるべきことをさしおくのは困ることですが、踏切の改良にも目が向いてくるということはいいことだと思うのです。

せめて幅だけは理想で

踏切の真ん中で譲り合いはできないのです

 一時停止、ガタガタ、脱輪の危険など、渋滞の原因が山ほどある踏切で、唯一なんとか出来そうなのが道路幅です。速効対策はその可能性に目を付けたのでしょう。しかし、形ばかりの対策にならないよう、しっかり効果が出るように悔いのない整備が望まれるところなのです。

  • 接続道路の歩道が狭いなら幅広の歩道を設ける。
  • 接続道路に歩道がなくても踏切に歩道を設ける。
  • 自転車道を歩道から分離する。
  • 歩道の幅は人がすれ違えるようにする。
  • 自転車道も自転車がすれ違えるようにする。

 すれ違えるひとりあたりの幅というのは、約1メートルとされています。歩道に2メートル、自転車道に2メートルで、あわせて4メートル必要となります。

 道路構造令では歩道の最低幅員は2メートル、自転車が混在すると3メートルとなっていますが、これでは足りません。遮断機が上がると同時に一斉に対岸めがけるのですから、踏切の中央で衝突になるのは必至です。各レーンを明確に分けてやる必要があるのです。

歩道の確保
歩道の確保の図

新公共施設「踏切広場」

 接続する道路が狭くても踏切の幅は最低14メートル必要だと考えるのです。例えば両側の道路が6メートルしかない場合でも、両側に4mは確保しないといけないのです。上図のように側道があれば話は早いのですが、必ずしもそうとは限りません。

 そこで新しい公共施設「踏切広場」を提案するのです。公共施設は税金を使って整備されるため意味不明なものは認められません。踏切前のたまり場を他の名称で表現しても無理があります。道路にしては短いし、駅前広場にしては駅前でもない、公園としてはくつろぎの場がない。そこで名前を付けてやるわけです。これで整備する大義名分も立ちます。

踏切広場
踏切広場の図

 抜本対策では線路を高架化した上に立派な側道を整備しているのです。そう考えるとたったわずかな踏切広場を整備するのは大した投資ではないと思うのです。

(12.04.09追加)

踏切道改良の本当の効果は遮断機が開いた直後の混乱にあります。踏切道対策の効果が実感できるよう写真を用意しました。

この事例は、工事完了直前ですが、まだ供用が開始されていない状態です。改良の前はバリケードが設置されている歩道部分が無く、車道部分のみでした。遮断機が開いた直後は、自転車と歩行者が一斉に通行を始めるので、自動車はしばらく踏切内に進入できません。

改良前1

自転車と歩行者の列が、整然となると、ようやく自動車が踏切内に進入してきます。スピードが出ているわけではありませんが、お互いすれすれです。

改良前2

こちらは供用開始後です。路面が緑色に塗られているのが増設された歩道です。

改良後1

遮断機が開いた直後でも、自動車とは分離されています。

改良後2

(06.01.02)

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