[安心な十字路]
主道路網図

主従関係がわかることが安心な十字路なのです

Contents
>ドットラインで主従関係をはっきりと
>>優先道路>>主道路と従道路>>ドットライン
>主従関係が不明確だとヒヤリとする
>>都市内でも十勝型「ヒヤリ」>>ドットラインの整備は緊急度順に>>整備は「ヒヤリ」から
>主道路網図でヒヤリをみつける
>>主道路網図の道路は交差しない>>道路の段階構成で流れを>>幅員には関係ない>>角度には関係ない>>優先道路には関係ない>>六差路は無い

ドットラインで主従関係をはっきりと

優先道路

 道路交通法に「優先道路」という用語があります。センターラインがあるものが優先道路のひとつと思って良いのだと思うのですが、定義が曖昧なので今回はこの用語を使いません。「優先道路」らしい道路同士、そうでない細い道路同士でも、主従関係を明確にするのが今回の話ですので、別の用語を使うことにします。

主道路と従道路

 この主従関係をまちづくりの用語で「主道路」「従道路」と呼びます。これらは、各交差点ごとに決まるもので、細い道路と交差するときはこちらが「主道路」で、ちょっと進んだところで太い道路と交差するときはこちらが「従道路」となるわけです。

主道路・従道路
挿絵1

 なお「主道路」「従道路」の用語は、他の意味にも使われることがありますから、毎回定義を確認されたほうが良いでしょう。

ドットライン

 「主道路」「従道路」を区別するための「ドットライン」という標示が見られるようになりました。

ドットライン
挿絵2

 ドットラインが無い道路では、走行中の道路が主道路なのか従道路なのかわかりづらいものです。従道路であれば、「とまれ」標識や「停止線」標示等があるのでわかりますが、主道路側には目印がありません。道路が交差する度に「どちらに停止線やとまれ標識があるのか」と、状況をみて判断するしかありません。

 積雪地では区画線・道路標示は見えなくなります。ここでは雪が積らない地域の話とします。

主従関係が不明確だとヒヤリとする

都市内でも十勝型「ヒヤリ」

 [安心な十字路]安心な十字路で取り上げた、十勝型事故ですが、「どちらが譲ればよいか迷う」という点では都市内の事故においても考え方は同じでしょう。近所のY型交差点で、主道路側の車両(青色)が停止して、従道路側の車両(緑色)を譲っていることになっていました。また、赤い車のように、右折しているつもりも無く、突っ切っていく車があります。とにかく主道路側の道路がはっきりしていないのは危険です。

Y字交差点で迷う
挿絵3

ドットラインの整備は緊急度順に

 不思議なことに、こういう危険な箇所には、ドットラインが無いように思えるのです。どうやら道路整備をするたびにドットラインは整備するようで、それまでは自治会などで「事故多発地帯」とか立て札を立ててしのいでいるようです。ドットラインは万能ではありませんが、停止線のほかにも、道路幅いっぱいにドットラインが引かれていれば、ヒントになることに間違いはないでしょう。

たて看板よりドットラインの方が効果があると思う
写真1

 なお、この写真の奥の方にドットラインが見えます。実はこの交差点は五差路なのです。5本目のこの道路は比較的新しく舗装しなおされた道路のため、ドットラインがあるのです。肝心なわかりにくいY字路は手付かずというので、整備方針に疑問を持ったというわけです。

整備は「ヒヤリ」から

 道路の危険度を3種類に分けてみます。

  1. 事故発生−出会いがしらの事故が発生することがわかっている。
  2. 苦情あり−住民から危険だという苦情が市役所等に入っている。
  3. ヒヤリ−ヒヤリとするだけなので、まだ苦情はでていない。でも事故が起こる可能性は高い。
  4. 問題なし−標識がなくてもわかる位、道路の主従関係がはっきりしている。

 まず「事故発生」については、標識や標示の設置に携わる警察も把握しているわけですから、何らかの対策を講じることになるでしょう。「苦情あり」についても同様に道路管理者が把握しており、警察に相談するのは時間の問題でしょう。

 しかし、「ヒヤリ」と「問題なし」については、改善の優先順位をつけるのは大変だと思います。すべてを点検する必要があるわけです。その結果、「ヒヤリ」と「問題なし」の分類をあきらめて、舗装のやり変えをする際についでに、標示を改善するというのんびりとした方法となっているのに違いありません。「ヒヤリ」とするところを先行して改善してもらいたいものです。

主道路網図でヒヤリをみつける

 主道路網図は、私が考えた造語です。この図により「ヒヤリ」の箇所が見つけやすくなると思うわけです。

主道路網図の道路は交差しない

 主道路網図を作成すると各交差点の主従関係を必ず表現することになります。決して交差せず、どちらかの道路が分断されて、起点(終点)となります。起点(終点)が従道路、その他が主道路となるわけです。

 現地の道路の主従関係が明確に、図面どおりとなっているのであれば大丈夫です。主従関係が曖昧なら、「ヒヤリ」の可能性が大です。

主道路網図
挿絵4

道路の段階構成で流れを

 新市街地を整備する際に、道路の段階構成を考慮します。

  • 幹線道路->補助幹線道路->区画道路
  • 国道->県道->市道

 このような感じで、太い道路から細い道路に車が流れていくというイメージです。主道路網図においても、幹線道路、国道といった太い道路から順に書き入れていくとうまく主従関係が表現できます。

段階構成の概念
挿絵5

幅員には関係ない

 たとえば、その地域で古くからある細い旧道に住宅地の開発等で取り付け道路を設けられた場合どちらが優先なのかわかりづらくなります。はっきりと旧道側にドットラインをいれてやらなければなりません。

細い旧道に開発道路が取り付く
挿絵6

角度には関係ない

 Y字交差点で、片方の角度の開きが少ないときでも、それがメインでない(つまり従道路)であることは良くあることです。図面上でもそのように表示し、道路の標識、標示で迷うことなく誘導されるのか点検が必要です。

Y字交差点は注意
挿絵7

優先道路には関係ない

 優先道路同士が交差する?場合があっても、信号制御が無いのであれば、片方は優先道路失格ですから、従道路ということをはっきりと明示する必要があります。

優先道路もここでは従道路
挿絵8

六差路は無い

 主道路に対して、両側から1本づつの従道路が取り付きます。片側から一度に2本取り付くことは、それぞれの主従関係がはっきりしていないということで、ありません。どちらかに合流させてから、主道路に接続させる必要があります。現実にこれだけ丁寧に誘導されていませんから、現地は混乱しているわけです。

一気に交差させない
挿絵9

(09.11.02)

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