流れのヒント

[空港ビルは広すぎる]
良い空港ビルは奥行き方向を活用する

横長の空港ビルを縦方向にしてみたら。

Contents
>歩行距離の短縮は同心円の発想で
>>奥行きを狭めても歩行距離が短くなるとは限らない>>空港ビルのへそがある>>同心円を書いてチェックしてみる
>アトランタ空港は縦方向に太い動線
>>増設コンコースへも素早いアクセス>>動線も機能性にひと工夫

歩行距離の短縮は同心円の発想で

奥行きを狭めても歩行距離が短くなるとは限らない

 滑走路は細長く、空港の敷地も細長い。こうなると空港ビルも細長くなるのは成り行き上仕方ないことかもしれません。

奥行き方向が長いと敷地がいびつになる
奥行き方向が長いと敷地がいびつになる

 しかし、それにも増して空港ビルを細長くする要因があると思うのです。それは「奥行き方向を狭めて」歩行距離を短くするという発想。タクシー→チェックインカウンター→セキュリティーチェック→ボーディングブリッジという一連の流れを短くするというものです。模式図に書くと、縦方向に並行の動線がいくつも並ぶことになりますが、実際にはこうはいきません。

旅客の流れは奥行き方向ばかりとは限らない
旅客の流れは奥行き方向ばかりとは限らない

空港ビルのへそがある

 縦方向の動線がいくつも並ぶということはなさそうです。それはいくつかの関門が待ちかまえているからです。タクシーならチェックインカウンターの前にタクシーを横付けできますが、バスや鉄道はそうはいきません。また、セキュリティーチェックも、数が限定されます。場合によっては中央に1箇所のみです。
   例えば、福岡空港の第3ターミナルが困った典型例となります。名前は独立したターミナルに聞こえますが、単なる増築です。セキュリティーチェックは、第2ターミナルにしかなく、相当な迂回を強いられます。航空会社によって(特に新規参入組)は、一番端のチェックインカウンターと一番端の搭乗口が割り当てられてしまい、わざわざ第2ターミナルに向かう迂回は相当長いものです。

福岡空港の例
福岡空港の例

 セキュリティーチェック、名店街、そして地下鉄駅など動線を集約する関門があることから、旅客の流れは、平行線というより「空港のへそ」を中心とした放射線というのが正しいと言えるでしょう。

同心円を書いてチェックしてみる

 「空港のへそ」を中心に同心円を書いてみました。A地点は、細長いターミナルの半分を過ぎたところで、まだ奥にC地点があります。ところが、A地点と同じ距離に位置するB地点は空港のエプロンです。つまり有効に使われていないのです。B地点が使われず、さらに遠いC地点が存在する。

横長ビルに同心円を書いてみると
横長ビルに同心円を書いてみると

 だからといって手をこまねいているばかりではありません。成田空港の第2ターミナルや、新千歳空港を当てはめてみるとB地点はちゃんと使われています。ただし、拡張性に問題があるということは、前回にもお話した通りです。

同心円と重ねてみると
同心円と重ねてみると

アトランタ空港は縦方向に太い動線

増設コンコースへも素早いアクセス

 アトランタ空港は、空港のへそからの距離を意識しながら、増設も容易に出来るという、良いデザインの空港です。
 基本は横長のビル(コンコースと呼びます)です。もちろん、あまり長くするわけにはいかないので、複数のコンコースを並行して並べています。

アトランタ空港の例
アトランタ空港の例

 一般的な常識を覆し、縦方向の動線が主軸となっています。近年コンコースが増設されたようですが、不便になることはありません。B地点は、A地点と同じ直線距離です。むしろ、シャトルから直近のB地点の方が早いこともあるわけです。

動線も機能性にひと工夫

 この動線。機能的にも工夫があります。地下構造になっており、シャトルだけでなく徒歩でも利用できるのです。後からできた成田空港の第2ターミナルでは、徒歩利用が出来ず、シャトルの順番待ちが出来るのとは対照的です。

(05.02.28追加)

 セントレアが開港しました。ターミナルビルの平面図を見る限り、縦方向の動線が強力なのが印象的です。空港ビルは横長という固定観念をうち破ってくれています。

 円を描いてみると、施設が無駄なくコンパクトにおさまっていることが良くわかります。円は高速船の船着き場まで含めていますが、これでも横方向が長いのです。旅客機の駐機場というのは本当に横方向に長いものです。

セントレアに円を描いてみれば
セントレアの平面図

(06.08.14追加)

ポピィさんよりゲストブックに書き込みをいただきました。

いろいろ空港を見て回りましたが、個人的な意見をいくつか述べさせて頂きます。
バスを見直そうについて
確かにバスだと楽なのですが、航空会社からするとコストがかかるのであまりよろしくないと思います。
空港の名店街を真ん中に
確かに名店街の位置は重要だと思います。
新千歳空港は非航空系収入が非常に多いですが、名店街の位置が大きいと思います。 が、新千歳空港は遣り過ぎのような気もします。
何せ駅ビルの店舗の中を通らないとチェックインロビーに行けないような構造になっていますので、名店街に寄らない人には邪魔以外の何者でもないかも?
良い空港ビルは未完成
羽田空港はアトランタ空港のような構造の方が良かったような気がします。
成田や関空は難しいですが、新千歳・中部・福岡は関空のターミナル形状で大きめに作れば良かったと思います。(福岡は敷地的に難しいですが)
最初から余裕があるように作り、将来的に一番混んでいても8割程度の利用率に落ち着く空港ターミナルが良いと思います。
(関空のように埋立てにお金を使い過ぎなければ、新千歳・中部・福岡クラスは、充分黒字化可能なので、増築よりも最初から余裕があるほうが良い。)
・良い空港ビルは奥行き方向を活用する
考えはよく理解できますが、重要な視点が欠けていると思います。
空港の一番のお客は、利用者ではなく航空会社です。
航空機の運用に支障が出る構造では、大きな問題有りといわざるを得ないと思います。
具体的には中部国際空港。
センターピアがあるためにボーディング・ゲートまでの航空機の導線が他空港に比べて複雑になり、またスポットによっては(Tの字の根元付近)、出発の際に長い距離をトーイングする必要があり遅延を発生させる原因のひとつになっています。
あと、中部はセンターピアの北側と南側で国内線と国際線が分かれていますが、旅客数が国内線と国際線でほぼ同じ、つまり旅客機の数が国内線と国際線でほぼ同じと考えられる以上、国際線のスポット数が足りないのは簡単に予想が付く話で、実際国際線のスポットを増やそうという意見もあるようですが、スポットを増やすとセントレアの長所が・・・。(国内線と国内線では機体がスポットにいる時間が倍くらい違う)
個人的には、関空の形状でウイングシャトルのような乗り物で運べばいいかなと思います。

 「施設」と「運行」が別々になっているのは(日本の)鉄道との違いですね。「利用者」対「運営者」だけで語られないということについては、あまり意識していませんでした。

(初出03.02.24)(再編集08.12.01)編集前

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