理屈抜きに、空が見えるとほっとするのです。
前回のJR京都駅ビルの風穴に限らず、建物のすきまに空が見えるとほっとするものなのです。
周辺は商業ビルだらけで空とは無縁のとある駅前。まっすぐにのびる道路の先に空がみえるのです。
坂道の先の空
道路に勾配がついてあり、坂道を上りきった方向より先は空があるというからくりです。
視線の先 その1
理由はどうであれ、道の行く先に空が見えるというのは、ほっとするものです。
空がみえるとほっとすることを、まちを計画するときには忘れがちになります。
例えば、この駅前。橋上駅舎から駅前広場を望んでいます。ペデストリアンズデッキがあるわけですから、見晴らしは良いと思いきや、ビルが真ん前を塞いでいたりするのです。
威圧的な壁
普通、駅前広場からは、まっすぐに道路が延びていて、自然と建物のない空間が生まれるものなのです。駅前の視線上にはビルがそびえ立っているのです。道路が無ければビルは建ちますし、建物に囲まれた空間は落ち着くという考えもありますが、空が全く見えない威圧的な壁が立ちはだかっているというのは考えものです。道路が必要でなければ、視線の先に歩行者用の通路でもいいから設定してやれば良かったのですが、そんな配慮はありません。
視線の先 その2
こんな時はビルに穴が開けてやるしか無いでしょう。例えば京都駅の様に、小さな風穴をあけてやるとか、3階部分まで吹き抜けにしてやるとか、東京都庁の様に、真ん中に切り欠きを入れてやるとか。
すきまをつくる
上記で東京都庁の話をしました。この都庁の第一庁舎は、周囲の高層ビルより背の高いビルとなっています。この施設は社会的に強い影響を持ちますが、その上建物まで巨大では見る人に強い威圧感を与えてしまいます。そこで基本は周囲と同じ高さのビルで、加えて2本の塔をくっつけた様な形態にしてあるようです。
社会的な影響から威圧感を感じるという点ではこのビルもそうでしょう。
どっしり動かない
道路上の延長にこの建物あるのです。この先の交差点がT字状ならこんなことはあるかもしれません。
視線の先 その3
しかし、道路はこの先十字路で、無理矢理東方向にねじ曲げられているのです。まるでこのビルを避けているかのようにです。実はこのビルは、この一帯の開発地の土地所有者で、付近の開発を計画する時点で、このビルはすでに建てられていた様です。ですから、仕方なくこの位置にあるというわけですが、なにやら妙な威圧感を感じるものなのです。
(06.05.22)
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