道路幅員の基準は年を追う毎に広くなっていくのです。用地買収が終わった後で基準が変わりでもしたら、不適格道路の建設となってしまいます。
都市計画法に基づいて定められる都市計画道路。この道路幅員にも基準の変化が見られて興味深いところです。
都市計画図を眺めてみると同一地域でも都市計画道路の幅員が様々なのに気づくでしょう。これは、都市計画決定した時期が後になればなるほど広い幅員で決定されているということなのです。2車線道路なら11m、12m、14m、15m、16m、18m、4車線道路なら18m、20m、22m、25m、27mのように変遷しています。
幅員18mについてみると、かつては4車線道路として計画されていたのに現在は2車線として決定されていることに気づきます。よって、かつて18mで都市計画決定された4車線道路が、近年になってようやく事業化になる場合、4車線ではなくゆったりとした2車線道路として供用されることもあるわけです。
かつての18m道路は
道路の幅員を細かく規定しているのが道路構造令。この基準が年々ゆったりしているのです。走行する車両の幅が格段に広くなったというわけではないのですが、ゆとりをもってということのなのでしょう。
手元にあった資料をちょっとのぞいてみましょう。「道路技術基準通達集−基準の変遷と通達」監修−建設省道路局企画課(ぎょうせい)の中にある「道路構造企画の規定値の推移表から車道幅員と歩道幅員を抜粋しますとこんな風になります。
制定年 | 区分 | 車線幅員(m) 昭和33年は車道幅員 | 歩道幅員(m) |
---|---|---|---|
昭和33年 | 第4種 | 6.5、7.5、9、11、16、6.5×n | 1.5以上 |
第5種 | 5.5、6.5、7.5、9、11 | ||
昭和45年 | 第4種 | 3.25〜3.0 | 1.0 |
昭和57年 | 第4種 | 同上 | 1.5 |
平成5年 | 第4種 | 同上 | 2.0 |
※区分は都市部の一般道路ということで4種を取り上げましたが、1〜3種もあります(1種2種は高速道路等、3種は地方部)。
車道の幅の基準はあまり変わっていませんが、近年計画された道路では、停車帯などとして、路肩部分が広く設定されている様に思えます。
問題は歩道部分で、少しずつ拡大しています。たった50cmきざみずつですが、余裕のない計画であれば、基準を下回ってしまいます。
ゆったりサイズに基準が変わっていくことも、手放しには喜べません。
(初出00.02.08)(再編集03.05.19)(再編集09.03.23)編集前(log/2030.html)
アメリカでは「車線」と認められている「中央右折車線」は、日本では「中央ゼブラゾーン」。まだ緊急避難的な扱いですが、今後みんなが使い慣れてくれば、きっと市街地道路のスタンダードになりますよ。
2車線の道路に後から右折車線を追加するのは大変なことです。
「道路構造令」というきまりよれば、新規に計画する場合の標準的な幅員は18mとなります。その内訳は
です。
18m道路の標準的な幅員
ところが、右折車線を設けると
となり、幅員は標準部よりも1m多くなります。現実な対応として歩道の幅や右折車線の幅を狭めることで、交通の流れにほとんど支障はありませんが、変則的な対応はいいものではありません。どんな「状況の変化」でも対応できる幅員構成のあり方はないものでしょうか。
「状況の変化」というのは頻繁に起こります。たとえば新たな交差点が新設されたり、多くの集客がある店舗が立地したりです。このような場合、渋滞防止のために右折車線が必要になることでしょう。こんな時、慌てて沿道を買収したり、歩道や車線幅を犠牲にするのでは先見の明がありません。
こうやって右折車線を設ける場合はまだ幸運です。小さな店舗が開店するくらいではいちいち右折車線を整備しません。このような場合交通への影響はわずかでしょう。しかし、稀であっても右折車が後続車をじゃますることは1日何回も起こります。ひとつの店舗当たりの回数は多くなくとも、その一帯の店舗全体となればかなりの回数でしょう。
大きな交差点や大規模な店舗の前だけでなく、全線にわたり右折車線は必須だと考えるのです。
そこで全線にわたり右折車線にする方法、「中央ゼブラゾーン」について考えてみました。
実は、このページを3年前に書いたときは、的確な表現が分からず、「中央車線」と勝手に命名していました。どうやら、日本国内では「中央ゼブラゾーン」、アメリカでは「中央右折車線(Median Turning Lane)」と呼ぶのが一般的な様です。
また海外事情の受け売りで申し訳ないのですが、アメリカの市街地は両側に建物が建ち並ぶ道路では車線数の多い少ないに関わらず「中央車線」設置が原則です。
中央右折車線の考え方
「中央右折車線」とは図の通り、対向するどちらの車両も使ってもいい右折車線です。「これでは対向車両がぶつかってしまうではないか!」と、いう議論がわき起こりそうです。確かにもっともですが、アメリカで実際に「中央右折車線」を利用するときに、危険な思いをしたことはありません。
この「中央右折車線」の利点は、あらかじめ右折車線の設置個所を決めなくてもいいことです。緻密な交通計画をもとに割り出された右折車線の配置計画も、前述の通りコンビニ一軒が立地すれば、もう右折車を先頭とした渋滞が発生します。そんなイタチごっこのような苦労をするくらいなら、どこでも右折できる「中央右折車線」を設置しておいて「どこからでも右折してくれ」と、言った方が沿道の変化に柔軟に対応できて良いでしょう。
日本でもちらほら見られます。見る機会はどんどん増えています。この文を書いたのは3年前。埼玉県加須市の事例を発見して大喜びでしたが、その他にも旅先の京都府や兵庫県で似たような考え方の道路を発見し、既に実用レベルのアイデアになっています。
日本では、車線としての扱いを受けていない様で、ゼブラゾーンが充てられています。ということで、日本での命名は「中央ゼブラゾーン」が一般的な様です。
グアムの目抜き通り
こちらは、グアムの目抜き通り。ちょっとしゃれてブロック舗装です。
横浜市
こちらは横浜市。ここに限らず、この程度のゼブラゾーンはよく見かけるようになりました。「右折車が邪魔にならないように」という現実論と「説明のつかない部分をできるだけ減らしたい」という建前論の微妙なバランスが「車両幅ちょうどくらい」という中途半端なゼブラゾーンを生み出したのかもしれません。
つくば市
こちらはつくば市。見た目は「中央車線」ですが、基本的には中央分離帯的な発想で店舗の入口で右折進入可能ですが、それ以外はゼブラゾーンに入ることが出来ません。
加須市
こちら埼玉県加須市の国道125号です。車線と言っていいくらい立派です。これならバスのような大きな車両が右折しようとも後続の直進車には影響ありません。もう一つ感心する工夫が、路肩がぎりぎりまで縮小されていることです(仕方なく縮小したのかもしれませんが)。停車帯を広く確保しても、店舗利用者の駐車場の様な状態になってしまうので、それならば思い切って省略したというところでしょう。
さいたま市の国道
ここからは、03年の更新時に追加しました。こちらは国道。加須市にもあるのですから、同じ埼玉県に同様の道路があっても不思議ではありません。
さいたま市の県道
こちらはさいたま市内の県道。特筆すべきは、国道でないことと、新設の道路であることです。
国道は実証実験的な要素で改良されることが多いので、たまにあってもその方法が普及するとは限りません。しかし県道に採用されたとなると普及まで一歩前進というところでしょう。
もうひとつ、この道路は市街地整備事業によって出来た新設道路ということです。道路の混雑がひどくて解消策として「中央車線」を設けたのではなく、最初からスムーズな車の流れを重視して計画的に設置したということになります。
このほか、国道6号や松江市などでの試みをサイト上で見ることが出来ますから、一度ごらんください。
(初出00.08.16)
(再編集03.11.03)
運転を楽で安全なものにしてくれるゼブラゾーンを無視してしまうのはもったいない話です。
前回の話題「中央ゼブラゾーン(2031.html)」では、「ゼブラゾーンは無責任で曖昧な存在」と決めつけてしまい、思考を停止してしまいました。しかし、何らかの意図があって設けられているゼブラゾーンのことです。お上が勝手に決めた事は気に入らないとばかりに反発し、無視を決め込むよりは、うまくつきあえるのではないかと考えてみました。
高速道路のインターチェンジなどでゼブラゾーンに挟まれてぐるぐる回るという機会があります。その際ゼブラゾーンを無意識に踏んでいるということがあるのです。
ゼブラゾーンを無意識に踏んで走行
自動車レースのドライバーがコンマ一秒を争うような、最短距離のコース取りをしているわけではないでしょう。ゼブラゾーンにはみ出した走行を見て、その人のハンドルさばきが華麗だとはどうしても思えないのです。いくら無頓着な人でも、直線道路で「わざわざ」対向車線にはみ出すような走りはしないでしょう。むしろ、はみ出していることが気づかないくらい運転に余裕がないと考える方が自然だと思うのです。少なくとも私の場合はそうです。
そう考えると、「ゼブラゾーンを踏んでいるようでは、その道に慣れていないことを公表しているようなもの。」と言えるような気がします。ゼブラゾーンを踏まないようにきちんとトレースできることが自分にとっての適正速度だと考えるわけです。
交差点での右折は対向車が途切れるわずかな時間に限られるとあって慌ただしいものです。交差する道路側が青になってもまだ交差点から抜けられないということもあります。
そして交差点を早く抜けようとして慌ててAのルートを通ってしまうと、これがかえって逆効果。交差する道路側の車に突進していく形になり、クラクションを鳴らされ、おこられるわけです。
交差点での右折方法
一方落ち着いてBのルートを通ると案外大丈夫です。急いで対向車線に入ってしまえば、交差点内にいながらも、通行の邪魔になるまでにはまだ数秒の猶予があるわけです。
Bのルートは右折の方法を示すゼブラゾーンに従った走り方という言い方ができます。ルールに従っていればおこられずに済むということです。Aのルートを通ってもおこられるだけですから、素直に指示通りの方法で交差点を通過するのが得策と言えるでしょう。
当たり前の話ですが、右左折の方法を示すゼブラゾーンは交差点の形状に応じて異なる方法を示しています。対向車を左に見る方法の他、右に見る方法があり、ちゃんと確認して右折しないと、対向する右折車に迷惑をかけることになります。
右左折の方法を示すゼブラいろいろ
本線への合流地点におけるゼブラゾーン。混雑時には早く合流したいという意識が働きます。そんなわけでA地点やB地点で合流する車があるわけです。私は車線通りC地点で合流することが多いのです。別にルールに反した割り込みというわけではなく、本来正しい合流方法であるにも関わらず、みんなA地点B地点に集結しまっていて、空いていることが多いのです。
急いで合流
本線上の車はA地点やB地点でイヤほど割り込ませて、C地点に来るわけですが、正式なルートで合流する車を拒否する道理がありません。もちろん意地悪な人もいますが、たいていはあきらめ顔で譲ってくれます。
みんながC地点に向かい、一台づつ本線に合流するようになれば、みんな丸く収まるのにと思うのですが、焦る気持ちがどんどんエスカレートし、どんどん手前に寄ってしまうようです。
同じ本線への合流地点。渋滞がない場合でも不思議なことにゼブラゾーンを突っ走る車をよく見かけます。急いで合流しないといけない事情があるわけでもありません。右側車線に早く移りたいと言うことでしょうが、AのルートよりBのルートの方が距離が短く見えるのです。やはり、うまく合流できるようにとの意識が先走り、無意識にそんな行動にさせているように見えます。
空いているのになぜ急ぐ
渋滞時なら本人が混乱に巻き込まれるだけで危険はないのですが、本線上の車が全速力で走行している状態で突然ゼブラゾーンから合流するというのはかなり迷惑な行為です。
実は今回ゼブラゾーンを取り上げようと考えたきっかけがFさんよりのメールでした。Fさんは本線上を原付バイクで走行しているとき、突然ゼブラゾーンを抜けてきた車に追突されてしまったということなのです。
その後メールでの連絡が途絶えてしまい後の顛末は知ることができないのですが、相手の車がゼブラゾーンを抜けてきたということに対し「過失」が認められているかどうかが気がかりです。追突した事は別にしてゼブラゾーンから飛び出したといって責任が重くなるという風には残念ながら思えません。
こんな危険な事態に「ゼブラゾーンは無責任で曖昧な存在」と思考停止している場合ではありません。少なくとも自分なりのゼブラゾーンのあり方を意見できるようにはしておきたいと思います。
(04.06.28)
ゼブラゾーンに黄色の縁取りで立入禁止となるのか、規則を読んでもはっきりとわからないのです。
前回取り上げたゼブラゾーンの根拠は「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」という内閣府・国土交通省令において定められています。その中で道路上のペイントは「道路標示」と「区画線」と呼ばれます。
いくつかのしましま模様が規定されていますが、ゼブラゾーンのイメージにぴったりくるのが道路標示の「立ち入り禁止部分(106)」「安全地帯又は路上障害物に接近(208)」「導流帯(208-2)」の3種類と、区画線の「路上障害物の接近(106)」「導流帯(107)」の2種類でしょう。このうち区画線(道路管理者が設置)にあるものは道路標示(公安委員会が設置)と同じ形状をしていますので、ここからは道路標示のみを取り上げます。
なお道路標示のさし絵は別表六にまとめられています。
「立ち入り禁止部分」のイメージ
「立ち入り禁止部分」と「安全地帯又は路上障害物に接近」、「導流帯」、それぞれどういったものを指すのか何となくわかるのですが、決め手がありません。
実際には「安全地帯又は路上障害物に接近」と「導流帯」の違いを議論し始めても不毛かもしれません。しかし「立ち入り禁止部分」との違いは知っておかないと、罰則のあるなしほどの違いがあります。
上記では106とか208-2とかの番号も引用しておきました。この番号の百の位は標示の種類を表しています。百番台は規制標示といって交通違反の罰則があるもので、二百番台は指示標示といって罰則がないものです。ひとくちにゼブラゾーンといっても、罰則があったり、罰則がなかったりです。その違いを認識して運転しないと知らず知らずのうちに交通違反となってしまうかも知れないのです。
つまり「導流帯」に黄色の線の縁取りをするだけで「立ち入り禁止部分」となるのかどうなのか。常識で考えろといわれれば、それまでなのですが確証がもてません。巷ではいろんな解釈で設置されたゼブラゾーンが乱立しており、利用者が判断に困るような場面もあるわけです。これについては後日の話題としますが、いずれにしても「なんとなく」というのは困ります。
はっきりしないのはどうやら黄色の線の定義だと考えます。黄色の線というのはどんな意味をもっているのかということです。
いくつかの道路標示において黄色い線が定義されています。たとえば「はみ出し通行禁止」に使う線であったりや「進路変更禁止」に使う線であったりです。しかしそれらはどうやって使うかということの説明であって黄色の正確をきちんと定義してくれていません。
「図面は設計者の考えをしっかり伝えないといけない」とは、私のBossの談です。図面を見た人が「わかりやすく」理解できなければ、図面が正しいものであっても不十分だというのです。必要があれば文を補う必要があります。
多くの人は黄色の線が白色の線に較べて直感的に警戒や強い規制のようなものを感じることでしょう。しかし図面を書いた人が本当にそのような意図を持って書いたのか定かではありません。楕円形の見本が示されている「立ち入り禁止部分(106)」は、四角形に変形してはいけないという意図が含まれているのかも知れません。
サイト「道路交通関係条約集」で、知ったのですが、道路標示に国際条約があり、日本でもそれに追随するよう法整備を推進していったようなのです。
ゼブラゾーンもその一環のようです。導入は結構新しいということで、そのことは図面の番号が最後であることからも伺えます。ところが日本に導入するときに、大切な概念を導入し忘れていたようなのです。
ゼブラゾーンの縁には、
の2種類があるというのです。
その国際条約のさし絵によれば、日本で言うところの「導流帯(208-2)」の縁取りに2種類(実線、破線)の線が使われているというのです。
日本では実線が黄色の線、破線が白色の線に対応するという感じですが、それぞれの線の意味は条文に書いてはいませんから真偽のほどは定かではありません。「図面を見ればわかるだろ」ということであるのかもしれませんが、冗長なくらいにわかりやすい説明が欲しいところなのです。
(04.07.12)
直進車が誤って右折車線に入ってしまわないように設けられたゼブラゾーン。ちょっとくらい踏んでも良いと思っていますが、それを突き進むのには勇気がいります。
右折車線が設けられている箇所を注意深く観察すると、直進車線はいったん左の方向にずれ、それから右折車線が右方向に分岐するという風になっています。この形状は、道路法の規則である道路構造令の解説にも記載されており、運転者が誤って右折車線に入ってしまわないようにという配慮だということです。
右折車線のゼブラゾーン
いったん左方向にずれるというのは、図面に書いてみるといかにも遠回りの様な印象を受けますが、実際の走行ではこのままでもそんなに違和感が無いのが私の印象です。最短距離を辿るとすれば、ゼブラゾーンを踏んでの走行ということになりますが、そこまで急ぐ気にはなりません。
しかし混雑時は異なります。信号待ちをしている直進車線の車両が右折車線への入口をふさいでいる場合は、ゼブラゾーンを踏んで先に進むことでしょう。ただしゼブラゾーンを越えて反対側の車線にはみ出すことは対向車に不安を与えますし、交通違反にもなりかねません。
ゼブラゾーンを踏んで走行
右折車線に関係するゼブラゾーンとして、こんなゼブラゾーンが挙げられます。正式な呼び名がわからないので仮に「右折を予告するゼブラゾーン」と名付けておきましょう。片側2車線(全4車線)の道路において、右側の車線が右折専用となる場合に設置されるゼブラゾーンです。
右折を予告するゼブラゾーン
このゼブラゾーンの役割は、これから先は右折車線になるという予告という意味が強いものでしょう。「このゼブラゾーンを避けて、左側の車線に進路変更した上で、あらためて右折車線に戻る」ような運転はあまりしないでしょう。左側の直進車線が混雑している場合は、後から割り込んで来たように勘違いされて意地悪されてしまいます。
「右折を予告するゼブラゾーン」が、とても長いことがあります。前項での解釈では右折する場合はそのまままっすぐ突っ切れば良いとの解釈でしたが、延々と数百メートルのゼブラゾーンを突っ切るのには勇気がいります。
写真はそんな場所です。片側2車線でやってきて、右側が右折専用となるのです。左後方の側道から別の幹線道路がやってきて合流するために、本線側の直進車線が1本減らされたという次第です。たまにゼブラゾーン上を走行し、右折車線より右折する車を見かけます。おそらく道路を良く知っているのでしょう。普通、全く知らない道路で、これだけ長いゼブラゾーンをまっすぐ突っ切ることはありません。
長いゼブラゾーン(はじめ)
長いゼブラゾーン(おわり)
逆に言うと右折の予告のために、こんなに長い区間のゼブラゾーンしなくても良いと考えるのです。単に予告であれば、「この先右折車線になります」といった標識や「左によれ」の矢印など、もっとわかりやすい方法があるわけです。
左に寄れの矢印
よく考えてみると、このゼブラゾーンは単に右折を予告だけの弱い意味ではなく、立ち入りを禁止するという強いものなのではないかと思うのです。一番右側の車線は一旦閉鎖し、右折車線は本線より分岐する形にする必要があったと思うのです。
そうすれば、左の側道から合流する車両はこの先の右折車線に到達するまでに1回の車線変更のみで済みます。もし本線の右側の車線がそのまま右折車線に変わるような仕組みであれば、短い区間を2回も車線変更することになり、かなり無理を強いる状況になってしまいます。
車線変更を減らす工夫
そんなわけでこのゼブラゾーンは立ち入り禁止という解釈が成り立つと思うのです。そうであれば、もっと強く「立ち入り禁止」であることを示して欲しいものです。例えば前回取り上げた道路標示の「立入り禁止部分」ということで、黄色い縁取りをするというのは一案です。またポールを立ててみるというのもひとつの方法でしょう。
何故、何の工夫もないゼブラゾーンであるのか理由を考えてみました。
等々、いろんな推測ができます。しかし、「ゼブラゾーン=曖昧ゾーン」では事は済みません。立ち入り禁止が前提の車線構成なら、はっきりと意思表示しないと、運転者は混乱してしまいます。
(04.07.26)
中央ゼブラゾーンはまだ発展途上。直進車を避けて、身を隠す場所であることをアピールするような、標示を目指して欲しいのです。
「[ゆったり道路はいいけれど]中央ゼブラゾーン(2031.html)」で取り上げた「中央ゼブラゾーン」の話です。右折の際に、後ろから来る直進車を避けるためにすっぽり身を隠すのが中央ゼブラゾーンの役割です。海外の先進地では「中央車線」というれっきとした「車線」として認知されているのですが、日本では実験段階だというのか、ゼブラゾーンとなっています。
「中央車線」であれば「後ろの直進車を避けるために利用しなさい」という風に積極的な意味に理解できるのですが、「中央ゼブラゾーン」といわれると「使いたければ使ってもかまわない」という風に消極的に感じます。もちろん道路管理者や公安当局にとっては、正面衝突事故が発生したときの責任という問題があるのでしょう。また追い越し車線のつもりでゼブラゾーンをずーっと走ってしまう無法者への対策も頭の痛い問題です。少しずつ慣らしていこうという気持ちは分かります。
そんなわけであいまいな標示で表現することになってしまったのでしょうが、あくまで中央車線という「車線」の制度が目標です。いつまでも利用者側に判断を委ねるゼブラゾーンの濫用は望ましくありません。
ところで中央ゼブラゾーンに使われているゼブラゾーンもよく見ると様々な色や形をしています。「[ゆったり道路はいいけれど]中央ゼブラゾーン(2031.html)」でもいくつか紹介していますが、そのパターンを整理してみます。
このタイプなら、すっぽり身を隠すことへの抵抗は少ないことでしょう。
すっぽり身を隠す
ちなみにゼブラの間隔を広くしたものもあります。名前も目的もわかりませんが、ゼブラゾーンに入る抵抗を少なくするためのものだと思っています。ただし写真のものは、真ん中に黄色い線が入っているタイプです。
ゼブラの間隔が広い
中央線が入ったタイプをよく見かけます。中央線を越えるのはちょっと抵抗があります。すっぽりとゼブラゾーンに入ってしまうことを躊躇する人もいるでしょう。
中央線入り
中央線入り
これは、困ったものです。黄色い中央線では、追い越しのためのはみ出しと同様に、右折待ちの時もはみ出してはいけないと解釈できるでしょう。右折車は、半分直進車の邪魔になりながら停止することになるのです。せっかくの中央ゼブラゾーンも、利点を半分しか生かせないのは残念です。
黄色い中央線入り
黄色い中央線入り
周りが黄色で囲まれています。これはまさしく「立入り禁止部分」の道路標示です。向こうの方ではご丁寧にポールを立てて、機能としては中央分離帯と同等です。
黄色い縁取り入り
黄色い縁取り入り
右折する時にはたまに設けられているゼブラゾーンの切れ目を利用します。沿道で利用できる間口が増えるたびに、黄色い線を消して破線を入れる工事をしているようです。そんな面倒な工事を繰り返すより、中央ゼブラゾーンとしてどこでも右折できるようにしてしまうのが一番だと思うのです。
一口に中央ゼブラゾーンといっても色々あることがわかります。過渡期であることから色々あるのでしょうが、運転者が容易にその走行方法を理解できなければなりません。
たとえば3番目の黄色い中央線の場合が入っている場合。黄色い中央線を越えるのはかなりの抵抗がありますし、実際交通違反になってしまうかもしれません。いっぽうでそのように理解しない運転者が、前方の右折車に「ゼブラゾーンに入れ!」とばかりに、クラクションを鳴らすということもあるかも知れません。
中央ゼブラゾーンは、直進車の邪魔にならないように右折待ちできる場所ということで、役に立つゾーンです。積極的に活用できるように統一した表示を導入することが望まれます。
中央車線の例
「導入することが望まれます」なんてことばで終わるのは、無責任な話です。上の絵に描いたようなアメリカのマーキングの規則はどんなことになっているのか調べるくらいはしないといけないでしょう。
つまり、アメリカの標識令をひもとくということ。
続編は相当先になりそうです。
(04.08.09)
織り込み区間こそ、ファスナー合流は役に立つでしょう。
信号を使わないで複数の路線を連絡する方法に織り込みという方法があります。北と東の2方向から来た路線は交差をせず、西と南に向かうのです。交差はしないけれど、2路線を並行して走る間に車線変更して、目的地に向かうというものです。
息のあった曲芸運転が要求される織り込み
この織り込みという簡単な構造は、交通量が少ないときには機能するのですが、交通量(特に車線変更をする車)が増えると混乱するようになります。
そのことは運転をしていても感じることが出来ます。こちらが右に車線変更したい時に、隣にいる車は左に車線変更したいと思っているのです。衝突を避けるにはこちらが先に行くべきか、向こうに先を譲るべきか。こんなことを瞬時に考えながら運転するなんて曲芸としか言いようがありません。
スタントチームが曲芸運転を可能にしているのは、絶え間ない訓練とお互いに熟知したチームメイトであるから出来ることです、運転技術もなく、赤の他人と息のあった曲芸運転は無理です。
曲芸運転が出来ない私たちは、充分に減速をし、安全を確保することになります。そしてそれは理由はなんであれ「渋滞」です。更に問題なのが、「どこでも車線変更可」となっている構造から、至る所で交通が左右に交錯していることです。
みんな曲芸運転の技術を持ち合わせていない
昔、空いていた頃はスイスイと効率よく利用されていた織り込み区間は、今となっては大きな渋滞の原因です。
その解決策の一つはバイパスルートを増設し、立体交差にするということでしょう。曲芸運転を余儀なくされる部分を立体にするというわけです。
やっぱり立体交差がいい
しかし、お金がかかるのが問題です。例えば首都高速道路箱崎ジャンクションは総工費26億円を投じたとのことです。どこでも巨額な投資をするわけにはいきません。
そこで現実案を考えてみます。
織り込みでは多くの箇所で合流が発生するということが混乱の原因と考えられます。「割り込み」が至るところで発生しているのです。通常の流入路や車線減少でも割り込みは発生しますが、一部の無法者を除けば秩序はあります。ファスナー合流という暗黙のルールが確立しつつあり、混乱を最小限にくい止める仕組みが働いている様に思えます。
しかし、織り込みの場合どこでも車線変更可能という構造的な問題があります。ファスナー合流をしようとしてもどこでそれを行えばいいのか明確な箇所がわかりません。
そこで、ゼブラゾーンで2車線をゆっくりと合流するように絞り込んでみました。一番狭い部分が合流すべき部分です。これで、流れは整理されました。
合流点を1点に絞り込む
しかし、これには安全上問題があります。
次のように改善してみました。
結局流入路と流出路の組み合わせ
本線となる右路線(図面上側)は走行車線としてそのまままっすぐ本線に続くようにしました。左路線(図面下側)は、ゼブラゾーンにより流入路と流出路に分離しました。
こうしてみると、ごく普通のランプになりました。混雑する織り込みは、ゼブラゾーンにより「普通のランプ」に改造するというのが、私の改善策ということになります。
(04.10.11)
街には左折車線が必要なのです。
最近都内で見かける車道の赤い舗装です。交差点の左側車線に着色され、駐停車禁止を強力にアピールしたもののようです。
駐停車禁止をアピール
交差点付近というのはとりわけ駐停車車両が邪魔になる場所です。この表示おかげをみて、駐停車を思いとどまる人も多いことでしょう。
禁止事項を表現したのですから、真っ赤に「ダメ」という表現になるのですが、「こうしましょうよ」という風なポジティブな表現があっても良いと思うのです。「[四車線道路を右往左往]優しい道づくりは おすすめ車線 表示から(2024.html)」で示した「おすすめ車線」もその一例です。
ポジティブな視点で交差点を眺めてみると、交差点部の車線の役割を細かく決めることで、流れを誘導する例を見かけました。
ある都市部での交差点。標準で4車線の道路ですが、やけに車線が多く見えます。右折車線のみならず、左折車線も独立して設置されているのです。たくさん車線を詰め込んだせいか、乗用車にとっても少々窮屈な車線幅となっています。
ちょっと窮屈
用地幅が限られる都市部では、直進車線と左折車線は無理して分けないというのがよく見られる光景でした。「常時左折可」や「左折専用信号」を設置のために左折車線を設けることはありました。この代償で直進車線が減らされ、今度は直進車線が渋滞ということもありました。左折車線は「何かを犠牲にして」という先入観がつきまとっているようです。
しかし都市部では左折車線も右折車線同様に重要なのです。郊外では少ない横断歩道上の歩行者数も、都市部ではなかなか途切れないものなのです。結局左折車も、右折車と同様に信号が赤に変わるわずかな時間のみしか通行できないということになってしまいます。
そんなわけで少々車線の幅を犠牲にして、左折車線を設けたのでしょう。
ここは標準で2車線の道路ですが、左折車線が設けられています。
2車線でも左折車線
2車線の道路(片側1車線)の場合、先に述べた4車線(片側2車線)の場合に比べて、左折車線の必要性は少ないはずなのです。
図中の赤い車はちょっと右によけて、先行する左折車をかわしたいところ、右側の車線から青の車が突進してくるので出来ないでいます。赤の車は先行車が左折し終わるまでじっと我慢しなければなりません。左折車線があれば、解決する一例です。
4車線道路右側車線の後続車
その点、2車線の場合は、左折車が出てくれば右に寄り、右折車が出てくれば左に寄るというふうに、右往左往が可能です。
しかしあえて左折車線を設けたのは駐停車車両対策だと思うのです。もし直進車線と左折車線をあわせた幅広の車線を設けたとしたら、「余裕があるからいいや」とばかりに、交差点近くにも駐停車車両が居座るでしょう。本当は左折と直進の2車線分確保したいための幅なのに、勝手に「余裕幅」だと解釈してしまうのです。
2車線道路交差点近くの駐車車両
「幅広の車線は左折のためだ」と、きちんと示してやることで交差点付近で駐停車することは「左折車線をふさぐ」事であることを認識させる効果があるでしょう。この部分のビルはまだ出来ていませんが、それでも停車する車両は後を絶ちません。そんなときでも交差点を避けて停車する配慮は見せてくれます。左折専用の車線をふさぐのはなかなか勇気がいるものなのです。
左折車線は何かを犠牲にしてと書きましたが、実際にはそうでもないのです。
これらの交差点は、多くの車線を詰め込むために、車線の幅が狭くなっています。道路設計基準である道路構造令では、これらの道路の標準部での車線幅の基本は3mですが交差点部は減速することがあるので25cmから50cm狭くすることは基準ないです。もちろん理想は3mですがやむをえない場合はいいとされているわけです。
しかし、従来の対応としてそんなに無理をしてまで左折車線を設けるより、直進車線と左折車線を共用とすれば、いいじゃないかという発想でした。
でも左折車線がないと交通がスムーズに流れないという現状に、やむをえなく幅を狭めるという対応に出たわけです。
しかし、少し幅を狭めたところで、そんなに問題はありません。上記の写真で白い車は乗用車でも大きめなのですが、ちゃんと車線におさまっています。
当たり前のことですが、車両の幅はまちまちです。普通の乗用車は2m位、バスやトラックは2.5m位です。車線の幅3mはバスやトラックにあわせたもので、乗用車は少し持て余すところでしょう。
大抵の道路では乗用車の方がバスやトラックよりも多く、狭い車線でも不都合はありません。たまにバスやトラックがやってきても、その時はほんの少しゆずりあえばすむことでしょう。
昨年の道路構造令の改正で新たに小型車線の設置が盛り込まれました。大型な車両の乗り入れを禁止して、狭い車線の道路を整備するというものです。小型車専用の道路が設置できる場所は限られるでしょうが、狭い車線の存在を認めたことは画期的でしょう。いままで仕方なしという狭い幅の車線が、「小型車」だから狭い車線も可能となるというポジティブな発想に変わったわけです。
上記の2車線の交差点は、わざわざ「小型車」車線を使ったものではなく、今までの基準の運用で事足りていると思います。でも「小型車」には「小型車」の車線幅で足りるのだというお墨付きが出たことで、「やむをえない場合」の規程を使いやすくなったのだと思うのです。
(05.01.16追加)
左折車線のある箇所は、ビルの工事がおおむね終わり、駐車車両が増えてきています。でも独立した車線の効果は少しあるようで、交差点から2台分くらいはさけて駐車している様です。
(05.09.26)
中央ゼブラゾーンとは違ったアプローチで「どこでも右折」を実現です。
中央右折車線については[ゆったり道路はいいけれど]中央ゼブラゾーン(2031.html)や[ゆったり道路はいいけれど]身を隠せない中央ゼブラゾーン(2035.html)で語ってきました。
アメリカやHarris Taca さん(下記に投稿をいただきました)が体験されたオーストラリアでは、右(左)折車が直進車の邪魔にならないよう、中央に右(左)折するための車線が設けられているものです。
アメリカの中央右(左)折車線のイメージ
苦肉の策として「中央ゼブラゾーン」が登場しました。国道6号いわき地区の道路整備事業では、右折車が直進車の邪魔にならないよう、道路中央に設けたゼブラゾーンを活用できると書かれています。他の地域でもちらほら見かけるのですが、利用方法ははっきりと示されておらず、自分の判断に従って、「入っていいのかな?」と思いながら、後続車のじゃまにならないようゼブラゾーンに入るわけです。
右折車線のゼブラゾーン(2034.html)など他のページでも語っていますが、基本的にゼブラゾーンは入って利用するものではないのです。多少は踏んでも目くじらを立てられないといっても、わざわざ入って利用することが正しいことだとは言えないでしょうし、利用者も利用することを躊躇してしまうのです。
ゼブラに代わる表現方法で、右折待ちをする車線であることを示してほしいのです。
中央ゼブラゾーン
そのあいまいさを解消してくれそうなのが、今回の登場した「右折待ちスペース」なのです。ゼブラゾーンの代わりに赤いペイントですから、入っていいのは間違いありません。
ゲストブックにHarris Taca さんより書き込みをいただきました。
中央ゼブラゾーンの記事を読ませていただきましたが、ボクもオーストラリアにいたとき、median turning laneというのがあったのを記憶していますが、日本ではゼブラゾーンという、原則進入禁止の曖昧なものしかありませんでした。
しかし近々、国道4号で中央右折車線が導入されるようです。
ということで、その記者発表資料のアドレスを紹介していただきました。どうやらこういう感じの様です。
右折待ちスペースのイメージ
交差点に設置される右折車線とは別に、「右折待ちスペース」を設置して、沿道への右折車が直進車の邪魔にならないようにするというもの。路面の色は、赤色。[ゆったり道路はいいけれど]左折車線もスムーズに(2037.html)や[ゆずりあう道路] 未完成な舗装(2084.html)を振り返って赤のペイントを考えてみると、何となく共通点が見えてきます。「ちょっとだけなら居てもいいよ」という意味あいなのでしょう。
ゲストブックにHarris Tacaさんより続報をいただきました。
さて、上記宇都宮の国道4号ですが、右折待ちレーンの本格運用が開始されました。
結局、白の実線に赤のペイントではなく、白色のゼブラゾーンの内側が緑色に塗装されたものになりました。 しかし、標識や表示等で右折待ち車線等の案内がないため、事情のわからないドライバーは戸惑いそうです。
上下線共用の右折待ち専用導流帯は全国初の取り組みだそうです。
Harris Tacaさんからは「戸惑いそう」とのコメントをいただきましたが、ここで不評だと、「中央右折車線」自体が、否定されかねませんから「右折待ちスペース」は是非成功させて欲しいところです。
南行き1車線のみを「右折待ちスペース」にしたために、左右非対称になっているのが不安要因です。実証実験の案内を見たときにでも、私は「両側から使ってもよいのか」確信がもてずにいました。
上り下り両方向から利用してもいいのか
中央ゼブラゾーンの存在も意識しないドライバーが、右折のために利用してくださいといわれても戸惑ったことでしょう。後から作られたと思われるQ&Aを見て始めて使い方に確信が持てたのです。
利用者からは、疑問の声が上がっているようですが、安心して右折待ちが出来ることによる事故防止効果があるということが利用者からは見えにくいところなのでしょう。
以下に、回答の一部を紹介します。当サイトで一貫して主張している内容が表現されています。
今までは、本線上に1台でも右折車があれば、後続車はすべて左側車線へ車線変更するか、右折車の後ろで待機しなければならなかったため、追突や接触の危険がありました。
今まで北行き車線から右折する時には、対向2車線の車に対して注意する必要がありましたが、対策後では運転者は1車線に注意を払えばよくなるため、危険性は減るものと考えております。
中央右折車線が普及するよう粘り強く普及に努めていただきたいところです。
(初出06.12.04)(再編集11.02.21)編集前(log/2038.html)
小さな交差点は交差点改良の第一歩なのです。
交差点の改良のことがニュースに掲載されていました。改良の目玉としては、下記のように歩道巻き込み部の曲線半径を小さくして、横断歩道を中心に寄せるというものです。
狭い交差点
道路の改良については、当サイトでも道路事務所などの発表を取り上げていますが、何しろ地味なので、全国紙に取り上げられるのはうれしいことです。どんどんPRして欲しいものです。
記事にもあるとおり、交差点のコンパクト化は目新しいことではなく、私もいろいろな文書に記載があるを記憶しています。関連するわかりやすい書籍として、「交差点改良のキーポイント」というマニュアル本があります。その名の通り、交差点をどの様にすれば走りやすく、安全なものになるかを40項目にわたる「ポイント」で、わかりやすく説明されています。
本文を覗いてみると、ポイント1として真っ先に
交差点の面積は広すぎてはいけない。
とあります。どうやら交差点のコンパクト化は1番の基本のようです。
コンパクト化についていくつかの事例を見つかりました。交差点のコンパクト化を実施するのは、車線数が多い幹線道路が交差する大きな交差点が多いのです。大きすぎるから適度な大きさにするという感じです。
実際、歩道の巻き込み曲線をあまり小さくすることは出来ません。スムーズな車の通行の障害となるためです。
車両が左折したとき、1台分くらいは横断歩道まで隙間があった方が良いのです。横断歩道で歩行者を待つとき、後続の直進車をやり過ごせます。大きな交差点の場合これが、2台分3台分とあったので、つい加速してしてしまったのです。横断歩道にさしかかるときに加速中という危険な状態であったわけですから、大きな交差点でのコンパクト化は有効であったわけです。
左折車が多いのであれば、左折専用車線など他の対策が必要になります。
1台分空ける
巻き込み曲線は、本来車がスムーズに曲がれるように必要なものです。巻き込み曲線を小さくしても、大型車が曲がるときに反対車線にはみ出さない程度が望まれます。その半径は約13mくらいは必要となります。これより小さい場合は、車線をはみ出してしまいます。
はみ出さない
歩道の巻き込みを小さくする方策は、現実の道路で国道や主要地方道などの幹線道路に限られるでしょう。多くの交差点では巻き込み半径が不十分で、左折車がすぐつっかえたり、普通の乗用車でも回りきれなかったりします。つまり不十分という意味で、小さな交差点は多いのです。
狭い道路同士の交差点でも大きな交差点となる場合があるのです。
よくわかる事例が、五差路、六差路でしょう。例えば下記のような交差点。止まれの標識はありますが、交差点の中心からずいぶん遠い位置になってしまいます。
六差路は広くなってしまう
そこを通過する車は、おそるおそる進むというわけです。
複雑な六差路をおそるおそる進む
おそるおそる進むと、安全に通過するは別物です。おそるおそる進まないうっかり者にも注意を喚起できる交差点としなければなりません。
対策としてマーキングで交差点を小さくすることが可能です。
マーキングで狭くする
交差点を小さくするということが直感的にわかりにくければ、ドライブスルーの誘導線を思い出すと良いでしょう。順序よく車が並ぶようにうまく誘導してくれます。交差点での車両の通過も出来るだけ誘導線にそって進入する方が安全になるわけです。
ドライブスルーの誘導
(初出07.06.18)(再編集11.03.21)編集前(log/2039.html)