2.07 まちにはまちの道がある

2.07.0 郊外の道がまちの道に

どこがにぎわうか予想なんて大変なことです。

郊外の道に店舗がにぎわう

 徒歩や自転車では遠い道のりであっても、自動車でならば田園風景の広がる郊外に行き着くことでしょう。郊外型の店舗はそんな郊外に安い地価と集客力が両立する土地を探し出店します。同業者の思惑は一致し、出店が相次いだ結果、渋滞の名所になるというわけです。

予想外の展開に困る道路管理者

 都市計画行政としては同じ土地利用は出来るだけまとめたいと思っています。住宅団地や工業団地なんていうのはそんな発想です。商業施設についても田園地帯に建ててもらっては困るというのが本音で、駅前やニュータウン内に設定した商業地域に集約させるというのが好ましいありかたです。

 駅前は地価は高いですが、高いビルを建てられるというのが利点です。
 ニュータウンの一角に設定された商業地域は比較的安くはなりますが、贅沢な造成工事や道路、下水道、供給処理施設といたせりつくせりなので、やはり割高です。

 しかし、店舗側はそんなメリットはお構いなしに多少不便でも安い土地を求めます。安い土地を自分たちで整備する方が安いという判断でしょう。郊外型店舗は都市計画の裏をかく場所をねらって出店するものなのです。裏をかかれて困るのは道路管理者。郊外だと思って道路幅員を決めていたところが、にぎわってくるわけです。
 郊外の道路というのは、市街地の道路と違って、道路幅に余裕がありません。歩道は狭いし、路側帯も最低限です。そんなところに出店すれば入店する車両が減速するようになり、すぐに混雑の原因となります。入店待ちの行列が出来れば、渋滞になってしまいます。出店に際して、セットバックによる道路拡幅を行政が指導することもあるでしょうが、自分の敷地だけでなくもっと手前(つまりとなりの土地)からセットバックしていかないと効果はあまりありません。

短い幹線道路の一生

 都市計画や道路行政に先見の明が無いというのは酷な話です。地価が安いところをねらう店舗の戦略は「裏をかく」事なのです。都市計画で将来の市街地となる箇所の予想をすれば、どうしても地価が上がります。そこを避けて店舗の出店候補となるわけです。

 市域全部にわたり、すべての道路を余裕を持たせた幅員にするという考えもあるでしょう。しかし、

こんな風景を見るにつれ、あまり過大な先行投資をするのも考え物だと思ってしまいます。

 こうして郊外の幹線道路は、店舗の賑わいを前に慢性的な渋滞に悩まされ、新たなバイパスの計画を余儀なくされる事となります。幹線道路の一生は短いものです。

(初出03.09.22)(再編集10.06.14)編集前(log/2070.html)

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2.07.1 バイパス建設の誘惑

安い費用で立派な道路が出来るバイパス建設をアピールしたいところでしょう。

幹線道路同士の交差点はにぎわう

 前回取り上げた郊外型店舗の有力な候補地としては、3けた番号の国道(例えば国道157号)や主要地方道(主な県道)が挙げられます。狭い幅員なのにいつの間にか店舗が連続して出店し、右折車線が取れないほどになっています。そんな区間に限って、別の幹線道路が交差し、信号待ちの長い行列が渋滞に拍車をかけています。

角地が鍵を握る幹線道路の拡幅

角地のA店は下がれない
角地のA店は下がれない

 解決策のひとつにまず思い浮かぶのが道路の拡幅です。しかし当然、店舗からの反対を受けます。特に問題なのは幹線道路同士が交差する角地の店舗です。店舗の後ろに空地があれば、補償金を支払って移転してもらうという手もありますが、角地に立地する店舗ではその手法は使えません。繁盛している角地をそう簡単に手放すわけにはいかないでしょう。

みんなすこしずつずらす
みんなすこしずつずらす

 土地区画整理事業という手法ならば、それぞれの店舗を一斉にセットバックすることも可能です。角地の店舗は道路拡幅後の角地のままです。事業の性質上、事業後の土地面積は減ることになりますが、道路拡幅によるセットバックと考えればあきらめもつきます。

土地区画整理事業を実施しても手つかずの国道

 しかし、土地区画整理事業を実施しても、拡幅が実現するとは限りません。

 A地区は地方都市の店舗集積地で、2路線の国道が交差する交通の要衝です。特に南北方向に通る国道は2車線しかなく、かなりの混雑となります。この地区を土地区画整理事業で整備をすることになりました。道路だけを整備する事業とは異なり、拡幅に対し沿道の店舗の理解を得やすいというのは、上記で述べた通りです。しかし結局、国道は拡幅されずにそのままとなりました。

 その理由としては、バイパス建設が計画されていることが挙げられます。通過交通は新設されたバイパスを利用することで、渋滞が解消されるというのが理屈です。国道管理者としては広域的な観点から対応策を考えなければなりませんから、これもひとつの考え方として納得です。

バイパス建設という魅力

 バイパス建設は一般的に受けが良いです。バイパスを建設すればすべては解決すると錯覚しそうです。既存の道路の拡幅では、建物の移転補償費や高い地価の用地費の負担が必要になりますが、地価が安いところにバイパスを造れば、移転補償する建物も少なくてすみます。同じ事業費を投資するにしても、車線が多く、歩道が立派な道路ができるほうがいいでしょう。派手な計画は市民の受けも良いでしょう。そんなわけ旧幹線道路は何の改善もされず見捨てられ、新しい幹線道路の完成が待たれるわけです。

 なお、実際にはバイパスは1.5kmも離れたところに建設され、しかも有料。あまり交通量はバイパスに移転していません。また、仮にバイパスが無料で供用されたとしても、A地区の混雑が緩和されるとは思えません。
 根本的な解決としてのバイパス建設は良いことですし、既存の道路に投資をおさえるというのも納得出来ます。でも今起きている渋滞に対しての対策を無視して将来に期待するだけというのも気が長すぎる話です。

(初出03.09.22)(再編集10.06.14)編集前(log/2071.html)

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2.07.2 プラス2車線だけバイパスを造る

4車線のバイパスを造る必要はありません。既存の2車線を生かしながら、最低限の投資でおさえる方法があります。

往復分離作戦

 A地区の続きです。国道に並行する歩道付きの2車線道路が100m程東に整備されています。これを活用しない手はありません。

 この道路は補助幹線道路と位置づけられ、A地区で発生する交通を集散させる役割を持っています。住環境を守るために通過交通を排除しているわけですから、実際に交通はまばらです。
 しかし、住環境を守るといっても店舗もちらほら立地するようなところです。慢性的な渋滞に悩む国道に至近で、閑散とした道路を遊ばせておくのはもったいない話です。有効に活用することを考えましょう。

いつも混んでる国道
いつも混んでる国道

いつもすいてる補助幹線道路
いつもすいてる

 方策は簡単です。国道を北向きの一方通行、補助幹線道路を南向きの一方通行にするのです。国道を利用している車両は郊外からこのまちに入れば二股に分岐するということです。名付けて「往復分離作戦」です。

往復分離作戦のいいところ

道路幅がヒューマンスケール

 幅の広い道路は人間が小さく見えてしまっていけません。2車線+両側歩道の道路で幅員20m程度までが車と人が共存出来る幅ではないでしょうか?4車線道路となると、圧倒的に車優位の道路になってしまいます。車の方も広い道路でついスピードがでてしまいます。

右折の苦労が減少

右折が楽
右折が楽

 道路の幅員を広げても、ネックとなるのが右折車両。一方通行なら、対向車線の直進車を避ける必要はありません。右折専用矢印を現示する時間が不要となり、渋滞の要因がひとつなくなります。

 同様に右折して店舗に進入する苦労が無くなることもメリットです。特に交通量の多い4車線道路などは対向車が多く、なかなか右折での入店が出来ません。往復分離作戦なら対向車線の車がありませんから、右の車線に寄って、歩行者に気をつけるだけです。

 また地域内で循環する交通体系が出来ていますので、たとえ行き過ぎても、ぐるっと回ってくれば、また戻ってこられます。

まちの商業施設に厚みがでる

 上下2方向、2倍の商業施設の立地が可能となります。完全なバイパス建設の場合、既存道路の沿道は寂れる可能性がありましたが、往復分離作戦の場合は、往路、復路ともに同じ交通量が流れます。この地域では、2倍の出店可能地ができたことになります。まちの活性化の貢献です。

 たまたまここを通りがかった利用者は、反対側の道路に面する店舗を見落とす可能性があります。しかし、中央分離帯が設置されている道路などで、右側に店舗が見えたとしても、わざわざ回り道することに抵抗があるでしょう。特に先を急ぐ通過の利用客の場合手っ取り早く、左側に面するレストランやガソリンスタンドを利用するでしょう。まちの商業集積が2倍になるメリットの方が大きいと思うのですがいかがでしょう。

工事費が安い

 A地区の場合、既に建設されている道路を利用するだけですから工事費はほとんど必要ありません。新規に建設する場合でも両側通行の4車線道路ではなく、片側通行の2車線道路を造るわけですから経済的です。

めざせ一方通行アレルギーから脱却

 最大の障害は、一方通行化でしょう。道路は往復が大原則です。しかし、混雑する道路でスムーズな流れを生み出すには一方通行化が効果的です。

 車社会の先進国であるアメリカを見習いましょう。往復分離作戦は、単にアメリカできわめてよく見かける風景の受け売りです。郊外の国道をのんびり走っていたのに、市街地に入ると往路と復路それぞれ分かれるようになります。

 日本でも全く実例がないわけでもありません。私が知る範囲では大阪の御堂筋を始めとする南北道路ネットワークや秋田市の駅前がそうです。やろうと思えば両側通行可能であるにも関わらず、一方通行にすることでスムーズな流れを実現しているのです。

 既存道路の活用による往復分離作戦で、渋滞が解消されるまちは多いはずです。

ちょうどいいぐらいの山形

 往復分離作戦が実現されているところを発見しました。山形市です。郊外の国道112号をのんびり走っていたら市街地に入って往路と復路がそれぞれ分かれるようになります。その間約1km、往復2本の道路は、1街区を隔てて、並行して走ります。いずれも2車線で、それぞれ歩道もあります(国道で無いほうはかなり貧弱ですが)。

山形市の往復分離状況
地図

 地図を見ればわかるとおり、国道の北側より来た車は往復分離の際、右折を強いられることになります。わかりづらいのが難点で、おそらく地元ではわかりづらいと評価を受けている事でしょう。わかりづらいのはこの交差点なのであって、一方通行だからではないと言うことを私は信じたいところです。

北行き−国道112号(七日町大通り)
七日町大通りの写真

 北行きはそのまま国道112号として「七日町大通り」という立派な名前をもらっている市のメインストリートです。歩道の幅員もしっかりあり、花笠祭りの準備でにぎやかです。

 後方のコンビニ前にトラックが止まっています。しかし、2車線の一方通行のため、交通の流れに大した影響はありません。

 私も自動車で走りました。駐車車両を避けながら右往左往して、走るという感じで、自動車は実質1列に並んで走っています。しかし、1列でもきちんと流れるというところが大切です。これが対面通行だと、行き違いのために、これだけスムーズには行かないでしょう。

南行き−一方通行道路(愛称無し)
一方通行道路の写真

 南行きは、対照的に寂しい感じです。歩道もあったり無かったり。

 矢印マーキングがよく見える場所から撮影しました。この写真ではわかりにくいのですが、右折専用レーンがありません。対向車が無いため、専用にしなくてもスムーズに右折できるということでしょう。

 思わぬところで発見した往復分離作戦。きっと日本のあちこちで大して注目も集めずにひっそりと展開されているのでしょう。もしご存じの方がおられましたら、是非お聞かせください。

(初出03.09.22)(再編集10.06.14)編集前(log/2072.html)

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2.07.3 まだまだ一方通行は日陰者

大阪のメインストリート御堂筋は欠陥道路ではないと思う。

複雑な流れを簡単にする一方通行化

マンハッタンも一方通行

 一方通行は日陰者のようです。「対面通行できない狭い道だから仕方なく一方通行化する」というのが一般的な認識。しかし、ところ変われば必ずしもそうとは限りません。ニューヨークのマンハッタンの道路網はご存じの通り一方通行ですが、「道路が狭い」からというわけではありません。右折(アメリカでは左折)する際、対向車を避けること必要がない一方通行は、全体として交通の流れをスムーズにするという合理的な選択です。

 日本でも1970年頃大阪の御堂筋を始めとする南北路線が一方通行化されました。ひどい渋滞に耐えかねての選択。この他に追随する都市をとほとんど見かけません。

立体交差が原則の日本の道路

 道路の基準である「道路構造令」によれば、4車線であれば立体交差が原則であるとのこと。渋滞が起きるのは、基準を守らず平面交差にしたためと言われそうです。そんなわけで、大阪市以外の全国の都市では立体交差がせっせとつくられてきたわけです。立体交差を原則とするのは優等生的な模範解答ですが、採算性とか地震で崩壊した場合の安全性を考えれば、平面交差も評価したいところです。平面交差での混雑を少しでも緩和する方策として、一方通行化は有効だと思うのです。

一方通行を見直す機運

私だけでない一方通行に期待する意見

 「一方通行」をインターネット上で検索しても、驚くほど情報が集まりません。一方通行は「悪」であるという認識が強いのでしょう。

 そんな中、心強い意見も発見しました。金沢都市圏交通円滑化総合計画(案)の策定中に意見を広く募ったようで、市街地の一方通行化を推進する意見が寄せられていました。御堂筋を例に取り上げて意見するというところを見ると、「一方通行=対面通行困難」という消極論ではなく、「一方通行=スムーズな流れ」を意識したところだと思います。
 対する計画策定者側の返答は、極めて消極的なものです。金沢は先進的な施策を打ち出す印象が強くありますが、まだまだ一方通行には及び腰の様です。全国への浸透には時間がかかりそうです。

国土交通省も興味を示す

 「安全でくつろげる道づくり」による中心市街地活性化を目指した交通実験では、高知県中村市において一方通行の実験が行われました。片方の商店街では「交通規制の緩和」、もう片方の商店街では「交通規制の強化」と、2種類の対応となったため、一方通行化に対する意見が賛否両論の2つにわかれました。まだまだ推進という結論まで至らないところでしょうが、国土交通省内で一方通行が認知されようとされるのはたのもしいことです。

相反する「交通の流れ」と「商店街の活性化」

秋田での市民の意見

 御堂筋と並んで私が例に挙げた秋田駅前の一方通行ですが、市民には不評なようです。第5次秋田市総合都市計画策定中の市民の意見が掲載されていましたので見てみると、一方通行化に否定的な意見がちらほら見られます。ただし「活性化にマイナス」なんて意見が見られるということは、衰退傾向にある商店街を関連づけているように思えます。しかし私は、商店街の活性化と一方通行化は何ら関連性がないと考えます。

徒歩利用客の流れが分散する

 秋田駅前からまっすぐに伸びる3本の道路は北から

のように並んでいます。仲小路を含めて3本の商店街があることになります。秋田市第一の繁華街は川反といって広小路をずっと先に進んだ方向でですから、川反に向かう客の流れは期待できません。限られた客の流れを3列の商店街で分け合うとなると、1商店街あたり客の流れは閑散としたものになります。このことは当ウェブサイトショッピングモールの掟(http://www.geocities.jp/jdy07317/2010.html)で取り上げた、「商店街はたくさんの通路をつくってはいけない」という掟が当てはまります。
 道路の流れと歩行者の流れは関係ありません。一方通行の道路が対面通行となっても、商店街を歩く利用客が増えるということにつながらないということです。

車社会における商店街

 もしひとつ解決策を打ち出すとするなら、道路の役割分担を明確にすることでしょう。
 3つの通りの役割分担はこうです。中央の仲小路は歩行者が主体、広小路、中央通りは車両交通が主体。可能であれば広小路、中央通りに公共駐車場を増やして、車社会の秋田に対応します。公共駐車場は、専用のものでなくても、ホテルや業務ビルに併設されたもので良いわけです。つまり広小路、中央通りは、業務系の土地利用となります。そしてこれらの通りの駐車場に車を置いて、利用客は仲小路に向かうことになります。

秋田駅前の商店街を集約
秋田駅前の商店街を集約

 仲小路を中心とした歩行者主体の空間の整備は、既に充実しています。仲小路自体がコミュニティー道路になっていますし、西武百貨店とイトーヨーカドーの間には買物広場があり、しかも降車専用のバスターミナルや駐車場も設置されています。将来、更に安全に歩行できる空間の整備が検討されているようです。

 このようににぎわいを生み出す基盤は準備されているのですが、店舗が長い商店街に散在しているので、閑散と見えるのです。せめて買い物広場を中心に店舗が密集するようなれば、小規模ながらにぎわうようになるはずです。そのために広小路、中央通りを無味乾燥な業務系の土地利用転換するという英断が必要になります。これもなかなか大変。

 しかし、いずれにしてもスムーズな自動車交通の流れと商店街の活性化を混同しないで欲しいというのが願いです。

(初出03.09.22)(再編集10.06.14)編集前(log/2073.html)

http://hint-eng.jp/jdy07317/

2.07.4 一方通行はペアに限る

一方通行は整然とした道路網にこそ効果を発揮するのです。

往復そろって機能を果たすのです

 前々回(2072.html)前回(2073.html)と一方通行に対する思いを連ねてきました。例に挙げた一方通行は、いずれも府県庁の所在地の目抜き通りで、道路網が碁盤の目(少なくとも一方通行に該当する部分は)になっているのです。そして、一方通行道路2路線が往復の交通を担う「ペア道路」(私の造語です)になっているのです。

 残念なことに、一方通行は悪いイメージがつきまとっています。

 車を運転する人が良く想像する一方通行は、走りにくい細い路地です。そもそも迷路のような道路網なのですから、一方通行でなくても、運転は大変です。一方通行により対向車が減って、かえって走りやすくなっているはずなのです。つまり、迷路のような細い道路網のことを「一方通行」のイメージとして、ネガティブに捉えているのだと思うのです。

 一方、商店街などでは、交通量が半分になり、走行速度が上がるために、商店街が素通りされてしまうという主張があります。もちろん、傾聴すべき主張でありますが、因果関係については疑問に思うところがあるわけです。

 渋滞があってはじめて商店街が成り立つというのは、車の利用者にとっては歓迎できません。交通量が半分という意見に対しては、利用者は往復のどちらかで、通過するわけですから、車に対してアピールする機会は維持されているわけです。一方通行で道路幅員に余裕ができ、店の前に停車スペースが出来るほうがメリットが多いと思うわけです。

前向きな技術なのです

 再度、プラス2車線だけバイパスを造る(2072.html)の図を参考に説明します。

右折が楽
右折が楽

 一方通行で思ったところに行けないという一般ドライバーの意見については、このような碁盤の目の道路で「ペア道路」になっていれば、少しは見直してもらえるでしょう。対向車線が無いので、右折も左折と同じように横断歩道の歩行者さえ気をつければよいのです。慣れた人は規制方向を覚えればよいし、初めて訪れた人もぐるぐる回っていれば、目的地にたどり着きます。

 商店街における一方通行については、車がスムーズに流れるということを前向きに考えたいところです。商店に立ち寄る車が、荷捌きのため停車することがあっても、交通の流れを妨げない余裕が生まれることは、大きなメリットだと思うわけです。渋滞でたくさん車がいるように見えても、利用客は混雑の中、店の前に停車したくないと考えているかもしれません。

川越はペア道路になっていない

 川越で一方通行規制が反対されているようです。いつもの事なので驚きませんが、ニュースを見ても、論点が何なのか良くわかりません。

[参考サイト]
一方通行規制めぐり揺れる川越「一番街」(http://toki.2ch.net/test/read.cgi/bizplus/1307145046/)(2ちゃんねる)
このニュースを見ていると、単純に市役所の都合で一方通行し、反対を受けているという風にみえるのです。でも何らかのメリットがあるから、実施に踏み込んでいるのでしょうが、そこが良く見えません。

 ネットでみても、「平日は閑散としているから一方通行化は不要」とか「休日も歩行者に危険がない」という感じの意見を表明しているサイトが目立つのですが、一方通行に対してでなく、市役所の強行姿勢に反対しているように見え、本来のあるべき姿が見えません。

 そんな中、いつものバラエティー番組で取り上げていただき、ようやく、問題点が把握できました。

 結論はペア道路になっていないということでした。メインとなる県道を北から南への一方通行にしたところで、南から北への交通が無いというのです。周辺道路は城下町特有の迷路で、まっすぐ南から北に進める道路が無いわけです。これでは、一方通行を奨めている私も、賛成できません。ペア道路が良いわけです。

 まず地元でも、意見が分かれている様です。保存すべき建築物を守るため、交通量を減らすことで振動を減らそうということも一方通行化の主旨だそうです。

 一方通行反対派の方の意見では、一方通行により車がスムーズに流れていると、効果は認めています。問題は南から北への交通だったわけです。

 市役所が悪いと文句を言っていれば良い時代は終わり、財政難のため対策が出来ませんと匙を投げられるかもしれません。

  1. 面的整備により、南から北への道路を整備する。
  2. 周辺道路を含めて混雑時通行禁止にする。
  3. 観光客の呼び込みをやめる。

 いずれにしても地元の問題で、市役所は知恵とお金を出すところと割り切る必要があるでしょう。

(11.07.11)