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[まちにはまちの道がある]
プラス2車線だけバイパスを造る

4車線のバイパスを造る必要はありません。既存の2車線を生かしながら、最低限の投資でおさえる方法があります。

Contents
>往復分離作戦
>往復分離作戦のいいところ
>>道路幅がヒューマンスケール>>右折の苦労が減少>>まちの商業施設に厚みがでる>>工事費が安い
>めざせ一方通行アレルギーから脱却

04.08.30追加

往復分離作戦

 A地区の続きです。国道に並行する歩道付きの2車線道路が100m程東に整備されています。これを活用しない手はありません。

 この道路は補助幹線道路と位置づけられ、A地区で発生する交通を集散させる役割を持っています。住環境を守るために通過交通を排除しているわけですから、実際に交通はまばらです。
 しかし、住環境を守るといっても店舗もちらほら立地するようなところです。慢性的な渋滞に悩む国道に至近で、閑散とした道路を遊ばせておくのはもったいない話です。有効に活用することを考えましょう。

いつも混んでる国道
いつも混んでる国道

いつもすいてる補助幹線道路
いつもすいてる

 方策は簡単です。国道を北向きの一方通行、補助幹線道路を南向きの一方通行にするのです。国道を利用している車両は郊外からこのまちに入れば二股に分岐するということです。名付けて「往復分離作戦」です。

往復分離作戦のいいところ

道路幅がヒューマンスケール

 幅の広い道路は人間が小さく見えてしまっていけません。2車線+両側歩道の道路で幅員20m程度までが車と人が共存出来る幅ではないでしょうか?4車線道路となると、圧倒的に車優位の道路になってしまいます。車の方も広い道路でついスピードがでてしまいます。

右折の苦労が減少

右折が楽
右折が楽

 道路の幅員を広げても、ネックとなるのが右折車両。一方通行なら、対向車線の直進車を避ける必要はありません。右折専用矢印を現示する時間が不要となり、渋滞の要因がひとつなくなります。

 同様に右折して店舗に進入する苦労が無くなることもメリットです。特に交通量の多い4車線道路などは対向車が多く、なかなか右折での入店が出来ません。往復分離作戦なら対向車線の車がありませんから、右の車線に寄って、歩行者に気をつけるだけです。

 また地域内で循環する交通体系が出来ていますので、たとえ行き過ぎても、ぐるっと回ってくれば、また戻ってこられます。

まちの商業施設に厚みがでる

 上下2方向、2倍の商業施設の立地が可能となります。完全なバイパス建設の場合、既存道路の沿道は寂れる可能性がありましたが、往復分離作戦の場合は、往路、復路ともに同じ交通量が流れます。この地域では、2倍の出店可能地ができたことになります。まちの活性化の貢献です。

 たまたまここを通りがかった利用者は、反対側の道路に面する店舗を見落とす可能性があります。しかし、中央分離帯が設置されている道路などで、右側に店舗が見えたとしても、わざわざ回り道することに抵抗があるでしょう。特に先を急ぐ通過の利用客の場合手っ取り早く、左側に面するレストランやガソリンスタンドを利用するでしょう。まちの商業集積が2倍になるメリットの方が大きいと思うのですがいかがでしょう。

工事費が安い

 A地区の場合、既に建設されている道路を利用するだけですから工事費はほとんど必要ありません。新規に建設する場合でも両側通行の4車線道路ではなく、片側通行の2車線道路を造るわけですから経済的です。

めざせ一方通行アレルギーから脱却

 最大の障害は、一方通行化でしょう。道路は往復が大原則です。しかし、混雑する道路でスムーズな流れを生み出すには一方通行化が効果的です。

 車社会の先進国であるアメリカを見習いましょう。往復分離作戦は、単にアメリカできわめてよく見かける風景の受け売りです。郊外の国道をのんびり走っていたのに、市街地に入ると往路と復路それぞれ分かれるようになります。

 日本でも全く実例がないわけでもありません。私が知る範囲では大阪の御堂筋を始めとする南北道路ネットワークや秋田市の駅前がそうです。やろうと思えば両側通行可能であるにも関わらず、一方通行にすることでスムーズな流れを実現しているのです。

 既存道路の活用による往復分離作戦で、渋滞が解消されるまちは多いはずです。

(04.08.30追加)

 往復分離作戦が実現されているところを発見しました。山形市です。郊外の国道112号をのんびり走っていたら市街地に入って往路と復路がそれぞれ分かれるようになります。その間約1km、往復2本の道路は、1街区を隔てて、並行して走ります。いずれも2車線で、それぞれ歩道もあります(片方はかなり貧弱ですが)。

山形市の往復分離状況
地図

 地図を見ればわかるとおり、国道の北側より来た車は往復分離の際、右折を強いられることになります。わかりづらいのが難点で、おそらく地元ではわかりづらいと評価を受けている事でしょう。わかりづらいのはこの交差点なのであって、一方通行だからではないと言うことを私は信じたいところです。

北行き−国道112号(七日町大通り)
七日町大通りの写真

 北行きはそのまま国道112号として「七日町大通り」という立派な名前をもらっている市のメインストリートです。歩道の幅員もしっかりあり、花笠祭りの準備でにぎやかです。

 後方のコンビニ前にトラックが止まっています。しかし、2車線の一方通行のため、交通の流れに大した影響はありません。

 私も自動車で走りました。駐車車両を避けながら右往左往して、走るという感じで、自動車は実質1列に並んで走っています。しかし、1列でもきちんと流れるというところが大切です。これが対面通行だと、行き違いのために、これだけスムーズには行かないでしょう。

南行き−一方通行道路(愛称無し)
一方通行道路の写真

 南行きは、対照的に寂しい感じです。歩道もあったり無かったり。

 矢印マーキングがよく見える場所から撮影しました。この写真ではわかりにくいのですが、右折専用レーンがありません。対向車が無いため、専用にしなくてもスムーズに右折できるということでしょう。

 思わぬところで発見した往復分離作戦。きっと日本のあちこちで大して注目も集めずにひっそりと展開されているのでしょう。もしご存じの方がおられましたら、是非お聞かせください。

(03.09.22)

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