バスの運行状況が自宅でも見られるとは、6年前には想像もしていませんでした。
本コンテンツを最初に書いたのが2003年のことで、それからずいぶん状況が変わりました。
以前はバスの情報を手に入れるのは大変でした。バス停は鉄道駅に比べたくさんあるので、たとえ関東一円全バス停時刻表を企画したとしても
と、いう具合で、バス時刻表の出版はなかなか困難なのです。
それでもようやくウェブサイトが普及し始め、個人がボランティアで時刻表作成するようになってきたのが2003年時点での感想でした。時刻表リンク(http://www.jikoku.com/index.html)を紹介しましたが、バス事業者のウェブサイトは情報らしい情報は提供されず、個人のページがその不足分を補っている状態でした。
ところが、バス事業者各社の取り組みはめざましく、全停留所の時刻を掲載するのはもちろん、バスロケーションシステムと連動してウェブページに現在位置を表示できるようになりました。
これで訪問先のバスの路線、運行時刻をあらかじめ把握できるようになりました。もちろん以前でも、電話で聞くことも出来たけれどとても気軽に聞くという雰囲気ではなかったし、実際に面倒がられたものです。
進んだ使い方では、バスがちゃんと運行されていることを確認したうえで家を出発。バス待ちの時間を大幅に短縮することが出来ます。
最近、地方の町を訪問することになりバスを利用しようと思ったのですが、情報が少なくて断念したことがありました。その町は鉄道駅が無く、バスが唯一の交通手段だったわけです。
調べてみたところ、あったのは個人が作成されている時刻表。約1時間間隔で運行されていることが確認できました。ただ最終の更新が2000年であったので、それ以降に時刻表の改正があったのか確認するため、バス会社のホームページを覗いてみました。
ところが、バス会社の公式ホームページでは、1日数本の便しか掲載されておらず、区間運行があるのかないのか発見出来ずじまいでした。結局レンタカーを利用しました。
そこでその町のホームページを見てみましたが、町で運営している循環バスがあるのみでした。乗り合いバスの概要でも案内してもらえると、調べやすくなるのにと思ったわけですが、町を訪れる人のほとんどは車を利用するのでしょう。
バス会社も大小さまざまで、全停留所の時刻表を検索しやすくウェブサイトに導入するのは大変な労力(=経費)だと思います。これから示す中にも、道路管理者が運営するロケーションシステムなどが見られますが、公共の役割として時刻表案内が充実すればいいと思います。
ちなみに現地にてバス停を確認してみたところ、約1時間間隔は維持されていました。
バスロケーションシステムにも個性が見られます。まずはいきなり地図が出てくるタイプ。これは地理に不案内な訪問者にはありがたいものです。
こんどは、いきなり停留所名の入力を迫られました。仕方がないので、「駅」と入力すると、「駅南口」という候補が現れる。引き続き、到着停留所の選択を迫られる。・・・とにかく、手続きが長い。
もちろん、いつも決まったバス停から乗るという人にはうってつけのシステムなのでしょう。
パソコンといえば起動に数分、終了に数分かかってしまって手軽とは言えません。また、ウェブ画面が閲覧可能な携帯電話はまだ普及途上です。まだまだ過渡期ではあるけれど、情報機器の進化は早いものです。あっという間に期待通りのシステムが登場することでしょう。
バス停も進化するでしょう。現在、バスロケーションシステムが表示できる立派なバス停は、どっしりとした据え置き型。システムを普及させるのにいちいちこんなバス停を設置しなければならないのなら、末端の小さなバス停にはいつまでたっても普及しないでしょう。
しかも、立派な図体の割に表示されるのは「バスのマークが点灯」「数字のみ対応の電光掲示板が時刻を知らせる」程度の貧弱なもの。これは、携帯電話の多機能さにくらべて20年の遅れがあると言って過言ではないでしょう。世の中の機器が軽量化に向かうこの時代、バス停も軽量化が望まれます。技術的には、携帯電話でもバスロケーションシステムの端末として機能を持つ時代です。簡易バス停に安価な携帯電話の頭脳を組み込むことは可能でしょう。あまりにも軽くなりすぎてこんどは盗難のことが心配になりますが。
(初出03.01.23)(再編集08.06.16)(再編集11.02.21)編集前(log/1020.html)
地域のバスのローカルルールは、訪問者を拒むかのようです。
初めての土地で、バスに乗ることはとても勇気のいることです。
まず、駅に降り立ち、目的地に行くバスがどこから発車するか探します。目的のバス停がわかっていても、そのバスがそのバス停を経由するのか、なかなかわからないものです。
目的のバスが見つかって、すでに出発待ちをしている場合にもあわててはいけません。そのバスが
以上のことをまず把握する必要があるわけです。
さもなければ次の様なしっぺ返しが来ることになります。
最近(このページを書いた当初の事なので結構前のことです)も「前乗り」のバスに乗っていたとき、途中のバス停で後ろのドアが開くのを待っていたために、運転手さんに無視されたご老人を見かけてしまいました。もう悲劇を繰り返してはいけません。
無事に乗車できても安心は禁物です。私のよく利用していた「京都市交通局」では、「20円お釣りください」といって運賃箱に200円を投げ入れると運転手さんがボタンを押してくれて、お釣りがじゃらじゃらとでてきたものでした。関東では
と冷たく言い放たれることとなります。お釣りの場合は自動販売機にあるような小銭投入口に入れないといけないのでした。
あらかじめ両替をしておかなければならない方式も結構見られます。
ただでさえ緊張するのに、大変なプレッシャーです。
こんな苦労も、ひとまず「バス<共通>カード」の出現で過去のものとなりつつあります。
このカード、随分すぐれものです。
まず、5000円で5850円分も利用できるのです。電車のカードが「割り引き無し」というしぶい価格設定をしているのとは対照的です。
そして、東京、神奈川、埼玉、千葉で共通。そしてこどもを含めた家族で利用しても1枚で済むというところは、柔軟な対応でうれしい限りです。
とにかく、これによって小銭の心配をしなくて済むようになったのは素晴らしいことです。
今日では、スイカやパスモで電車もバスも乗れるようになりました。相変わらず「割り引き無し」ですが、便利さにはかえられません。
最近は関東の方式にもだいぶ慣れてきたので油断していたところとんでもない方式がありました。近所のターミナル駅から出発するそのバスは、見た目は「均一料金」で「前乗り」でした。ところが、前の人に続いて入り口のステップを上がったとたん久々に頭が真っ白になりました。前の人は自分の行き先を告げて、それに見合った運賃を投入しているのです。こちらは、正確な運賃どころか行き先も風景だけが頼りです。優しい運転手さんのガイダンスを受けながら何とか行きたいところを説明し、その場を乗り切りました。「バス」は乗車するだけで地方色豊かな予備知識が求められるのです。訪問者にとっては大変骨が折れることです。
カードの普及で改善されれば良いのですが。
バス事業者のウェブサイトにはバス路線図が掲載されるようになりました。もちろんありがたいことですが、地理が不案内な者にとって使いやすいものであって欲しいです。
これを実現するのはなかなか大変です。バス路線網が密な地域では、地図の上には一条の線を描くのがせいぜいです。しかし、この地図では、バスの行き先がわかりません。別途、バス停別の時刻表を頼りに行き先を調べる必要があります。
行き先がよくわからないバス路線図
かといって、丁寧に路線別に表示すると、ターミナル付近になると、やけに太い線となってしまい、随分煩雑な地図となってしまいます。来訪者にとっては、理解が困難です。
煩雑なバス路線図
一条の線がいいのか路線別がいいのか結論は私には出せません。しかし、ひとつ感心した例があるので紹介します。
西武バスは、東武東上線、西武池袋線、西武新宿線、JR中央本線が平行して走っている立地条件を生かしてそれらを横断方向に連絡する路線を多く持つバス事業者です。鉄道の連絡という使命を意識して特徴のある路線図を用意しています。
その路線図は鉄道路線が並行に描かれており、どの駅からバスが連絡しているかを示したものなのですが、それぞれ1時間当たり何本くらい運行されているのか色分けされているのです。1時間に5から6本運行されているにぎやかな路線があるかと思えば、1時間に1本のさびしい路線もあります。この事情を知らず、さびしい路線のある駅に降りてしまったら1時間暇つぶしを探さねばなりません。実際には遠回りでも池袋に出てしまう人も多いと思いますが、バスにも乗ってみようかなと思わせる演出です。
(初出00.01.31)(再編集03.01.28)(再編集08.07.12)編集前(log/1021.html)
電車も複雑になると系統番号が必要です。
JR京都線の京都府内では快速に要注意です。同じ「快速」でも、乗る時間帯によって、停車駅が違うのです。通勤時間帯は通過し、昼間は停車するという使い分けのようで、「通勤快速」と呼んでくれるとありがたいのですが、車掌さんが「高槻まで快速」と「京都まで快速」とさらりと使い分けるだけです。
首都圏で快走している湘南新宿ラインも快速に2種類あるのです。ひとつは高崎線内では各停、新宿以南は東戸塚などいくつかの通過駅がある「快速」、もうひとつは新宿以南は各停、宇都宮線内は快速である「快速」。乗り通す人は少ないため混乱は少ないのかもしれません。
湘南新宿ラインの模式図
湘南新宿ラインは大宮駅で宇都宮線と高崎線に、大船駅で東海道線と横須賀線に分岐するので注意が必要です。大船駅での分岐は、利用者の中に東海道線はオレンジと緑の電車、横須賀線はベージュと紺の電車という暗黙の了解があるので、ひとこと「この列車は横須賀線です」といえば、さほど混乱はしないでしょう。しかし、宇都宮線と高崎線は全く同じ色の電車で、途中駅でも同じホームを利用しているので、間違いやすい状況です。
そもそも湘南新宿ラインの登場以前から大宮駅の北方向は大変乗り間違いが多いのです。大宮駅の次の駅では、かなりの頻度で乗り間違えた人を見かけます。その人達は出口には向かわず、ホームに呆然とあるいは悔しそうな顔をしているので何となく察しがつきます。次の駅で気づくとは限らず、5駅も過ぎた頃に、「遅いねえ」「今どこ?」「これ違う!」なんて若い女性の2人組の声がします。まわりから見るとほほえましい光景ですが、本人達にとっては、約束に遅れるという災難な出来事です。私の友人も私の家に訪問する際、間違えました。普段から利用している人か鉄道好きでないと乗りこなせない路線のようです。
本線から支線に分岐するのであれば、車掌さんも「これから支線に入ります!」とくり返し伝えてくれるでしょうが、宇都宮線も高崎線もどちらも「本線」という認識ですから、あまり強調してくれません。
私は地図には強い方です。栃木県と群馬県の位置関係をたずねられれば、決して即答ではありませんが、栃木県の方が東にあると答えることが出来るでしょう。しかし大宮駅ではその鋭い地理感覚がかえって邪魔をする結果となるのです。
分岐する大宮駅では高崎線が8番線(東側)から、宇都宮線が9番線(西側)から発車します。この並び方は地理感覚と逆で、宇都宮線は東方向、高崎線は西方向と思っていると、うっかり乗り間違えてしまうのです。
東西が逆
慌ててホームに降り立った利用者は、地理感覚をあてにできず、来た列車が自分の乗るべき列車なのかしばし悩むことでしょう。「宇都宮行き」や「高崎行き」なら聞き覚えのある駅名ですが、途中駅の「籠原」や「小金井」がどちらの路線に向かうのかなんてわかりません。
かつては、宇都宮線の方向幕は緑地に白の文字で書かれていたので区別もつきましたが、今の電光方式では良くわかりません。同じ車両で、聞いたことのない行き先表示に直面して、乗り慣れない人は迷ってしまうという訳です。
区間によって快速だったり、分岐してみたり、思っている方向と逆のホームから発車してみたりと、大宮経由の電車は複雑です。こんな複雑な路線をすっきりわかりやすく表現する方法をバス路線図に見つけました。
ご存じのように、バス路線は電車以上に複雑です。
まず困るのが経由地が異なっても最終的には同じ「○○車庫」行きだという場合。これでは行き先だけでは判断できません。
だからといって経由地を見てもまだ情報不足です。違う経由地でも目的地に連れていってくれる路線もあるのです。
バスの路線図
ちょっとした駅前ではバス路線が10路線も20路線もあり、そのうちいくつかの路線が利用可能となります。なんとか路線図の上で該当する路線を探し出したとしても、実際次々にやって来るバスを見分けるのは大変です。そんなとき「系統番号」があると助かります。市役所経由は2系統と3系統だということを覚えておけば、どんな行き先やどんな経由地であっても動揺することはありません。
この様な状況は、「[視線が挙動不審]マイルートで運転に専念(3062.html)」でも考えてみました。運転に必至の都市高速道路内では、標識上の情報は路線番号以外に見る余裕など無いという考えです。極限状態では、情報を圧縮して覚えておく事が求められているのです。はじめて降り立った駅前広場で、次々にやってくるバスに対し、パニックする頭を整理するのには、これとこれなら目的地にたどり着くというシンプルな情報が不可欠なのです。それが系統番号となるわけです。
本来電車というのはそれほど複雑ではありません。乗った電車に乗れば確実に目的に連れていってくれるという路線も数多いのです。でも乗り間違いが多発していれば、利用者にとっては複雑だということです。はじめての人でも簡単に理解できるよう、バス路線を見習った系統番号を活用する工夫が必要でしょう。
実際につけるとなるとかなり煩雑になりそうです。逆に言えば、番号をつけるのも難しい運行状況を、はじめての人が理解するのは大変なことです。系統番号さえ覚えれば後は番号に従うだけで目的地に着く、「マイルート戦略」ではじめての乗車を乗り切れるといいと思うのです。
(05.06.06)
バスの乗換をさびしくしてはいけません。
主要な高速道路が分岐する交通の結節点ともいえる立地条件にバスターミナルがあると聞き、ちょっと訪ねてみました。
高速道路のジャンクションを西側に分岐し、すぐにあるインターチェンジを降りるとバスターミナルです。ジャンクションから至近というのがポイントです。
見たところ駅前広場風。6ケ所の乗り場があります。混雑する様子もなく、若い女性を送りに来た車が、のんびり停まっています。空港に向かうのでしょう。お父さんが大きなトランクを車内から取り出しています。(写真の左)
広いターミナル
送迎だけでなく、自分で車を運転して来た人のための駐車場も完備しています。パークアンドライドで、楽々高速バス利用です。(写真の右側のゲート)
高速バスの利用客は自宅から車を利用することが多いようで、バス停の周りの道ばたに車が置かれていることをよく見かけるのですが、ちょっと不安です。駐車料金が必要とはいえ、堂々と、フェンスで囲まれた駐車場を利用できるのは安心です。
羽田空港と成田空港が1日何便かと、関西や東北方面の夜行バス。それから市内行きの循環バス。思ったより充実した路線網です。しかしいずれもこの地域始発のバスであって、高速道路を疾走するバスが途中で立ち寄っているというわけではありません。立派なターミナルを持て余し気味というところでしょう。
広い空間を持て余し気味
ここは「ハブターミナル」を目指すのだということです。もともとあった構想なのかはともかく、せっかく立派な施設があるのだからどんどん活用しないともったいないというのは確かです。
調査によれば100便近く高速バスが運行されているのに、ここには4分の1程度しか停車しないとのこと。これらがみんな立ち寄ってくれれば、「ハブターミナル」としての機能を充分に発揮できるかもしれません。
ただ、乗り継ぎがうまくできるのは一部の便に限られるでしょう。バスは鉄道に比べると時間が不正確。ここから先に目的地がある場合等は、乗り継ぎの便を待っているなんて悠長なことを言っているより、先を急ぎます。
利用客は、乗り継ぎ可能な便を探す際、十分な乗り換え時間を見込む必要がありますが、飛行機の乗り継ぎくらいの時間のゆとりが必要でしょう。何十分という時間、飛行機を待つのは相当退屈なので[空港ビルは広すぎる]空港の名店街を真ん中に(2011.html)に取り上げた様に、さまざまな店舗が軒を連ねる名店街が搭乗口の近くにあって欲しいと考えていたのです。
バスの場合も同様、乗り継ぎは退屈なものですから、名店街というにぎわいが不可欠だと考えるのです。
先ほどの若い女性、送ってくれた家族が帰った後は、ひとりベンチに座っています。その他には市内循環バスを待つ老婦人。バスの出発時刻にはまだ早いのでしょう。バスを待つのはさびしいものです。なにより物騒でもありますよ。
実はこのバスターミナルに隣接して道の駅があり、名店街がかなりのにぎわいなのです。無料の休憩所もありますし、広場のベンチでのんびり時間を過ごすこともできます。しかし、バスの利用者にとっては、遠くて利用しづらいものなのです。このバスターミナルとの間には駐車場があって、その脇を通って行かなければなりません。この位の距離は、手ぶらの自動車の利用者にとっては大したことの無い距離ですが、大きな荷物を抱えるバス利用者にとっては大変です。しかもバス停の様子が判る範囲にいないとバスが出発してしまわないか不安です。
観覧車のあるにぎわいまでの遠い道のり
道の駅とバスターミナル。2つの機能は2つの施設として分けて配置されたことから不幸は始まっています。
明確に分かれている
バスターミナルと道の駅の施設が隣接していれば良かったのですが、駐車場が間を阻んでいて行き来が不便なのです。バスターミナル側でも独自に名店街を整備するということなのかもしれませんが、せっかくの道の駅の施設を生かすことの利点は大きいと思うのです。
高速バスのトイレ休憩というのは2時間の運行に対して1回くらいの間隔で、サービスエリアの片隅にバスを停車させて行います。たった15分程度のことですが乗客は飲料の購入だけでなく、軽食・みやげと結構お金を落とすものです。
道の駅の施設自体は、サービスエリアに対抗出来るほどの魅力があると思えるのですが、ターミナルから離れている現状では、時間不足となってしまいます。
(06.09.25)