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[バスの流れが見えてきた]
バスには地域の掟がある

地域に根付くバス。そのローカルルールは、訪問者を寄せ付けない心理的バリアになっている。

Contents
>ヒヤヒヤ「地域の掟」
>>前乗りか後ろ乗りか>>お釣りはでてくるのか>>停留所を明確に言わなければならない自己申告制>>バス<共通>カードでひとまず安心
>路線図にひとくふうあれば助かる
>>一条の線では行き先がわからない>>路線別に表示すると煩雑に>>便数が太さであらわされているのはうれしい

ヒヤヒヤ「地域の掟」

前乗りか後ろ乗りか

 初めての土地で、バスに乗ることはとても勇気のいることです。

 まず、駅に降り立ち、目的地に行くバスがどこから発車するか探します。この苦労はみなさん何もいわなくてもわかってもらえるでしょう。たとえ偶然にもすんなり目的地に行くバスが止まっているのを見つけても、あわてて駆け寄ったりしてはいけません。なぜなら、そのバスが「前乗り」か「後乗り」か。「整理券」か「均一料金」か。均一料金ならいくらか。今、さいふにいくらの小銭があるか。以上のことを把握しないで乗車すると次の様なしっぺ返しが来ることになります。

 最近も「前乗り」のバスに乗っていたとき、途中のバス停で後ろのドアが開くのを待っていたために、運転手さんに無視されたご老人を見かけてしまいました。もう悲劇を繰り返してはいけない。

お釣りはでてくるのか

 仮にここまでがクリヤーできても安心は禁物です。私のよく利用していた「京都市交通局」では、「20円お釣りください」といって運賃箱に200円を投げ入れると運転手さんがボタンを押してくれて、お釣りがじゃらじゃらとでてきたものでした。関東では

となります。お釣りの場合は自動販売機にあるような小銭投入口に入れないといけないのでした。ただでさえ緊張するのに、大変なプレッシャーです。

停留所を明確に言わなければならない自己申告制

 最近は関東の方式にもだいぶ慣れてきたので油断していたところとんでもない方式がありました。近所のターミナル駅から出発するそのバスは、見た目は「均一料金」で「前乗り」でした。ところが、前の人に続いて入り口のステップを上がったとたん久々に頭が真っ白になりました。前の人は自分の行き先を告げて、それに見合った運賃を投入しているのです。こちらは、正確な運賃どころか行き先も風景だけが頼りです。優しい運転手さんのガイダンスを受けながら何とか行きたいところを説明し、その場を乗り切りました。「バス」は乗車するだけで地方色豊かな予備知識が求められるのです。訪問者にとっては大変骨が折れることです。

バス<共通>カードでひとまず安心

 こんな苦労も、ひとまず「バス<共通>カード」の出現で過去のものとなりつつあります。
 このカード、随分すぐれものです。
 まず、5000円で5850円分も利用できるのです。電車のカードが「割り引き無し」というしぶい価格設定をしているのとは対照的です。
 そして、東京、神奈川、埼玉、千葉で共通。そして家族で利用しても1枚で済むというところは、柔軟な対応でうれしい限りです。

 とにかく、これによって小銭の心配をしなくて済むようになったのは素晴らしいことです。

路線図にひとくふうあれば助かる

一条の線では行き先がわからない

 バス事業者のウェブサイトにはバス路線図が掲載されるようになりました。もちろんありがたいことですが、地理が不案内な者にとって使いやすいものであって欲しいです。

 これを実現するのはなかなか大変です。バス路線網が密な地域では、地図の上には一条の線を描くのがせいぜいです。しかし、この地図では、バスの行き先がわかりません。別途、バス停別の時刻表を頼りに行き先を調べる必要があります。

行き先がよくわからないバス路線図
行き先がよくわからないバス路線図

路線別に表示すると煩雑に

かといって、丁寧に路線別に表示すると、ターミナル付近になると、やけに太い線となってしまい、随分煩雑な地図となってしまいます。来訪者にとっては、理解が困難。

煩雑なバス路線図
煩雑なバス路線図

便数が太さであらわされているのはうれしい

 一条の線がいいのか路線別がいいのか結論は私には出せません。しかし、ひとつ感心した例があるので紹介します。

 西武バスは、東武東上線、西武池袋線、西武新宿線、JR中央本線が平行して走っている立地条件を生かしてそれらを横断方向に連絡する路線を大奥持つバス事業者です。鉄道の連絡という使命を意識して特徴のある路線図を用意しています。

西武バス路線図

 その路線図は鉄道路線が並行に描かれており、どの駅からバスが連絡しているかを示したものなのですが、それぞれ1時間当たり何本くらい運行されているのか色分けされているのです。1時間に5から6本運行されているにぎやかな路線があるかと思えば、1時間に1本のさびしい路線もあります。この事情を知らず、さびしい路線のある駅に降りてしまったら1時間暇つぶしを探さねばなりません。実際には遠回りでも池袋に出てしまう人も多いと思いますが、バスにも乗ってみようかなと思わせる演出です。

(初出00.01.31)
(再編集03.01.28)

みなさんが当たり前に思うことも、実はローカルルールかもしれません。この話題に関する情報、ご意見などがありましたら是非お寄せください。

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