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[ショッピングモールの掟]
アメリカのショッピングモールを歩いてみれば

郊外型のショッピングセンターは集客力がものを言うようです。

Contents
>商業集積地のある日本と郊外に分散するアメリカの違い
>>専門店と核店舗がうまく共存>>ショッピングモール間の競争は大変>>競争原理をうまく使う
>ショッピングモールの掟いろいろ
>>駐車場は建物を取り囲む>>核店舗は専門店街の端に配置される>>動線は核店舗を結ぶ1本のみ>>個別のテナントは必然的にウナギの寝床状
>ショッピングモールの実例
>事情が変わった

商業集積地のある日本と郊外に分散するアメリカの違い

専門店と核店舗がうまく共存

 ニューヨークはアメリカでないと言われます。「いなか」こそアメリカらしいというわけです。広い平原に町が広がる「いなか」の風景のなかでもショッピングモール(ショッピングセンター)は、まちのシンボルです。結構「いなか」にも立派なショッピングモールがあり、老人たちがフードコート(※後述)に集まるなど、そのまちの生活の中心となっています。

 ところで、アメリカのショッピングモールの特徴は専門店街と核店舗(大規模店舗)がうまく共存しているところにあるようです。日本のように大型スーパーが中央を独占し、専門店を端っこに追いやって、ショッピングセンターと名乗っているのとは発想が違います。

ショッピングモール間の競争は大変

 日本では商業の中心地といえば、駅前と決まっています。駅前に出店すればお客さんはたくさんいるわけで、各店舗は自分が目立てば良いわけです。

 しかし、商業の機能が郊外に分散するアメリカでは、何もしなければ利用客はショッピングモールを見つけてくれません。せっかく見つけてくれた利用客をつなぎ止めるにはショッピングモール自体の価値を高めなければならない訳です。

 デパート、スーパーなど大規模店舗はどこに行っても同じサービスというのも特徴ですから、差別化は図れません。特徴を出そうと思えば専門店街をいかに魅力的にするかにかかっているわけですが、婦人服や化粧品など高収益な店舗が必ずしも専門店街の魅力向上にはつながるとは限りません。

 そこで各ショッピングモールが力を入れているのは新規参入のための工夫です。やる気のあるベンチャーを受け入れるために、専門店街は様々な規模の区画が用意されていて、老舗からベンチャーまであらゆる規模に対応できるようになっています。

競争原理をうまく使う

 フードコート(ファーストフードの屋台村みたいなもの)も、ショッピングモールの集客力の重要な要素です。ここでは巧みに競争原理が生かされています。これからひと旗揚げようという人のために、売店のような小さな店舗が用意されており、成績が良ければ本格的に店舗を確保することができます。アメリカンドリームを夢見て世界から集まった人たちにより、フードコートではインド、タイ、ギリシャ、メキシコ等々世界各国の料理が提供されるようになり、それがショッピングモールの魅力にもつながっていきます。

ショッピングモールの掟いろいろ

 このようにソフト面でも日本とは違いが見られるのですが、施設の形態にも興味深い違いが見られました。ショッピングモールの掟として紹介してみましょう。

駐車場は建物を取り囲む

 広い国土のためかもしれませんが、広い敷地の真ん中に施設を配置するのがおきまりです。このため利用客は、四方八方から来店する事になるのですが、この結果専門店街において立地の善し悪しの格差が少なくなります。

ショッピングモールの掟

 さらにそれぞれの入り口はとてもちっぽけで、利用客の視線に入らないよう配慮されています。出入口を立派にしてもそれは利益を生みません。入口=出口ですから、せっかく入って来た利用客に立派なエキジット(出口)ホールをみせてしまっては、「もう帰る時間ですよ」と言わんばかりです。つまり、一度建物に入った利用客を封じ込めるため、出口は極力見えないような工夫です。一度入ったら外界と遮断される感覚は東京のディズニーランドでも体験できるでしょう。

核店舗は専門店街の端に配置される

 上記に示しましたように、核店舗(大規模店舗)は真ん中に陣取るようなことはしません。そんなことをすれば専門店街の魅力が隠れてしまい、ショッピングモール自体の価値が下がってしまうのです。核店舗は必ず「端」です。専門店街を中心にするとはいえ、核店舗の力は絶大です。多少離れていても集客力が無くなる訳ではありません。

 核店舗はたいてい2店舗以上配置されます。その理由は、専門店街の両端を核店舗でおさえておかないと、人の流れが偏ってしまうのです。もし、右の図で一番右の核店舗が無くなったとしましょう。おそらく、右半分の専門店街の人通りは極端に少なくなります。脇役に徹するも重要な役回りの核店舗と専門店街の共存共栄といったところでしょう。

動線は核店舗を結ぶ1本のみ

 これが最大の特徴なのですが、核店舗が3軒あればTの字、4軒あれば十の字という具合に通路は集約されています。これにより

ということが可能となるわけです。

個別のテナントは必然的にウナギの寝床状

 通路の本数が少ないということは、各店舗の間口の確保が大変だということです。みんな平等に間口を分け合うことになります。アメリカの店舗面積は広いので、間口に対して相当長い奥行きを持つ店舗もあるわけです。

 しかし利用客にとっては商店街の各店舗の間口が狭いおかげで、あまり歩かなくとも多くの店を巡ることが出来ます。店舗の側としても、すべての店舗がこのメインストリートに面しているのでビジネスチャンスが平等に与えられている訳です。

 江戸時代から続く古い商店街を見ればわかるように日本の商店街は昔から間口が狭く奥行きが長いウナギの寝床状でした。間口の幅だけ税をとられるからとか、仕方なくとかネガティブな理由もありそうですが、利用客にとって限られたスペースで多くの店舗が並ぶことが便利な商店街だと言うことだったのではないでしょうか?間口がとても広い日本のショッピングモールにおける専門店街を見ると何か不自然なものを感じます。

ショッピングモールの実例

下記のリンクは実際のショッピングモールの案内図です。日本のものとちょっと違うなと思われることでしょう。

 日本でも大都市の通勤圏をのぞけば、大半が車社会ですが、商業施設が郊外へシフトしているといっても、まだ単独での出店が主です。今後、店舗間の競争が激しくなるとアメリカ型のショッピングモールが見本となるでしょう。

事情が変わった

 このページの初出は10年前のことで、日本でもポツリポツリと郊外に巨大ショッピングモールが出現して来たころです。近隣にも「動線は核店舗を結ぶ1本のみ」タイプが開業したので、下記の写真を追加しました。

ショッピングモール

 このショッピングモールはゆるやかなカーブをともなった3層の吹き抜け通路を持ち、ほとんどの店舗が通路に面しており、ひとめでにぎやかな様子が伺えます。通路がカーペット敷きなのが落ち着いた空間を創出しています。

 私の住んでいる徒歩圏にもショッピングモールが開業し、散歩の際の絶好の目的地となっています。コーヒーショップでくつろぐのが何よりの楽しみとなっています。このページの内容もすでに単なる見慣れた風景となっているのかも知れません。

 アメリカの事情を紹介してきましたが、今後の展開はさっぱりわかりません。ただ、かつては典型的な核店舗を結ぶタイプのショッピングモールが閉鎖に追い込まれているという情報もあり、事情は激変しているのかもしれません。

(初出00.03.25)(再編集03.06.16)(再編集09.05.18)編集前

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