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[空港ビルは広すぎる]
空港の名店街を真ん中に

 空港の名店街は、建物の端や上層に追いやられる傾向があります。急ぐお客さんにとっては、邪魔な存在だということでしょう。しかし、大方の人にとっては、持て余してしまう長い待ち時間を有効に使うために、名店街はもっと搭乗口に近くなるといいと思うのです。

Contents
>名店街へは遠回り
>>「歩く距離を短く」の実現で切り捨てられた名店街>>セキュリティーチェックから先は遠い道のり
>動線上に名店街が欲しい
>>大半の人は時間を有意義につぶしたい>>動線上に名店街がある例−ミネアポリス空港>>「動線上に名店街」はまだまだタブーの様です
>ちょっと採点してみました

名店街へは遠回り

「歩く距離を短く」の実現で切り捨てられた名店街

 「バスを見直そう」で、述べたとおり、空港はとかく広くなりがちです。地上交通(バス、鉄道、駐車場など)->チェックインカウンター->セキュリティーチェックまでの距離が短くするための、横長で奥行きのない空港ビルがひとつの方策です。余計なものをはぶきたいという思いが、ビルの設計に色濃く反映しているようで、そこに名店街が入る余地はありません。すぐれたといわれる最新鋭の空港ほど、その傾向が強いようです。たとえば、羽田空港では邪魔にならない中央(北棟は北の端へ、南棟は南の端へ旅客は流れるので、中央とは動線上から離れた場所ということになります)に、関西空港では上層階と別棟に、名店街を追いやりました。

羽田空港は動線上に名店街がない
羽田空港

関西空港では動線と逆方向に名店街がある
関西空港

セキュリティーチェックから先は遠い道のり

 しかし、苦労してセキュリティーチェックまでの距離を短くしても、その後の搭乗口までが長いのです。たまたま近い搭乗口もありますが、平均すると長い場合が多いのです。
 よく係員の人に「急いでください」と、急かされて走っている人を見かけます。名店街でのんびりしていたために、遅れそうになっているひとも多いでしょう。私も時間の逆算を誤り、慌てた経験があります。こんな時、「何でこんなに長いんだ!」とつぶやきながら、名店街が搭乗口から遠いことを恨めしく思うのです。

動線上に名店街が欲しい

大半の人は時間を有意義につぶしたい

 地上交通->チェックインカウンター->セキュリティーチェック間の歩行時間を短縮することにが至上目的の様になっていますが、脇目もふらずに搭乗口に突き進むタイプの旅客の割合はそんなに多くいないと思います。20分前のチェックインを各航空会社が奨励しているわけですから、搭乗口まで余裕のはずです。それでも間に合わないとすれば、そもそも遅刻した人といえます。
 名店街をゆっくりのぞく暇はないでしょうが、名店街がじゃまで、飛行機に乗り遅れるということもないでしょう。

動線上に名店街がある例−ミネアポリス空港

 ミネアポリス−セントポール空港はノースウェスト航空のハブ空港で、ショッピングセンターが空港にあると話題になったところです。ショッピングセンターといっても規模は「名店街」に毛が生えたようなものです。しかし、従来の空港が地上交通とチェックインカウンター間に障害物を置くことを避けてきたのに対し、じゃまともいえる「名店街」を配置したことは特筆に値します。急ぐ利用客にとって多少じゃまですが、セキュリティーチェックから搭乗ゲートまでの距離の方が長い道のり(フィンガーの長さは羽田空港の比ではなく、長いです)を考えれば大した障害ではありません。
 とにかく、「わざわざ遠回りして行く」のと、「通り道にある」のでは大違いです。

通り道に名店街があるミネアポリス空港
ミネアポリス空港

「動線上に名店街」はまだまだタブーの様です

 日本でも、名店街に隠さない工夫は徐々にされているようです。しかし、まだまだ障害物と見なし、動線上には配置していません。

 成田空港の第2ターミナルは、名店街を見える方向に持ってきました。チェックインカウンターからよく見えます。ただし、エスカレーターを上がっての1層上です。名店街を利用しない人はエスカレーターを上がらずにまっすぐ進むとセキュリティーチェックへ直行可能なわけです。しかし、見えているとはいえ、ちょっと足が遠のきます。

チェックインカウンターから見える名店街−成田空港第2ターミナル
成田空港

 新千歳空港は「名店街」を中心に配置した好例です。地上交通は1階で2階に上がって、チェックインカウンターですが、背後に名店街があります。上層にもレストランを主体とした店舗が広がっているのですが、チェックインカウンターと同じ階(2階)にもにぎやかなみやげ物売場があり、ちょっと立ち寄るには、絶妙な位置です。
 チェックインカウンターから搭乗口までの距離も短く、名店街->搭乗口の距離の短さは、この規模の空港としては優秀でしょう。ただし、動線上に名店街を配置するタブーは侵さないという、優等生ぶりです。

チェックインカウンターと同じ階に名店街がある−新千歳空港
新千歳空港

ちょっと採点してみました

 まとめに代えて、これまでの考えをまとめてみました。


ミネアポリス−セントポール空港 新千歳空港 羽田空港 関西空港
空港ビルの中の名店街の位置 ○中央 ○中央 ○中央 ×離れている
※歩行距離短縮のため意図的に排除
利用者動線と名店街の位置 ○地上交通とチェックインカウンターの間 ○地上交通の真上が名店街 ×動線と逆
※平面図と人の動きの不一致
×もちろん逆
名店街の存在が目に付くか ◎いやでも通過する ○振り返れば見渡せる △注意してみればわかる
全体が見渡せるか ○出発階で1フロアーのみのためわかりやすい ○上層階は広い吹き抜けで一目瞭然 ×高層のため上の方がよくわからない
フロアー構成がわかりやすいか ○1フロアーでわかりやすい ◎出発階が名店街、上層階がレストラン街と明確 ×地下から最上階まで、いろんな業種がまんべんなく混在している。 ○業種毎にゾーンが分かれている。

(初出00.03.12)
(再編集03.02.07)

その他にもいろいろな工夫があると思います。この話題に関する情報、ご意見などがありましたら是非お寄せください。

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